O-GlcNAcを検出するためのGalNAc-GlcNAc 2糖タグとWJAレクチンを用いた方法

東大新領域創成研究科)統合バイオサイエンス学科、らのグループは、O-GlcNAc修飾タンパク質を高感度で検出するための新規な方法を提案しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9126400/

セリンまたはスレオニンのO-GlcNAc修飾は、核または細胞質タンパク質でのみ発生します。この修飾は、幾つかの観点から、N-グリコシル化またはO-グリコシル化とは大きく異なります。
(1)O-GlcNAc修飾は、細胞の核または細胞質で発生しますが、一般的な糖鎖修飾は小胞体およびゴルジ装置の内腔で行われます。
(2)O-GlcNAc修飾は、O-GlcNAc糖転移酵素(OGT)およびO-GlcNAcase(OGA)の作用による可逆反応ですが、N-およびO-糖鎖修飾は不可逆的です。
(3)タンパク質上の一般的なN-型およびO-型糖鎖は、多くの種類の糖転移酵素のプロセッシングを受けて順次処理および伸長されます。しかし、O-GlcNAc残基は他の単糖で修飾されることはありません。

本研究においては、特に細胞核におけるタンパク質のO-GlcNAc修飾を検出するために、可溶性β4GalNAc-TAをコードする発現ベクターを、SV40 T抗原 N-末端またはC-末端のからの核局在化シグナル(NLS)で構築し、β4GalNAc糖転移酵素を用いて、GalNAcをO-GlcNAc化タンパク質のGlcNAc残基に転移させてGalNAcβ1-4GlcNAcの二糖を形成させます。次に、Wisteria japonica凝集素(WJA)レクチンをプローブとして使用し、GalNAcβ1-4GlcNAc二糖を検出します。
本方法は、二糖タグ法と名付けられました。

この方法で使用されるGalNAc-GlcNAcとWJAレクチンの間の結合力は、1.4×10 5 M-1と強いKaを持ち、他のどの方法よりもより高い感度を可能にします。更に、GalNAc-GlcNAc配列を持つ糖鎖は動物細胞ではほとんど発現されないことを強調しておく必要があります。GalNAc-GlcNAc構造は、脳下垂体糖タンパク質ホルモン(ロイトロピン、チロトロピン、フォリトロピン)のN-型糖鎖の非還元末端に見られ、血流からのクリアランスシグナルとして機能します。これらの糖タンパク質ホルモンは脳下垂体にのみ存在し、他の組織や細胞には発現していません。

Burkholderia vietnamiensis B418が線虫管理に効果的な生物学的殺線虫剤である

School of Bioengineering, Qilu University of Technology (Shandong Academy of Sciences), Jinan, 250353, Chinaらのグループは、Burkholderia vietnamiensis B418が線虫管理に効果的な生物学的殺線虫剤になり得ると報告しました。
https://www.nature.com/articles/s41598-022-12472-2

ネコブセンチュウ(Meloidogyne spp.)は、特に温室野菜栽培において、広範囲の作物に寄生する可能性のある非常に多食性の寄生虫です。ネコブセンチュウが侵入すると、植物の根に明らかな結び目や虫こぶを引き起こし、根の正常な構造を破壊し、水と栄養を求めて宿主と競争することで、植物は二次病原体に感染し易くなります。ネコブセンチュウの被害は、世界的に見て年間1,000億ドルを超える経済的損失を引き起こすと推定されており、総作物損失の約12.6%を占めています。

ネコブセンチュウ密度の減少率および防除効果に対する様々な処理の影響は次の通りでした。
すべての処理(Burkholderia vietnamiensis B418接種、化学的殺線虫剤フォスチアゼート、および生物学的殺線虫剤アベルメクチン)は、ネガティブコントロールと比較してネコブセンチュウ密度をある程度減少させました。
最高の減少率と防除効果は、B.vietnamiensis B418接種で見られ、それぞれ74.84%と71.15%でありました。
B418の接種により、フォスチアゼート(38.92%から62.71%)およびアベルメクチン(59.24%から67.87%)の阻害効果が増強されました。 しかし、B418接種単独の場合よりも効果は低下しており、B418とフォスチアゼートおよびアベルメクチンの間には何らかの不整合性があると考えられます。

B418の接種により、バクテリアの16S rRNA配列が9.1%から34.6%に増加し、真菌のITS-2 rRNA配列が7.1%から30.3%に増加していました。このことは、薬剤による病害防除処理効果(9.1%)よりもB418接種の方が多くの変化を根圏細菌叢に引き起こしていることを示しています。。

植物成長に対するPGPR(植物生育促進性根圏細菌)の有益な効果には、生物施肥(主に窒素とリンを含む栄養素の取り込みの促進)や植物刺激(植物成長促進ホルモンの生成)などの直接的なメカニズム、更には間接的なメカニズムとして、植物病原体の有害な効果に拮抗する生物制御剤としての二次代謝物の産生、或いは植物の全身抵抗性を誘発する作用があります。何故、B. vietnamiensis B418の接種がネコブセンチュウの阻害に有効であったのかという理由については定かではないのですが、B418を接種したことによる真菌であるモルティエラの増加は、ネコブセンチュウに対する防除効果と相関していることが分かりました。真菌叢におけるこれらの変動は、B418接種が病原体関連種の阻害および植物に有益な種の増強をもたらした可能性があることを匂わせています。

CK: コントロール; FOST: fosthiazate; AVM: avermectin. (+ /−): B418接種の有無

血中の単糖が結腸直腸癌および結腸直腸腺腫の優れたマーカーになる

Department of Hepatobiliary and Pancreatic Surgery, The Affiliated Hospital of Qingdao University, Qingdao, Chinaらのグループは、結腸直腸癌および結腸直腸腺腫に対する新規の血中単糖複合マーカーについて報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9099097/

HPAEC-PAD法を使用して、健常人、結腸直腸癌および結腸直腸腺腫患者の血中2つの遊離単糖(Glc-FおよびMan-F)と6つの加水分解単糖(Fuc-H、GalN-H、GlcN-H、Gal-H、Glc-H、およびMan-H)を測定しました。。
血中の単糖の濃度は、健常人よりも結腸直腸癌および結腸直腸腺腫患者で有意に高くなっていました。具体的には、血中のFuc-H、GalN-H、GlcN-H、Gal-H、Glc-H、およびMan-Hの濃度は、健常者と比較して結腸直腸癌患者で有意に高く、血中のFuc-H、Gal-H、Glc-H、およびMan-Hの濃度は、健常人よりも結腸直腸腺腫患者で有意に高くなっていました。

ロジスティック回帰分析を使用して、上記の結果に基づいて診断モデルが開発されました。 2種類のモデルが開発され、1つはMC1で、もう1つはMC2です。
MC1のロジスティック回帰式は次のとおりです:MC1=-8.18-0.021Fuc-H-0.004 GlcN-H + 0.011 Man-H、ここでFuc-H、GlcN-H、およびMan-Hはμmol/Lで表されます。
MC2のロジスティック回帰式は次のとおりです:MC2=-6.639-0.022Fuc-H + 0.003 Gal-H + 0.003 Man-H、ここでFuc-H、Gal-H、およびMan-Hの単位はμmol/Lです。

MC1は健常人と結腸直腸癌患者を区別するために使用され、MC2は健常人と結腸直腸腺腫患者を区別するために使用されます。 MC2とMC1のAUCは、それぞれ0.8025と0.9403でした。
因みに、健常者と結腸直腸癌患者間の既存マーカーCEAのAUCは0.7384でした。

IgA腎症の診断:血中の特異的な糖鎖修飾を受けたIgA1をWFAレクチンとIgA1抗体でサンドイッチ

シスメックスのグループは、IgA腎症の診断マーカーとしての血清WFA+-IgA1の評価結果について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9104065/

著者らは、IgA1の異常な糖鎖修飾に焦点を当てたWisteria floribunda 凝集素(WFA)レクチンと抗IgA1モノクローナル抗体を使用したIgA腎症(IgAN)を診断するための自動サンドイッチイムノアッセイシステムの評価結果について報告しています。

イムノアッセイのためのWFAの有用性はレクチンマイクロアレイによって調査されました。下図は、健常者(HC)およびIgAN患者におけるマイクロアレイ結果の典型的な画像を示しており、健常者と比較してIgAN患者に由来するIgA1でWFAシグナルが有意に増加していることが確認されました。

残念ながら、結果は診断アッセイの観点からは期待外れのようでした、感度= 66%、特異性= 62%。

全てのSARS-CoV-2 オミクロン変異株に対する免疫防御を高めるには三回のブースターワクチンが必須

Center for Retrovirus Research, The Ohio State University, Columbus, OH 43210, USAらのグループは、すべてのオミクロン変異体に対する免疫防御のためのブースターワクチン接種の重要性について報告しています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1931312822002207?via%3Dihub

BA.1、BA.1.1、BA.2など、Spikeタンパク質に大きな違いがあるオミクロンの亜系統が幾つか存在しています。突然変異の存在箇所は分離株によって異なりますが、BA.1.1系統は、BA.1系統には存在しない単一のR346K突然変異の存在によって定義されます。BA.2系統は、主要なSpikeタンパク質の突然変異T19I、L24S、 Δ25/27、V213G、T376A、およびR408Sによって定義されます。 BA.1はオミクロン変異株によるパンデミックの主要な変種でしたが、BA.2変種、そしてより少ない程度でBA.1.1がパンデミックで比率を占めるようになってきました。特に、BA.2変異株は、BA.1変異株に比べて感染力が高く、以前にBA.1に感染したヒトでも再感染する可能性があります。

本研究において、著者らは次の事柄を実証しています。
オミクロンBA.1.1はオミクロン患者の血清によって効果的に中和され、オミクロンの亜系統はオミクロン患者の血清によって同等に中和されます。
オミクロンBA.1およびBA.2は、2回投与のmRNAワクチン接種による中和作用に耐性がありますが、ブースターワクチン接種による中和作用には感受性があります。

多価9-O-アセチル化シアル酸修飾を持つ糖鎖クラスターをSARS-CoV-2の阻害剤として使用する

Louvain Institute of Biomolecular Science and Technology, Université catholique de Louvain, Louvain-la-Neuve, Belgiumらのグループは、多価9-O-アセチル化-シアル酸修飾を持つ糖鎖クラスターが、SARS-CoV-2感染の強力な阻害剤となる可能性があると報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41467-022-30313-8

SARS-CoV-2 Spikeタンパク質のS1サブユニットは、糖鎖結合ドメイン(GBD)を含むN末端ドメイン(NTD)と、受容体結合ドメイン(RBD)を含むC末端ドメイン(CTD)に分けることができます。GBDは、ほとんどのCoVの糖タンパク質と糖脂質と相互作用しますが、RBDはSARS-CoV-2の場合、ACE2受容体に結合します。

コロナウイルスOC43とHKUがSpikeタンパク質の保存された受容体結合部位を介して9-O-アセチル化シアル酸(9-AcSA)に結合することが示されているため、著者らは、特に興味深い糖鎖として9-AcSAに焦点を当てました。

一価の9-AcSAは高いIC50 100 µMを示しますが、スクリーニングしたすべての9-AcSA由来の糖鎖クラスターは、その多価効果によって、1〜10 µMのIC50を示しました。これらの中でも、9-AcSA-ポルフィリンは、精製された9-AcSAと細胞アッセイの両方で、sub-µM範囲のIC50を示し、治療薬として優れた候補と考えられます。

小麦の根圏:ACCデアミナーゼを産生する根圏細菌(Enterobacter cloacae ZNP-4)の小麦の成長促進効果

Department of Bioengineering and Biotechnology, Birla Institute of Technology, Mesra, Ranchi, Jharkhand, Indiaらのグループは、Enterobacter cloacae ZNP-4と呼ばれる1-aminocyclopropane-1-carboxylic acid(ACCD)を産生する植物成長促進根圏細菌(PGPR)が、NaClや金属(ZnSO4))などの非生物的ストレス下でのコムギの成長に及ぼす影響について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9075627/

根圏細菌の多くはACCDを生成します。ACCDは、ACCをアンモニアとα-ケト酪酸に分解することにより、植物の「エチレン・ストレス」のレベルを低下させ、それによってエチレン生成のための基質の利用可能性を最小限に抑えます。 ACCD活性が20nmol α-ketobutyrate mg-1 h-1を超える微生物は、ストレス条件下で植物の成長を促進するのに十分であることが既に分かっています。

他の多くの作物と同様に、小麦の種子の発芽と苗の成長は、塩分と金属のストレスによって世界中で深刻な影響を受けています。塩分ストレスを軽減するために様々な従来の方法が実際に行われていますが、それらのほとんどは費用がかかり、環境に有害であることが問題になっています。根圏細菌は、通常のストレス条件下で植物の成長促進に有効であることが示されていることから、本研究においては、非生物的ストレスの悪影響を軽減するための生物学的防御材としてのACCD産生細菌であるEnterobacter cloacae ZNP-4の有効性を調査することを目的としています。

結果として、ZNP-4菌の接種により、シュート長(41%)、根の長さ(31%)、生重量(28%)、乾燥重量(29%)、光合成色素クロロフィルa(62%)、およびクロロフィルb(34%)など、小麦の様々な成長パラメーターが大幅に改善されました。更に、この菌株は、150 mg kg-1(処理T1)と250 mg kg-1(処理T2)の異なるレベルのZnストレスを含むプランター実験で、植物の成長、バイオマス、および光合成色素を改善するという点で、金属ストレスを最小限に抑えるのに効率的であることも分かりました(処理T1=150 mM NaCl、処理T2=200 mM NaCl、は異なる塩分条件下での実験)。

更に、abiotic stress-induced reactive oxygen species (ROS)の生成に対する細菌接種の影響を、塩分および金属ストレス処理下で評価しています。PGPRのプラスの効果は、一般的に、過酸化水素(H2O2)やスーパーオキシド(O2–)といったROS物質の減少と同期しており、これらのROS物質は、脂質の過酸化、細胞膜の劣化、代謝機能障害を引き起こし、最終的に細胞死を引き起こします。ZNP-4菌の接種は、テストされた塩分ストレス下でH2O2レベルを大幅に減少させました。処理T1において43.2%という高い減少(p=0.05)が見られ、処理T2で32.5%の減少が見られました。塩分によって誘発されるO2–の生成も、処理T1および処理T2で52.7%(p=0.05)および49%(p=0.05)と大きく減少していました。

青枯病菌を阻害するシュードモナス属とその二次代謝物:DAPGやオルファミド

Department of Biology, University of York, UKらのグループは、青枯病菌(Ralstonia solanacearum)がシュードモナス属によって阻害されること、そして、その背後にある阻害メカニズム(二次代謝物)について報告しています。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/mbo3.1283

本研究では、シュードモナス CHA0菌株が、青枯病菌に対する最も優れた生物的防除株であるとしています。

シュードモナス属からの二次代謝産物クラスターをantiSMASHを用いて分析し、11から17の代謝クラスターが8つのシュードモナス菌遺伝子のそれぞれで同定されました。 非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)は、最も豊富な二次代謝産物クラスターでした。同様に、DAPG代謝物(T3PKSクラスターに属する)、およびピオベルジン・シデロホア(NRPSクラスター)代謝物クラスターがすべての菌株で検出されました。全体として、最も多くのクラスターがCHA0およびPf-5菌株で検出されました。これらの菌株は、ピオルテオリン抗菌剤をコードするT1PKS代謝クラスターや、未知の代謝物をコードするCDPSクラスターなど、幾つかのユニークな代謝物クラスターも持っていました。 CHA0とPf-5菌株におけるNRPSクラスターの数が最も多く、これらはオルファミドとして知られる環状リポペプチドを生産できる唯一の2つの菌株であり、オルファミド「A」のみがCHA0菌株で産生可能でした。

DAPGはすべての青枯病菌を濃度依存的に抑制し、テストしたすべての青枯病菌は最高濃度(500~1000μM)では増殖できませんでした。

シュードモナス CHA0菌株から分離されたオルファミド「A」および「B」を青枯病菌に対してテストした結果(抽出された化合物の量が限られているため、#1および#7青枯病菌のみにてテストしている)、オルファミドは、両方の青枯病菌を同様に抑制しました。

これらの結果は、DAPGやオルファミドなどのシュードモナス属からの二次代謝産物が、青枯病菌に対する病原体抑制物質である可能性が非常に高い、ということを示しています。

水仙タゼッタの球根から抽出された新しいレクチン(NTL-125:マンノース結合型)がSARS-CoV-2の優れた阻害剤になり得る

Division of Plant Biology, Bose Institute, P/12 C.I.T. Scheme VII(M), Kolkata, 700054, Indiaらのグループは、水仙タゼッタの球根から抽出された新しいレクチン(NTL-125:マンノース結合型)がSARS-CoV-2の優れた阻害剤になり得るということをVero-E6細胞を用いたin vitroのアッセイで示しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8988448/

NTL-125と名付けられた水仙タゼッタの球根から抽出されたユニークなマンノース結合植物レクチンは、Vero-E6細胞を用いたin vitroアッセイにおいて、SARS-CoV-2の感染を有効に阻害できる可能性があります。 Vero-E6細胞を使用したSARS-CoV-2ウイルス侵入を50%減少させる阻害濃度(IC50)は、約0.8 µg/mL(50 nM)であり、Vero-E6細胞に対するNLE-125の細胞毒性のアッセイは、5 µg/mLで95%以上、10 µg/mLの濃度で85%以上の生存率を示しました。

分子ドッキング法により、RBDの36残基とNTL-125の44残基が結合状態で互いに5Åの距離内にあるのに対し、ACE-2の27残基はRBDの32残基に近接していることが明らかになりました。ACE-2とNTL-125の両方に相互作用するRBDの17の残基数は17個でありました。これらすべての残基の中で、RBDとNTL-125複合体の場合には、RBDの10個とNTL-125の11個が結合状態で3Åの距離内にあり、RBDとACE-2複合体の場合には、RBDの9残基とACE-2の9残基が3Åの距離内にありました。NTL-125は、ACE2が通常結合するSpikeタンパク質のRBMとまったく同じ領域を占めています。 結果として、NTL125-Spikeタンパク質相互作用の結合自由エネルギー変化は、-13.3 kcal/mol、kd ~0.41nMとなり、ACE2-Spikeタンパク質の結合自由エネルギー変化(-11.2 kcal/mol、kd ~12 nM)よりも大きく、従って前者が後者よりも安定していることが明確に示されました。

更に、分子ドッキング法により、NTL-125-Spikeタンパク質間の相互作用は、Spikeタンパク質のAsn165に結合している糖鎖がNTL-125のIle137およびThr138と相互作用することによっても媒介されることが確認されました。即ち、NTL-125-Spikeタンパク質間の相互作用は、アミノ酸残基だけでなく、糖鎖部分も介して行われているのです。

天然バイオ農薬:昆虫病原性真菌Metarhizium brunneumが産生する真菌揮発性有機化合物

Faculty of Science and Engineering, Swansea University, Singleton Park, Swansea SA2 8PP, Wales, UKらのグループは、昆虫病原性糸状菌によって産生される天然の抗菌性揮発性有機化合物は、植物の天然バイオ農薬として使用できる可能性があると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9025432/

昆虫病原性真菌は植物と共生関係を築き、植物の成長と生産性を向上させます。 Metarhizium brunneumやBeauveria bassianaなどの昆虫病性真菌種で処理された植物は、通常、未処理の植物よりも根系が大きく広がり、バイオマスも増え、収穫量が多くなります。

本研究では、これらの昆虫病原性真菌によって産生される真菌抗菌性揮発性有機化合物の抗菌特性を、次の土壌微生物を用いて評価しています。
グラム陰性バクテリア (Escherichia coli, Pantoea agglomerans, Pseudomonas aeruginosa)、
グラム陽性バクテリア (Micrococcus luteus, Staphylococcus aureus, Bacillus subtilis, B. megaterium, B. thuringiensis)、
酵母 (Candida albicans, Candida glabrata)、そして
植物病原性真菌 (Pythium ultimum, Botrytis cinerea, Fusarium graminearum)。

最も強力な抗菌剤はisovaleric acidと1-octen-3-olであり、バクテリア、酵母、糸状菌、卵菌らの成長を阻害したり殺傷しました。また、isoamyl formate、3-octenone、cedrene、farneseneらも強力ではありますが、土壌微生物に対する特異性がより制限されていました。一部の微生物は、他の微生物よりも明らかにM. brunneumが産生する抗菌性揮発性有機化合物に敏感でした。感度の順に並べると、F. graminearumは、他のどの試験微生物よりもはるかに多くの化合物によって阻害され、次にB. cinerea、次にP.ultimumとなりました。試験微生物のうち、B. megateriumが最も感受性が高く、B. thuringiensisがそれに続く結果となりました。

本研究で特定された天然の抗菌性揮発性有機化合物は、植物の天然バイオ農薬として使用できる可能性があります。

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