COVID-19の重症化でα2-6-シアル化が増加する

Department of Chemistry, University of Alberta, Edmonton, Alberta, Canadaらのグループは、COVID-19の重症化でα2-6Siaの発現が昂進すると報告しています. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35702159/ インフルエンザでは、重症化すると、ハイマンノースと自然免疫レクチンであるMBL2の発現が昂進することが分かっています。また、SARS-CoV-2においては、抗体の糖鎖修飾の変化が重症度のマーカーとなりうるという研究例があります。SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に対する抗体の糖鎖修飾が重症患者で変化し、フコシル化とシアル化が低下し、抗体の持つエフェクター機能に潜在的な影響を及ぼします。SARS-CoV-2に対するこのような研究では、単一のタンパク質タイプ(IgG)に焦点が当てられており、今日まで、SARS-CoV-2感染に対する血漿中の糖タンパク質に関する網羅的な研究は行われておらず、感染組織における糖鎖修飾の変化に対する分析もありませんでした。 本研究では、CO […]

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N-GlcNAcが植物成長促進効果を示す

State Key Laboratory of Food Nutrition and Safety, College of Food Science and Engineering, Tianjin University of Science and Technology, Tianjin, Chinaらのグループは、N-GlcNAcが植物の生長促進効果を示すことを報告しています。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35665438/ キチンは、セルロースに次いで、生物界で2番目に豊富な多糖類です。キチンとキトサンは生分解性で無毒であり、土壌と基質としての品質、植物の成長、植物の回復力を改善し、強化された持続可能な作物生産の開発に大きく貢献するものとして、ますます注目を集めています。キチンとその誘導体の添加は、多くの作物の新鮮収量重量を改善することができます。しかし、植物の成長促進、栽培、および農業環境の持続可能性におけるキチン・キトサンの機能に関する知識は限定的であり、収量の増加、植物防除の予測可能な活性化、収穫貯蔵寿命の延長、更には農産物およびそれらの […]

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小麦の根圏:トリコデルマを用いて病原菌フサリウムを押さえる

School of Bioengineering, Qilu University of Technology, Jinan, Chinaらのグループは、トリコデルマ アトロビリデ HB2011(Trichoderma atroviride HB20111)の種子への接種が小麦の根圏真菌叢に及ぼす影響について報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9188553/ フサリウム属による小麦の冠腐病と小麦の眼紋病は、小麦の主要な土壌伝染病です。 生物学的防除剤としてのストレプトマイセス、バチルス、シュードモナス、放線菌、トリコデルマなどは、病原性真菌のコロニー形成を減らし、土壌中で抗生物質と有機化合物を生成し、植物の成長を促進することができます。種子ドレッシングは費用効果の高い方法であり、作物の病気の予防と管理に大規模に適用できる可能性があります。生物的防除剤として、トリコデルマの種子ドレッシングは、植物の真菌性疾患を防除するためにますます注目されています。 トリコデルマによって制御される一般的な病原体には、Bipolar […]

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抗体やレクチンにとって代わる高精度な肝臓がんの診断方法:ターゲット分子の鋳型を使う

State Key Laboratory of Analytical Chemistry for Life Science, School of Chemistry and Chemical Engineering, Nanjing University, Nanjing, Chinaのグループは、AFP-L3をマーカーとして使用し、AFP-L3を鋳型として作られたプローブ(MIP)を用いた肝臓がんの診断方法について報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9020343/ triMIP-PISAと呼ばれる新しい戦略は、糖タンパク質疾患バイオマーカーの糖鎖修飾の変化を検出することにより、より正確な疾患診断を行う技術として開発されました。この方法は、モノクローナル抗体の特性に近い優れたタンパク質認識特性、およびレクチンよりも優れた優れた単糖認識特性を組み合わせています。 この方法は、3つの異なるタイプの鋳型分子プローブを用いた糖タンパク質バイオマーカーの認識とプラズモニック検出を統合しています。 N末端エピトープインプリン […]

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母乳中のシアル酸修飾を受けたミルクオリゴ糖は、急性栄養失調症のリスクが2倍高い

Nutrition and Clinical Services Division, International Centre for Diarrhoeal Disease Research, Bangladesh, Mohakhali, Dhaka, Bangladeshらのグループは、母親の母乳に含まれるシアル酸修飾を受けたヒトミルクオリゴ糖(HMO)の相対量が多いと、幼児の栄養状態に悪影響を与える可能性があると報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9177541/ ヒトミルクオリゴ糖は乳児が消化できず、そのまま大腸に到達します。ヒトミルクオリゴ糖は、ビフィズス菌や一部のラクトバチルス菌など、腸内細菌叢の幾つかの有益な細菌グループの発達をサポートし、乳児の腸内での善玉菌の定着、成長、および最終的なコロニー形成の為の代謝産物を提供することによってプレバイオティクスの役割を果たします。ヒトミルクオリゴ糖は、健康な腸内細菌叢を助けることに加えて、脳の発達、有害な病原菌のおとりとしての役割、病気や感染の回避など、乳児に多く […]

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腫瘍溶解性H-1パルボウイルスの感染には、Galectin-1が介在している

Laboratory of Oncolytic Virus Immuno-Therapeutics, German Cancer Research Centre, Im Neuenheimer Feld 242, 69120 Heidelberg, Germanyらのグループは、腫瘍溶解性H-1パルボウイルスの感染過程において、Galectin-1が重要な役割を果たしていると報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9146882/ 腫瘍溶解性ウイルスは、正常組織を温存しながら、癌細胞に選択的に感染して破壊します。それらはまた、強力な抗腫瘍免疫応答を刺激し、腫瘍血管系を破壊する可能性もあります。現在、40種類以上の腫瘍溶解性ウイルスが、さまざまな癌の治療法として臨床試験で評価されています。その中のひとつには、プロトパルボウイルス属のパルボウイルス科のメンバーであるH-1ラットプロトパルボウイルス(H-1PV)があります。 H-1PVは、ダイナミンが関与し、エンドサイトーシス小胞で低pHを必要とするクラスリンを介したエンド […]

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ヒトと共生している腸内細菌が持つ機能がまだ良く解明されていないレクチン

Department of Medicine, Icahn Genomics Institute, Icahn School of Medicine at Mount Sinai, New York, NY, USAらのグループは、ヒトの腸内共生微生物叢における細菌レクチンの解明機能と多様性について報告しています。 https://www.nature.com/articles/s41467-022-29949-3 複数の患者の便サンプルの共生腸内細菌から見つかったひとつの共生細菌エフェクター遺伝子(Cbeg)ファミリーは、レクチンをコードすると予測されるまだ良く解明されていない遺伝子(Cbeg4やCbeg5など)で構成されています。 Cbeg4とCbeg5の予測ドメイン分析により、両方の遺伝子が分泌シグナルペプチド、フィブロネクチン3型ドメイン(Fn; IPR003961)および糖鎖結合モジュールドメイン(CBM、CBM6-CBM35-CBM36_like_2、IPR033803)を含むタンパク質をコードしていることが明らかになりました。 Uniprotデータベースで見つかったCBM […]

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大豆の根粒組織におけるN-型糖鎖修飾を受けた糖タンパク質の根粒組織内空間マッピング

Environmental Molecular Sciences Laboratory, Earth and Biological Sciences Directorate, Pacific Northwest National Laboratory, Richland, WA, USAらのグループは、大豆の根粒組織におけるN-型糖鎖修飾を受けた糖タンパク質の根粒組織内空間マッピングの評価結果について報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9150855/ 糖鎖は根粒形成プロセスと植物と微生物の共生関係における重要なメディエーターですが、タンパク質のN-型糖鎖修飾が窒素固定によって影響を受けるかどうかについての研究例はありません。本研究では、野生型根粒菌に感染した大豆の根粒と、大気中の窒素を効率的に固定できないnifH変異根粒菌に感染した大豆の根粒内におけるN-型糖鎖の分布と存在量プロファイルを比較しています。 nifH変異体は、根に同様に感染して根粒を形成はしますが、窒素を固定することはできません。 N-型糖鎖の大部 […]

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血中B型肝炎表面抗原のO-型糖鎖修飾がヌクレオチドアナログを用いた肝炎治療効果の良いマーカーとなる

順天堂大学静岡病院らのグループは、血中のO-型糖鎖修飾を受けたB型肝炎表面抗原(HBsAg)が、従来のイムノアッセイを通じて血清HBVウイルスレベルを評価するために使用でき、特にNA療法を受けている患者におけるウイルス動態の新しい潜在的なバイオマーカーとなる可能性があると報告しています。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35641912/ 現在、ヌクレオシド類似体(NA)の経口投与は、NAの優れたウイルス学的有効性と安全性のため、慢性B型肝炎患者にとって最も一般的な治療戦略です。 NAの長期投与は、ほとんどの患者でHBV増殖を抑制し、線維化や肝硬変の退行を含む生化学的寛解と組織学的改善をもたらします。ただし、肝内共有結合閉環状DNA(cccDNA)が持続するため、HBV感染を完全に排除することはできません。肝内cccDNA濃度を測定することは、増殖能力のある残留ウイルスを評価するための最も直接的な方法です。ただし、肝生検の必要性やcccDNAを定量化するための標準化された方法の欠如などの問題があります。 HBsAgは、HBV感染の診断のための定性的な血清 […]

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パルミトイルエタノールアミド(PEA)がCOVID-19の優れた補助療法になる可能性がある

Retrovirus Center, Department of Translational Research and New Technologies in Medicine and Surgery, University of Pisa, 56100 Pisa, Italyらのグループは、パルミトイルエタノールアミド(PEA)は、COVID-19の現在の治療法、更にはコロナウイルスと同様な感染増殖経路を持つ新規のRNAウイルスに対する有望な補助療法となるでしょうと報告しています。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35632821/ SARS-CoV-2に対する阻害分子の候補の1つに、N-アシルエタノールアミンファミリーのメンバーの1つであるPEAがあります。PEAは、末梢炎症および肥満細胞の脱顆粒を阻害するだけでなく、ラットおよびマウスにおいて神経保護および抗侵害受容効果を発揮することが分かっています。最近、このPEAの抗炎症作用がアナンダミドと同じ経路をたどらないことが発見されました。PEA誘発性の鎮痛および抗炎症活性は、ペルオキシソーム増殖因子受 […]

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