糖鎖解析技術の標準化

標準化の波

PCのWindowsの世界がこんな大きくなったのは何故でしょうか?その大きな要因のひとつは、技術の標準化を進めたことによって、誰でもが参入でき、競争によってコストも下がり、ユーザーが爆発的に増えたからです。WindowsのPCは、個人が部品を買い集めてきてアセンブルするだけでPCが出来上がってしまいます。それが可能なのは、すべての規格がオープンにされており、部品間のプロトコルが標準化され、ソフトの開発環境についても誰もがアクセスできる環境が整備されていることの結果なのです。

レクチンマイクロアレイのフォーマットおよびプロトコルの標準化が必要

糖鎖・レクチンのマーケットは、ゲノミクスやプロテオミクスに比べるとまだまだ脆弱であり、このマーケットを大きくするためには、標準化を推し進めることがとても大切です。先ず行うべきなのは、アレイのフォーマットの統一、プロトコルの統一です。各社のバラバラなフォーマットを統一すると、とてもメリットが大きいと考えています。各社が、自分の得意とする分野にのみ資源を投下し、効率的な製品開発やサービスができるからです。

例えば、スキャナーの製造のみ、レクチンマイクロアレイの製造のみ、糖鎖アレイの製造のみ、試薬キットの製造のみ、受託解析サービスのみ、解析ソフトの開発のみ、という事業スタイルが取れます。足りないところはお互いに融通が可能です。何故ならば、標準化されているので、余分な開発が必要ないからです。マイクロアレイは、同じフォーマットの上で、コンテンツ勝負も可能です。固定化するレクチンを変えてカスタムチップを製造する、あるいは固定化する糖鎖を変えてカスタムチップを製造する。このようにしてあげると、お互いに最小の資源で事業を行うことができ、全体の協力によってユーザーは最大のメリットを享受することができます。

レクチンマイクロアレイの分野では、エムックは世界の源流のひとつであり、2007年に上市されたモリテックス・グライコミクス研究所のレクチンマイクロアレイ LecChip Ver1.0を技術的に継承しています。アカデミアが研究開発用に製造しているレクチンマイクロアレイもありますが、それを除けば、販売実績から言って、LecChip Ver1.0は、デファクトスタンダードに近いポジションにいます。LecChipの累積出荷枚数は、30,000枚を超えています(除く研究開発用途)。因みに、LecChipは、もともとは、GPバイオサイエンスが登録した商標でした。。

LecChip Ver1.0のフォーマットは、45レクチン(3重固定)x7ウエルが基本的なフォーマットとなっています。その後、AMED糖鎖創薬開発プロジェクトに参画したグライコテクニカによって、新規に二つのフォーマットが追加されました。18レクチン(3重固定)x14ウェルと90レクチン(3重固定)x3ウェルがそれであります。下記に、そのフォーマットを皆様のご参考に示します。

マイクロアレイにおける先行者であるDNAマイクロアレイにおいては、国際標準規格ISO16578が存在するという事実を見ても、レクチンマイクロアレイや糖鎖アレイの世界は非常にローカルな世界に留まっていることが分かると思います。国際標準規格ISO16578

レクチンマイクロアレイのフォーマット

LecChip 45レクチン×7ウエル・フォーマット

LecChip 18レクチン×14ウエル・フォーマット

LecChip 90レクチン×3ウエル・フォーマット

レクチンマイクロアレイの標準プロトコル

本件につきましては、別途下記のページに詳細を記載しています。ご参照ください。

レクチンマイクロアレイの標準プロトコル