キュウリにキチンオリゴ糖を与えた結果

Institute of Analysis and Testing, Beijing Academy of Science and Technology, Beijing, Chinaらのグループは、オリゴ糖をキュウリに与えた時に起こる根圏細菌叢の変化について報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37492253/

オリゴ糖(詳細にはキチンオリゴ糖)がキュウリの葉の老化を効果的に遅らせ、キュウリの生産量を大幅に増加させることが示されました。
根圏とバルク土壌の細菌叢は、様々な処理とサンプリング期間に渡って比較的安定していましたが、メチロバクテリウムとLechevalieriaの存在量を増加させることが示されました。
メチロバクテリウムは、植物が分泌するメタノールを消費することにより、成長を促進する代謝産物を生成することが知られています。

レクチンマイクロアレイの品質比較:LecChipの品質は世界最高レベル

比較糖鎖プロファイリング解析において、レクチンマイクロアレイは、絶大なる力を発揮します。更には、レクチンマイクロアレイの解析にエバネッセント波蛍光励起法を使用することにより、レクチンと糖鎖との弱い相互作用を非破壊でモニタリングすることが可能であり、世界最高レベルの比較糖鎖プロファイリングを行うことが可能です。
本技術の詳細については、下記をご参照ください。

Products & Services

さて、今日現在、世界には製造元が明らかでないレクチンマイクロアレイも幾つか存在しますが、商業ベースで製造販売されているものも数品種存在しています(PSS、RayBiotechなど)。
そこで、ここ数年のレクチンマイクロアレイが使用されている論文を参照しながら、その品質を公開されている画像から比較検討してみたいと思います。
結論から言えば、LecChipに勝る品質を持ったレクチンマイクロアレイは存在しないと言って良いでしょう。

LecChip made by GlycoTechnica(現在は、PSSにて製造販売されている)

Lectin microarray made by RayBiotech (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10348014/)
スポットサイズはバラバラ、
非常に小さいスポットも存在、
中抜けしてリング状になっているスポットも存在

Lectin microarray, unknown manufacturer (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6636412/)
スポット内に斑が存在する、恐らくピンタイプのスポッターで製造していると推測される

Lectin microarray, unknown manufacturer (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8798758/)
スポットの中抜けが強烈

Lectin microarray, unknown manufacturer (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9772556/)
スポットの形状異常、
スポット内の斑が劣悪、
スポット抜けも見受けられる

Lectin microarray, unknown manufacturer (https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fchem.2021.637730/full)
スポットの中抜けを除けば比較的良好だが、

Lectin microarray, unknown manufacturer (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7840895/)
スポット形状がバラバラ、
スポット内の斑も劣悪

メタノトローフ菌を用いて温暖化ガスの削減と植物成長の促進を両立させる

Institute for Water Research and Department of Microbiology, University of Granada, 18071 Granada, Spainらのグループは、メタノトローフ菌を用いて温暖化ガスの削減と植物成長の促進を両立させることが出来ると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10347144/

二酸化炭素は地球温暖化要因として最も注目されていますが、例えばメタンも考慮すべき温暖化ガスであります。現在の総温暖化の少なくとも1/4はメタンが原因であると考えられています。大気中のメタン濃度は主に人為的寄与により急速に上昇しており、廃水処理施設、埋め立て地、家畜が主な発生源であると考えられています。メタンの絶え間ない放出を相殺するには、大気中のメタンを除去するしかなく、それによってこの強力な温室効果ガスの気候変動への影響を押さえることができます。

本論文では、植物を干ばつから救い、同時に温室効果ガスであるメタンを削減できる植物成長促進細菌としてのメタノトローフ菌の可能性が議論されています。メタンの酸化は副産物として水の生成につながる為(つまり、CH4 + O2 = [CH2O] + H2O)、メタンを消費する微生物は細胞内で水を生成できるので、干ばつ化でも生存が可能であり、余剰な水を体内から環境に放出します。
実際、土壌として使用されたバーミキュライトの相対湿度の最高値は、幾つかのメタノトローフ菌の接種サンプルで観察され、その値は 72.29 ~ 62.26% でした。メタンが存在しない場合には、その相対湿度がほぼ半分に大幅に減少したことは注目に値します。これらの結果は、メタノトローフ菌がメタン由来の代謝水を利用して効率的に水を保存できることを示しています。そして興味深いことに、メタノトローフ菌の植物成長促進効果は土壌の保水量を高めることが可能だった菌種で最大化されていました。

小児の外傷性脳損傷の潜在的な診断用糖鎖バイオマーカー

Medicortex Finland Plc, 20520 Turku, Finlandらのグループは、小児の外傷性脳損傷(TBI)の潜在的な診断用糖鎖バイオマーカーについて報告しています。
https://www.mdpi.com/2075-4418/13/13/2181

検査に血液の代わりに唾液ま​​たは尿を使用することは、臨床現場で潜在的な利点となります。本研究は、唾液または尿を使用して、外傷性脳損傷を検出する為の糖鎖バイオマーカーの可能性を検証しています。レクチンマイクロアレイを使用した結果、外傷性脳損傷とコントロールの間で次のような糖鎖修飾の違いが見つかりました。

子宮内膜がんで見られる血清タンパク質のN-型糖鎖修飾の変化について

Medical Research Center, State Key Laboratory of Complex Severe and Rare Diseases, Peking Union Medical College Hospital, Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical College, Beijing, Chinaらのグループは、子宮内膜がんで見られる血清タンパク質のN-型糖鎖修飾の変化について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10331720/

本論文では、子宮内膜がんの血清バイオマーカーを見つけるために、血清糖タンパク質のN-型糖鎖の修飾変化をMALDI-TOF-MSを用いて調べています。

結果として、次のような糖鎖修飾異常が見つかっています。
(1) ハイブリッド型糖鎖に対するハイマンノース型糖鎖の比率が、コントロールと比較して子宮内膜がんで大幅に増加、
(2) フコシル化が子宮内膜がんで大幅に減少、
(3) 二分岐および三分岐型糖鎖のシアリル化は、主にα2,6 結合グリカン種の増加により、コントロールよりも子宮内膜がんで大幅に増加。

骨格筋線維症においては、Gal-3+ マクロファージとオステオポンチンが高発現している

Department of Physiology and Biophysics, University of California Irvine, Irvine, CA, USAらのグループは、骨格筋繊維症においては、特徴的なマクロファージ集団が高発現していると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10328414/

マクロファージは自然免疫において中心的な役割を果たしており、組織の修復と細胞外マトリックスの再構築を調節することによって組織の恒常性に貢献しています。マクロファージには、M1 とM2の2種類があることが知られており、急性筋肉外傷では、炎症誘発性のM1マクロファージが最初に損傷した筋肉に浸潤して、細胞残骸を貪食し、筋幹細胞を活性化します。その後、M2マクロファージへ移行して、筋幹細胞の分化と炎症の解消が促進されます。

骨格筋線維症の場合、gal-3+ マクロファージが筋ジストロフィー中に慢性的に活性化されていることが分かりました。ジストロフィー筋の空間的なトランスクリプトーム解析により、ジストロフィー筋には、gal-3+ マクロファージと筋線維症に関連する遺伝子を発現している間質細胞が高発現しており、更には、gal-3+ マクロファージはジストロフィー性病変部に間質細胞と共局在し、オステオポンチンがこれらの細胞型間の情報伝達を仲介していることも分かりました。

糖鎖プロファイラー GlycoStation Reader 2300(GSR2300)は、わずか3個の細胞からその糖鎖プロファイルを取得することが可能

産総研)細胞分子工学研究部門)分子細胞マルチオミクス研究グループらは、エバネッセント波蛍光励起スキャナー(糖鎖プロファイラーとも呼ばれる)GSR2300の優れた高感度特性について報告しています。
https://link.springer.com/article/10.1007/s00216-023-04824-2

本論文では、最新モデルであるGSR2300をmGSR1200-CMOSスキャナと呼び、旧モデルのGSR1200をmGSR1200 (CCD)スキャナと呼んでいます。

結果として、エバネッセント波蛍光励起スキャナーの最新モデルであるGSR2300は、高NAの等倍無限遠補正光学系とデジタルビニングモードを備えるハイエンドsCMOSイメージセンサーを搭載することで、旧モデルのGSR1200に比べて優れた性能を示すことが実証されています。

具体的には、GSR2300を用いることで、より高感度で、精度と再現性に優れた分析が可能になり、細胞や組織からの少量の精製糖タンパク質やクルードな状態のタンパク質に対して、より短いスキャン時間(最速=15秒)で信頼性の高い糖鎖プロファイルが得られます。特に、GSR2300の感度特性における直線性を維持できる下限はGSR1200のそれより少なくとも4倍低くなっており、この特性により、GSR2300はわずかに3個の細胞があれば、その糖鎖プロファイリングが可能であります。これによって、非常に小さな細胞集団間の糖鎖の不均一性や内部の糖鎖の発現状態を容易に検出できることが示されています。

世界最高性能のエバネッセント波蛍光励起スキャナー(糖鎖ロファイラー)が登場したと言っても過言ではありません。

多価のナノ・レクチンを用いてSARS-CoV-2を中和する

School of Chemistry and Astbury Centre for Structural Molecular Biology, University of Leeds, United Kingdomらのグループは、多価のナノ・レクチンを用いてSARS-CoV-2を中和する方法について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10302749/

SARS-CoV-2のスパイクタンパク質三量体は、各単量体サブユニット上に22個のN-型糖鎖の修飾部位があり、オリゴマンノース、ハイブリッド、複合型糖鎖らの構造が存在することが知られています。スパイクタンパク質エピトープの変異により、SARS-CoV-2変異体はワクチン接種等によって誘起される免疫反応を回避してしまいます。対照的に、SARS-CoV-2変異体における糖鎖修飾部位の変異は非常にまれであるため、糖鎖は抗ウイルス薬開発の強力な標的となる可能性があります。従って、レクチンがSARS-CoV-2変異株に対して潜在的に強力な抗ウイルス活性を示す可能性があると考えられます。

DC-SIGNの糖鎖認識部位(CRD)は、一価の低いアフィニティー(Kd-値: 0.1 ~ 3 mM)で、SARS-CoV-2を含むウイルス表面にあるマンノースおよびフコース含有糖鎖に特異的に結合することが知られています。レクチンである DC-SIGNのアフィニティーを高めるために、DC-SIGN CRDを金ナノ粒子(GNP)に多数結合させました。 13 nmサイズの金ナノ粒子(G13)を、H[AuCl4] のクエン酸還元によって合成し、まず初めに部分的にG13のPEG化を行いました。次に、これらのG13をリンカー標識されたDC-SIGN CRDとインキュベートし、多価のナノ・レクチンを得ました。

その結果、G13-DC-SIGN CRDは、初めての多価ナノ・レクチンとして、SARS-CoV-2変異体に対して幅広い活性を有することが示されました。

MannoseおよびMannanでコーティングされたフコイダン/キトサンのナノ粒子を用いてマクロファージを活性させる

LAQV, REQUIMTE, Departamento de Ciências Químicas, Faculdade de Farmácia, Universidade do Porto, Rua de Jorge Viterbo Ferreira, Porto, Portugalらのグループは、MannoseおよびMannanでコーティングされたフコイダン/キトサンのナノ粒子を用いてマクロファージを活性させる方法について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10298651/

マクロファージを活性化するために、マクロファージ表面に存在するマンノース受容体を、mannose (M) とmannan (Mn) を修飾した薬物を含まないフコイダン/キトサン (F/C) ナノ粒子によって刺激しました。ここで使用されている高分子電解質複合体ナノ粒子は、カチオン性キトサンとアニオン性フコイダンとの間のクーロン相互作用を通じて静電的に凝集させたものです。

マクロファージ上のCD11b発現は、LPSの曝露と同様に、mannanおよびmannoseでコーティングされた F/Cナノ粒子の存在下で強く昂進しており、それは、コントロール(NS)およびコーティングされていないF/C ナノ粒子の場合と比較して統計的に有意なものです。 従って、このような糖鎖でコーティングされたナノ粒子は、LPS 刺激で観察されたように、マクロファージの活性化を誘発することが確認されました。

このようにして、薬物を含まないポリマーナノ粒子の機能化を介してマクロファージ受容体を標的にすることは、免疫系を調節するための有望なアプローチであることが示されています。