メタノトローフ菌を用いて温暖化ガスの削減と植物成長の促進を両立させる

Institute for Water Research and Department of Microbiology, University of Granada, 18071 Granada, Spainらのグループは、メタノトローフ菌を用いて温暖化ガスの削減と植物成長の促進を両立させることが出来ると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10347144/

二酸化炭素は地球温暖化要因として最も注目されていますが、例えばメタンも考慮すべき温暖化ガスであります。現在の総温暖化の少なくとも1/4はメタンが原因であると考えられています。大気中のメタン濃度は主に人為的寄与により急速に上昇しており、廃水処理施設、埋め立て地、家畜が主な発生源であると考えられています。メタンの絶え間ない放出を相殺するには、大気中のメタンを除去するしかなく、それによってこの強力な温室効果ガスの気候変動への影響を押さえることができます。

本論文では、植物を干ばつから救い、同時に温室効果ガスであるメタンを削減できる植物成長促進細菌としてのメタノトローフ菌の可能性が議論されています。メタンの酸化は副産物として水の生成につながる為(つまり、CH4 + O2 = [CH2O] + H2O)、メタンを消費する微生物は細胞内で水を生成できるので、干ばつ化でも生存が可能であり、余剰な水を体内から環境に放出します。
実際、土壌として使用されたバーミキュライトの相対湿度の最高値は、幾つかのメタノトローフ菌の接種サンプルで観察され、その値は 72.29 ~ 62.26% でした。メタンが存在しない場合には、その相対湿度がほぼ半分に大幅に減少したことは注目に値します。これらの結果は、メタノトローフ菌がメタン由来の代謝水を利用して効率的に水を保存できることを示しています。そして興味深いことに、メタノトローフ菌の植物成長促進効果は土壌の保水量を高めることが可能だった菌種で最大化されていました。