キラーアプリの開発と標準化が糖鎖ビジネスを成功させるには必要だ

iGCOREが主催する第9回糖鎖技術研究セミナー(2026年1月9日開催)のお題は「糖鎖ビジネスを成功させるには何が必要なのか~糖鎖プローブレクチンの活用例と標準化~」でした。このセミナーに嬉しいかな本ブログ管理人(山田雅雄)と㈱QuastellaのCSOである加藤竜司様がプレゼンターとして招待を受けました。自分がこの場でお話させて頂いた内容を忘備録を兼ねて本ブログ記事として書き下ろしてみたいと思います。

合同会社エムックのご紹介

世界でいち早くレクチンマイクロアレイの商業化を進めた事業体のひとつがモリテックスのグライコミクス研究所であり、2007年に糖鎖プロファイリング・システム”GlycoStation”を上市しています。当時のグライコミクス研究所の所長は本ブログ管理人でした。この技術は、モリテックス→GPバイオサイエンス→グライコテクニカと変遷をうけつつも、Mx(エムック)に受け継がれて現在に至って至っています。

レクチンアレイの登場とプレーヤー

レクチンアレイの商業化は、日本のMoritex(GlycoStation)とイスラエルのProcognia(GlycoScope)が先駆けでした。モリテックスからスピンアウトしたGP Biosciences(2009年2月27日設立登記)は、遡ること2008年11月、ロンドンで開催されたグライコミクス研究所の代表者とプロコグニアの代表者が介しての特許紛争に関する合意によって花開いたものです。しかし、皮肉なことに先行する二社は、2013年から2014年にかけて相次いで倒産してしまいます。この出来事がきっかけとなり、Procognia特許がOpen化されたことでレクチンアレイに対する参入障壁が大幅に低下し、ビッグバンが起こります。因みにGlycoStationの基本は、産総研が持つエバネッセント波蛍光励起法を用いたレクチンアレイの非破壊読み出しに主眼点がありました。ともあれ、ビッグバン後に新規参入してきた事業体はこつぶであり、巨大資本がなだれ込んで来たわけではありません。まだまだマーケットが未熟であったことが原因です。

世界情勢の変化

事業戦略を立てる上において、世界の潮流をきちんと認識しておくことは非常に大切です。昨今は、グローバリズムから反グローバリズムの方向に大きく舵が切られており、これは歴史的にも特質すべき世界情勢の変化です。グローバリズム下においては、巨大資本へ権力が集中し、それによって格差の拡大が益々加速し、更には文化の壁を越えて世界の均質化が進みます。一党独裁のC国がこのグローバリズムと相性が良いというのは皮肉的です。

反グローバリズムの動きは、各国の動きをみると明確です。例えば、米国では第二次トランプ政権が発足し、トランプ関税が世界を席巻しています。日本では参政党らの保守勢力が勢いづき、高市政権が誕生しています。フランスでは国民戦線が躍進、ドイツではAfDが躍進、そしてイタリアではメローニ政権が誕生しています。この結果として、自国ファーストを合言葉に世界的な製造業の国内回帰とC国とのデカップリングを伴うサプライチェーンの再構築が進行しています。日本では、半導体の復権を目指して、政府肝いりのRapidusの立ち上げやTSMCの誘致が行われています。更には、国力の向上に大切な先端技術分野(AI、量子技術、核融合など)への研究開発投資が加速しています。

日本の産学連携はまだ中途半端

国力の増強という観点からは、現在の日本の産学連携はまだまだ中途半端であり、最終的な出口で勝負ができるような運営形態に変えていく必要があります。

シーズの開発に必要な基礎研究は、それほどリソースが無くても可能です。日本はシーズ開発では先行するものの、開発した技術の多くが大規模化の段階で諸外国(中国、台湾、韓国ら)に敗北しているという事実を強く問題視する必要があります。液晶パネル、半導体、造船、ソーラーパネルなど・・枚挙にいとまがありません。儲けるべきところで失敗しているわけですからGDPが増えるはずもありません。失われた30年間、負け犬癖がついてしまった日本ですが、「MAKE JAPAN GREAT AGAIN」を実現するためには意識改革が必要です。

国力を高めるための政府の戦略的な大規模支援が必要です。製造業の国内回帰と強化が反グローバリズム時代の基本戦略です。支援した先が儲かれば、政府の税収が増え、その資金は新たな研究開発支援に回ることで好循環が生まれます。大局的な観点からリソースの再配分を考えることが大切です。基礎研究を支援しベンチャー設立を支援したらそれで国の役割は終わりだ、「汚い金儲けの仕事は民間でやれ!」こういう意識が蔓延してないでしょうか?再度になりますが、儲けるべきところで儲けられなければジリ貧になる一方です。GDPが増えるわけもありません。産業界においても、大規模な企業連合体(株式持ち合いによる護送船団)を作り世界の巨大資本と伍して戦う体力と気概を持たねばなりません。国力を高めねば、基礎研究費も出なくなり、結果としてノーベル賞の受賞も減少していくでしょう。

産業を大きくするには標準化が必要

技術の標準化を進めると、参入障壁が下がり、競争によってコストも下がり、ユーザーが爆発的に増えます。PCのWindowsの世界観がまさにそれです。標準化によって、得意な分野にリソースを集中できることから分業化も進行します。

糖鎖関連では、例えば、ヒトに発現する網羅的な糖鎖の標準ライブラリー、リコンビナント化されたレクチンの標準ライブラリー、糖鎖構造解析ツール、更には分析・解析プロトコルなどの標準化が必要です。

キラーアプリの開発こそ要

シーズだけを開発してもダメ、ベンチャーを作ったらお終いではダメ、巨大な潜在マーケットを持つであろうキラーアプリがないと、人も金も集まりませんし、そこまでは最低限支援することが必要です。
糖鎖関連では、誰が何の為に糖鎖ライブラリーを使用するの?誰がどういう目的でレクチン・ライブラリーを使用するの?誰が高価な糖鎖解析ツールを使用するの?そういった事業化の目標設定に際して「儲かるキラーアプリ」を明確にイメージしなければなりません。

糖鎖は表現型であり、「細胞の顔」とも呼ばれる生体分子ですから、診断薬は糖鎖に対しては良いターゲットに成り得ます。例えば、AFP-L3M2BPGiなどの実例を挙げることができます。ブログ管理人自身も、潰瘍性大腸炎IgA腎症、そしてうつ病らの診断薬開発に取り組んだ経験があります。しかし、最終的に糖鎖関連事業が勝者になるためには、糖鎖創薬に繋がるキラーアプリを見つけなければならないでしょう。

潜在的キラーアプリの実例

本ブログ管理人が事業視野に入れる領域から、潜在的なキラーアプリの実例をご紹介したいと思います。これは、2013年から10年以上に渡って行ってきたFDAとの共同研究開発の成果物です。具体的には「治療用抗体の簡易ハイスループット糖鎖プロファイリングをカスタム・レクチンアレイで行う」という内容です。

FDAはすでに157種類の抗体医薬品を認可していますが、それらを網羅的に概観し、抗体医薬品の発現系やIgGのサブタイプについて報告しています。発現系としては、76%がCHOであり、78%がIgG Type 1であることが分かります。

治療用抗体(mAb)によくみられる9つの糖鎖エピトープ

FDAによるmAbに一般的に存在する9つの糖鎖エピトープの発見と同定は、治療用mAbの糖鎖修飾に対する貴重な洞察と貢献を与えるものです。9つの糖鎖エピトープとは、core fucose, terminal N-acetylglucosamine, terminal β-galactose, high mannose, terminal α2,3-linked N-acetylneuraminic acid, terminal α2,6-linked N-glycolylneuraminic acid, bisecting N-acetylglucosamine, terminal α-galactose, triantennary structureであります。

この情報は、mAb製造中の糖鎖修飾パターンを評価および監視し、製品品質の一貫性を確保し、薬物動態や免疫原性の変化につながる可能性のある望ましくない糖鎖プロファイルのリスクを軽減するために不可欠なものであります。

治療用mAbの迅速な糖鎖プロファイリングのためのカスタム・レクチンアレイ

糖鎖修飾は治療用mAbの品質と有効性を決定する上で重要です。FDAは、前述した9つの糖鎖エピトープを正しく評価するために、各糖鎖エピトープに対応する9つの異なるレクチンを特徴とするカスタム設計されたレクチンアレイを導入しました。そのレクチンは、rPhoSL, rOTH3, RCA120, rMan2, MAL_I, rPSL1a, PHAE, rMOA, PHALの9種類であります。2種類ほど一般名ではないレクチンがありますが、諸事情がありましてご容赦お願い致します。これら一連の作業は、GlycoTechnicaとの共同作業として実施され、当時GlycoTechnicaが使用していた83種類のレクチンの中からFDAが厳選したものです。

IgG1-mAb-LecChipと命名されたこのレクチンアレイは、糖タンパク質サンプルから糖鎖を切り出すことなくそのまま利用することが出来、迅速な糖鎖プロファイリングのためのハイスループットプラットフォームを提供し、糖鎖修飾パターンの比較分析を可能にします。FDAは、このレクチンアレイが、様々な製造バッチ間、あるいはバイオシミラーと先発医薬品間の糖鎖修飾の違いを評価する上で極めて実用的であるとその使用を推薦しています。

mAbs間の糖鎖修飾パターンの違いをいとも簡単に捕まえることができる

NISTの標準抗体をコントロールとして、4種類の治療用mAb(Filgrastim, Atezolizumab, Trastuzumab, Cetuximab)の比較糖鎖プロファイリングの例が示されています。左側は低感度スキャンであり、右側は小さい信号のレクチンが良く見えるように高感度でスキャンしたものを示しています。MS解析とは異なり、9種類の糖鎖エピトープの発現状態の違いが手に取るように分かります。下段は、左からcore fucoseの有無をrPhoSLで見た場合、tri/tetra-antennaryの有無をPHALで見た場合、α2-3Siaとα2-6Siaの発現状態の違いをMAL_IとrPSL1aで見た場合を示しています。ものの見事に判別できていることが分かります。

以下に示す例は、Infliximabの先行品とその3種類のバイオシミラーとの糖鎖プロファイリングの比較です。上記と同様に、左側は低感度スキャン、右側は高感度スキャンを示しています。Agalacto, High mannose, α2-6Siaらに大きな違いがあることが一目瞭然です。このようにして、FDAは、IgG1-mAb-LecChipが、様々な製造バッチ間、あるいはバイオシミラーと先発医薬品間の糖鎖修飾の違いを評価する上で極めて実用的であるとその使用を推薦したのです。

もちろん、治療用mAbに発現する糖鎖構造については、MS解析による構造同定のデータを示すことが許認可には必須とされており、レクチンアレイのみのデータを持って許認可が今日現在出るわけではありません。しかしながら、MS解析による糖鎖構造同定とレクチンアレイによる比較糖鎖プロファイリングは補完的な情報を与えるものであり、お互いがお互いの存在を否定しあうものではないことをここで明言しておきたいと思います。

世界の医薬品全体のマーケットサイズは2024年に約262兆円に達しています。その中でもバイオ医薬品の成長は顕著であり、同年にはそのマーケットサイズは38兆円に達し、今後も10%を超える成長率が見込まれています。更に、世界売上高の上位100位の医薬品に絞ると、バイオ医薬品の占める割合は2019年には5割以上を占めるまでになっています。現存するマーケットの大きさとその成長性を鑑みれば、IgG1-mAb-LecChipというアプリケーションは、正に潜在的なキラーアプリに成り得る可能性を持っているということができるでしょう。

糖鎖創薬に対する新たな視点

治療用mAbの成功により、タンパク質と糖鎖を両睨みすることでターゲティング性能を改善するという視点から糖鎖を抗原とする抗糖鎖抗体の開発が良く議論されています。しかしながら、この観点での糖鎖創薬はいまだに成功例がほとんどありません。なぜ抗糖鎖抗体が作り難いのか?というお話にはここでは踏み込みませんが、その代わりとなる糖鎖創薬の視点に話を変えてみたいと思います。

糖鎖は、ご存じのようにありとあらゆるところに存在しているがために、すべての生命現象に関与する生体分子として糖鎖創薬の目標が大風呂敷になりがちなのではないでしょうか?ブログ管理人はすべての糖鎖が絡んだ事象を網羅できているわけではないのですが、思うに、糖鎖が絡んだ超厳格なプロセスはかなり例外的なように思います。その例がここに示すカルネキシン/カルレティキュリン・サイクルによるタンパク質のフォールディング品質管理です。G3M9型糖鎖(G:グルコース, M:マンノース)がリボソームから翻訳された新生ペプチドに付加します。GlucosidaseⅠ, ⅡによってG1M9型糖鎖に刈り込まれ、それがフォールディングを助けるタンパク質であるCNX/CRTなどのシャペロン分子により特異的に認識され、フォールディングがおこなわれます。その後GlucosidaseⅡによってM9型糖鎖に刈り込まれ、この時点で正しくフォールディングしていれば、次の段階であるゴルジ体へ輸送されていきます。正しい三次元構造をとれていない場合、UGGTというフォールディングセンサー酵素に捕らえられ、グルコースが一つ再付加されG1M9糖鎖に戻り、上記のループを繰り返します。このプロセスでは、ヘテロな糖鎖発現は全く存在せず、Glc=1個の付加がタンパク質の命運を分けています。あり得ないほど超厳格なプロセスです。糖鎖の存在と役割がこのように超厳格である場合には、それをピンポイント的にターゲティングすることでその下流にあるシグナル伝達経路を遮断することが可能になり、創薬としては創薬ターゲットがとても絞りやすくなります。

しかしながら、糖鎖は、一般的にはヘテロな集団として生化学反応に関与していますので、その視点から糖鎖創薬の方法論を考え直してみるべきではないでしょうか?

ヘテロな糖鎖とプロファイリング技術の重要性

糖鎖が遺伝子によって直接コーディングされていないこともあり、糖鎖の発現は自由度が高くヘテロな分子集団を形成します。皆様には釈迦に説法的なお話ですが、下記にはIgGに発現する糖鎖をMSにて詳細解析した例が載せられています。MS解析では非常に数多くのピークが観測され、二分岐N‐型糖鎖が基本であるものの、数多くの派生構造が雑多に発現しています。しかし、ADCCやCDCと言った機能的な観点からは詳細構造情報よりもエピトープの比較プロファイリングでその増減が分かれば実際には十分であります。この種の目的には、糖鎖プロファイルの変化を簡単に解析できるレクチンアレイを用いた比較糖鎖プロファイリングが極めて有効であります。

承認されている治療用mAbに対する糖鎖の記述は貧弱

国立医薬品食品衛生研究所)生物薬品部のホームページには、認可されたバイオ医薬品の一覧が記載されています。各バイオ医薬品の審査報告書も公開されています。治療用mAbの幾つかを覗いてみたのですが、糖鎖に関する記述が貧弱なのに正直驚きました。記載されているのは主だった糖鎖構造とそのタンパク質への結合位置に対する情報のみです。糖鎖はヘテロな集団なのに、ヘテロな存在割合やそれが薬効や副作用にどのように関係しているのか?何も記載がありません(報告書は長いので斜め読みしている関係で読み飛ばしている可能性もありますが、目に止まらないくらい糖鎖に対する記述が少ないということです。これは糖鎖関連技術を開発している我々にとっては由々しき事態です。)ブログ管理人にとっても、そもそもヘテロな糖鎖集団と単一糖鎖構造の間で一体どの程度の差異が薬効に現れるのかすら明確でありません。

しかしながら、協和発酵キリンのポテリジェント技術が有名であるように、糖鎖の存在が薬効に影響を与えることは事実です。ブログ管理人が過去に、ノバルティスとスタンフォード大学との共同研究を行った結果を一つお見せ致します。以下に示す例は、当論文からの抜粋ですが、IL-23RをCHO細胞とHEK細胞で発現させた場合の違いを見せています。尚、この例はマウスでの実験です。in vitroでの実験では、両者に全くの違いは見られなかったのですが、in vivoでは、面白いことに血中濃度に極めて大きな濃度差が見られています。つまり同じ薬を作ったつもりでも、糖鎖が違うだけでこれだけ血中濃度(効果)が変わるということを如実に示しています。

名わき役にこだわり抜くと発見があるかも

先ほどご紹介した国立医薬品食品衛生研究所のホームページに記載されている認可済みのバイオ医薬品(治療用mAbのみでなく、酵素やサイトカインやホルモンなども幅広く)ですが、このような情勢を鑑みれば、その医薬品に発現している糖鎖構造が最適化されたものなのか?それとも単に発現した結果なのか?については、知る由もありません。しかし、実際には、発現している糖鎖が薬効に関係することは事実として例が幾つもある訳ですから、既存の医薬品に対しても糖鎖構造を改変してあげることで容易に「バイオベター」が得られる可能性があります。既に認可されている医薬品ですから、糖鎖構造の改変だけならレギュラトリーの閾値は下がるはずですし、すでにマーケットが存在している訳ですから、その開発リスクも少なくて済みます。実際にこれをやるかどうか?は、認可を取った製薬メーカーの考え方次第かも知れません。今更めんどくさいよ、やるだけの効果ほんとに出るのかな、いろいろな意見があることでしょう。どう考えるかはあなた次第です。

糖鎖の主たる機能は何なのか?

糖鎖がありとあらゆるところに存在し、ありとあらゆる分子間信号伝達に程度の差はあれ関わることから、糖鎖の機能について語る場合に、あれもこれもと話が大風呂敷になりがちです。その結果として創薬ターゲットの絞り込みが困難になります。糖鎖が持つ本当に重要な機能は、自分が考えるに、下記の二種になるのではないでしょうか?

自然免疫:怪しい糖鎖構造を持つ外来異物を総当り的に攻撃して排除する(自己と非自己の認識)
ブロッキング:糖鎖がリガンドと受容体の相互作用をブロッキングすることで下流のシグナリングを制御する

糖転移酵素の局所的な制御技術こそ最終的な目標か

糖鎖創薬に対する考え方なのですが、ブログ管理人は、糖鎖が持つ最大の機能である自己と非自己との判別を利用した自然免疫という原点に戻ってみることが面白いと思います。

Siglec/シアル酸の免疫チェックポイントに対する創薬はがん治療という観点ですでに研究開発が本格化しています。ここで更に踏み込んで、がん細胞に発現する糖鎖構造を大幅に制御してみてはどうでしょうか?

例えば、がん細胞に特異的にターゲティングさせた糖転移酵素の発現阻害で癌細胞の糖鎖構造をハイマンノースに変えてしまうのです。そうすると、自然免疫が活性化し、マクロファージやNK細胞ががん細胞を食い尽くしてしまうのではないでしょうか?この種の試みは、ブログ管理人が知る限りにおいて全世界においても全く手つかずであるように思います。がんが撲滅できれば、これ以上にインパクトのある創薬はありません。弊社ではリソース的に取り組むことが難しく、どなたかご興味があれば、是非やってみて頂けないか?と勝手に考えております。あるいは、iGCOREを起点にして共同開発チームを作れないか?などと妄想しています。実際に行う場合には、上記した以外の派生方法もあるかもしれませんが、ともあれがん細胞へのターゲティング方法が一番の課題かも知れません。

脛骨内果骨折体験記(完治)

術後三カ月が経過しました。

骨折当時の写真(2025年9月24日)と術後三カ月(2025年12月26日)のレントゲン写真をコラージュしてみました。
内くるぶしの骨折線は完全に消失しており、脛骨に入ったひびも骨折線も見えなくなっています。
(内くるぶしの骨折線自体は、術後6週間でほぼ消えていたので、三か月後の写真と比較してもその部分は大きな差異は認められません。)
これにて「完治」と言って良い状態になりましたので、本日をもってリハビリも卒業することになりました。

骨折部に出来上がった仮骨は徐々に硬い骨に変わって行き、最終的な骨癒合(骨が完全にくっつくこと)に至るのですが、それには3ヶ月〜半年かかると言われています。
次回の診断は、三か月後、即ち術後半年経過時なのですが、レントゲン写真をもう一度撮るということになりました。

全荷重で歩き始めたのが、術後二ヵ月が経過した時からです(11月27日~)。
おっかなびっくりですが、全荷重で少し歩く分には大丈夫なのですが、たくさん歩くといろいろな箇所が痛くなることが多々ありました。
痛む箇所も、内くるぶし周辺から足背部、足の甲、外くるぶし周辺と時と共に移っていきました。
特に痛みが長引いたのは、足背部かも知れません。長母趾伸筋腱や長趾伸筋腱のあたりです。
背屈をすると特に痛みますし、階段の登りはまだしも階段を降りる時には特に痛みました。
足首前面の筋をマッサージしながら、特に深部にまで指先を押し込むように筋をマッサージしてあげると痛みが徐々に引いていきました。
足首の背屈角度が正常値(20°)に戻っていないと、階段を降りる時には痛みがきついです。
背屈角度を元に戻すために、低めの椅子に浅く座って、膝を前に押しだす感じで足の背屈を無茶痛くない範囲でプッシュしてあげることがとても効果的でした。
強制的に足首を背屈をさせた後は、背屈と底屈動作を繰り返して足首をぶらぶらさせてリラックスさせます。
足の甲が痛み出した時は、長趾伸筋腱をマッサージするとともに、足趾を強制的に底屈させて長趾伸筋腱を伸ばしてあげることがとても効果的でした。
くるぶし周辺の痛みは、痛いところをマッサージしてあげることが効果的でした。
痛いところをマッサージしたり、少し我慢して伸ばしたりしてあげることがとても大事なように実感しました。

これらのリハビリで、今日現在は歩いても痛みは出ない状態になっています。
新年は杖無しで仕事に復帰できそうです。

ご不便をお掛けしました

糖鎖ビジネスを成功させるには何が必要なのか?というお題を頂きました

iGCORE主催の「第9回糖鎖技術研究セミナー」
糖鎖ビジネスを成功させるには何が必要なのか~糖鎖プローブレクチンの活用例と標準化~
【日時】2026年1月16日(金)15:30~17:00
【場所】オンライン形式(オープン)
糖鎖は生命活動に不可欠な分子だが、その構造的複雑性が解析および応用の進展を阻害する要因となっている。2005年、日本独自の迅速かつ高感度な糖鎖構造プロファイリング技術として「レクチンマイクロアレイ」が開発された。本技術はNEDOプロジェクト(2005~2007年)を経て速やかに製品化され、以降、米国食品医薬品局(FDA)にも採用されるなど、抗体等の糖タンパク質医薬品の糖鎖評価技術として高い評価を受けている(Mabs, 2024)。加えて、先進医療分野でも微生物由来レクチンrBC2LCNを用いた未分化状態特異的糖鎖判別技術が確立され、iPS細胞の品質管理や分化誘導後の状態評価に活用されている。しかし、これらレクチン関連技術の産業応用・事業拡大には依然として多くの課題が存在する。本セミナーでは、スタートアップ企業による課題解決策と将来展望について考察する。

―プログラムー
<挨拶・趣旨説明>
15:30~15:35
主催者挨拶:門松賢治(名古屋大学、糖鎖生命コア研究所・所長)
趣旨説明:平林淳(名古屋大学、糖鎖生命コア研究所・戦略推進室・室長)
<講演>
15:35~16:05
講演1:山田雅雄(合同会社エムック・代表)
糖鎖ビジネスを成功させるには何が必要なのか~キラーアプリの開発と標準化~
16:05~16:35
講演2:加藤竜司(名古屋大学大学院創薬科学研究科・准教授、Quastella・CSO)
画像を用いた細胞品質評価AIのビジネス化~糖鎖標識技術への期待~
<パネルディスカッション>
16:35~17:00
パネラー:鈴木睦昭(情報•システム研究機構国立遺伝学研究所)、高津吉広(生化学工業)
中村公哉(名古屋大学、学術研究・産学官連携推進本部、事業開発推進室)
進行:平林淳(名古屋大学、糖鎖生命コア研究所)

脛骨内果骨折体験記(骨がくっついた)

10月末に退院して、いよいよ術後6週間となりました。

X線写真を撮りましたので、術後4週間の状態と比較してみます。
主治医の先生曰く、
「もうくっつきましたね」
「荷重どんどんかけて行って大丈夫です」
「但し、痛かったら止めてくださいね」

「荷重は、2/3荷重くらいで、片松葉杖で大丈夫ということでしょうか?」と尋ねると、
「そうですね」とのお返事を先生から頂きました。

診察では、ベッドに横になって、足首の可動範囲を先生が確認しました。
「底屈は、左右差がほとんどないですね」
「背屈は、少し差があるかな」

次の再診は、術後3か月目になりました。
これで完治の判断がもらえるとうれしい限りです。
再骨折しないように、養生して過ごしたいと思います。


内くるぶしにあった骨折線が消失し、骨がくっついたことが分かりました。
脛骨にあるひびの骨折線ですが、若干ですがまだ存在しているように思います。
しかし、術後4週間よりは確実に小さく薄くなっていて、ひびももう直ぐ完全にくっつくと思われます。

早速、2/3荷重(自分の場合、約40kg)の場合の荷重感覚を体重計で感じてみました。
1/3荷重と比べたら、大変な荷重量で、結構足を踏み込まないと40kgになりません(泣)。
おっかなびっくりで荷重を掛けてみたのですが、幸いにも痛みは出なかったので良かったです。
ぼちぼちと慣らしていくつもりです。

脛骨内果骨折体験記(マッサージとリハビリ運動)

脛骨内果骨折の術後約5週間で退院をして自宅で療養しています。

1/3荷重状態での退院でしたので、両松葉杖を使って生活しています。歩くだけならば大丈夫なのですが、両松葉杖だと両手が空いていないので、物を持って移動することがほとんど不可能です。椅子に座っての仕事以外は何もできないに等しい状態です(笑)。

さて、今日現在行っている自宅での足首のマッサージとリハビリ運動をまとめてみましたので、ご参考になれば幸いです。

マッサージについては、足首の前部とアキレス腱周辺、そして骨折した内くるぶしの周辺を集中的にマッサージしています。足首を底屈や背屈させる時にピ~~ンと張っている筋の部分をほぐしてあげるというイメージです。内くるぶし周辺のマッサージも痛みを取るためには有効なように思います。術後2・3週間目くらいまでは、内くるぶしの周辺を押すと痛い感じがあったのですが、マッサージをすることで既に痛みはなくなっています。以下のサイトがとても参考になります。
【解説&実演】足関節骨折 痛くて歩けない•歩きにくい時のリハビリ方法

リハビリ運動については、下記のような運動を行っています。

1.足首の底屈と背屈運動(かかとの上げ下げ)、左右一緒に20回、椅子に座って行います。

2.片膝立てSLR運動、左右両足10回ずつ、膝を伸ばしたままゆっくりと足を上げて、ゆっくりと下ろします。

3.股関節外転運動(側臥位)、10回3セット、上げる脚が体に沿って真上にあがるように、体幹が前傾したりねじれたりしないように、ゆっくり上げてゆっくり下す。

4.お尻上げ運動、20回

5.四つ這いバランス、左右両側10秒ずつ、四つ這いになった後、右手と左足を上げてまっすぐ伸ばす、上げる手と足を交代させる。

6.体幹回旋運動、左右両側10秒ずつ、仰向けに寝た状態で、片方の膝を反対側に倒してゆく、胸と顔は天井をむいたまま、膝を手で少し上から押さえるのがベター。

他にも、タオルギャザリング、ハムストリングスのストレッチなどもメニューとしてはありますが、気の向いた時にやっています(笑)。

脛骨内果骨折体験記(13)

術後4週間を迎えたので、ぼちぼち退院の相談をしよう・・・、そう思いました。
というのも、骨折して入院宣告を受けた時に、
「どのくらいの期間入院しなければいけないでしょうか?」と先生にお聞きして、
「1か月は必要でしょうね」とお聞きしていたからです。

主治医の先生曰く、
「両松葉杖でOKということであれば、退院できますよ。経過は順調です」
「片松葉杖になるまで、ということであれば、後二週間ほど必要ですね」
「どうされますか?」

「分かりました。ということであれば、10月末(術後5週間+1日となります)で退院させて頂きたいと思います」
とお返事を差し上げました。

骨折した足首の現状なのですが、1/3荷重で歩いても特段の痛みはありませんが、足首前後の筋、特に前脛骨筋が張っている感じがします。その性でしょう、足首関節の可動域ですが、「背屈が15°、底屈が40°」と正常な可動域に比べて少し狭くなっています。正常な状態では、「背屈が20°、底屈が45°」ということです。
シーネが外れた当初は、背屈は逆にマイナス状態でしたし、術後2週間くらいでもわずかに「5°」くらいの数値だったので、リハビリで随分と関節の可動域が戻ってきた感じです。
理学療法士の先生曰く、
「ここまで来れば、歩けるようになったら正常値に戻っていくと思いますよ」
「退院してもリハビリ欠かさないようにやってくださいね」と「リハビリ・ブック」も頂きました。

手術の傷跡も、ずいぶん落ち着いてきました。

今回入院した病院は、ヨナハ丘の上病院です。

お世話になった先生方:
須藤先生(主治医、本病院の院長)、石黒先生(麻酔担当)

お世話になった看護師様:
水嶋様(主担当)、関山様、三枝様、小島様、鈴木様、大塩様、岡村様、山路様、水谷様、森田様ら

お世話になったリハビリ科様:
東先生(主担当)、山岡先生(主担当)、吉岡先生、谷口先生、石川先生、佐々木先生、本保先生

本当にお世話になりました。
改めてお世話になった先生方と看護師様に深く御礼申し上げます。

入院中

本「脛骨内果骨折体験記」は、退院を持ちまして連載を終了しようかな、と思っています。
退院しても完治するまでは(術後3カ月くらいでしょうか?)、外来診察(2週間に一回くらいか?)とリハビリ(週に2回)を定期的に受けることになります。
完治するのは、言わずもがなもう少し先です。

脛骨内果骨折体験記(12)

術後、4週間目になりました。

本日から、1/3荷重が許可になりました。自分の場合は、20kgの荷重を掛けても良いということになります。平行棒の間に、体重計と、体重計と同じ高さで少し長めの板を並べて床に置きます。骨折した左足を体重計に、健常な右足をダミーの板の上に置き、体重計が20kg程度の値を指すように、左足を接地させます。手は平行棒を握り、不足した荷重を手で支えます。難しいのは、この状態で、健常な右足を歩くように前後させた時に、骨折した左足にかかる荷重が20kgから大きくずれないように荷重を保つことです。ともすれば、30kg(自分の場合、1/2荷重に相当)にまで体重計の針が瞬時に上がることがあり、ビビッてしまいます。

ともあれ、これである程度1/3荷重の感覚がつかめたら、両松葉杖を使って実際に歩いてみます。この時は、「1/3荷重ってこの程度の感じだよね」という「足の裏で感じる感覚」を信じるしかありません。
理学療法士の先生曰く
「難しいんだけど、足が痛くなければ大丈夫です・・・よ(笑)」
という言葉を信頼しましょう。

術後4週間目には、X-線写真を撮りましたので、骨折時、術後2週間、そして術後4週間の写真をコラージュして比較してみました。

脛骨内果の骨折部位は、術後2週間目と比べて、明らかに骨折線が薄く細くなっているようで、骨折が治りつつある様子が分かります。
脛骨に斜め方法に入っているひびは、骨折時に比べれば明らかに骨折線が薄くなっていますが、術後2週間目と比べて劇的に変化しているかといわれると、その変化は読み取りずらいです。
術後1週間目と2週間目の比較

足首の骨折が完治するのは、3か月から半年と言われているようなので、もう少し時間がかかるのでしょう。
だって、まだ1か月ですものね。

脛骨内果骨折体験記(11)

術後、3週間目を迎えました。

今日から「つま先接地」の許可が出ました。
松葉杖で歩くときに、「気持ち、骨折した左足を接地しても良い」ということになります。
これまでは免荷だったので、完全に左足を浮かせた状態で松葉杖を使っていました。「つま先接地」と言われてもほとんど荷重はかけられないのですが、一応足は着くということで、今までとは違う松葉杖の使い方に四苦八苦しています。

松葉杖を前に出すときに、骨折した左足も同時に前に出し、つま先をちょっと着けた感じにします。荷重のほとんどは、腕で受けている格好になります。そして、右足を前に振り出して全荷重を受けるという歩き方です。階段の上り下りも何とか慣れてきました。階段を上る時は、健常な右足を先に出す。階段を降りるときは逆でして、松葉杖と骨折した左足を同時に先に出すということになります。

つま先接地(Toe Touch)で、実際に幾らくらい荷重が掛かっているのかを体重計を使って確認してみました。
つま先だけを接地した時は、5kg前後でした。足底をべたっと接地した時で、10kg程度でした。
何回も何回も確認して、5kgと10kgの荷重の感じをつかむようにしました。
足底をべたっと接地すると松葉杖の歩きにとても安定感がでます。進歩した感じがします。

松葉杖の使い方、つま先接地、参考になります


今日現在、リハビリ科からの補助具の貸し出しが、車椅子と松葉杖になりました。
ひとりで松葉杖で歩くのはリスクもあるので、ほとんど車椅子で移動しています(笑)。

来週からは、1/3荷重になるらしいです。
早く退院予定日が決まってほしいです。

脛骨内果骨折体験記(10)

術後、20日となりました。

骨折した左足は免荷状態です。従って、立っても足は床に着かないのですが、立ち上がるとみるみる血液が下肢に溜まり、鬱血した状態になります。その時には、術後の傷口もまだうずく感じがあります。
この状態は、足を心臓より上に持ち上げると一気に改善されます。


before and after
上図:足を下げた時、左足が鬱血して全体に紫色っぽくなってしまっています。左足と右足の状態には大きな差異があります。
下図:足を上げると、一気に鬱血が解消されて、右足も左足も同じような感じになります。

このことは手術の切開によって多数の静脈が切断・止血され、左足首の血の巡りが悪くなっていることを示唆します。静脈の新しい迂回路が構成されて血液の流れがスムースになるまでには少し時間がかかるのではないでしょうか?どのくらい時間がかかるのか?気にしておこうと思います。当面は、下肢を鬱血させないために、弾性ストッキングが有効そうです。

脛骨内果骨折体験記(9)

術後、17日目になりました。

まだ免荷(骨折した足に荷重を掛けてはいけない)期間が続いています。リハビリは、午前と午後に各一回、1時間行っています。リハビリの基本的な内容は、患部には無理がかからない範囲にて、骨折した左足を中心にマッサージ、その後全身的な柔軟運動、そして最後は松葉杖での歩行訓練です。

リハビリをやっているにも関わらず、「筋肉って使わないとこんなに弱ってしまうんだな」ということをふくらはぎの筋肉の動きから改めて思い知らされました。
足先を伸ばしたり立てたりした時のふくらはぎの筋肉の動きを見てみました。正常な右足では、筋肉が力こぶを作るのが明瞭に見えます。しかし、骨折した左足では、筋肉が「ぼよんぼよん」していて明らかにたるんでいるのが分かります。早く回復するには、動かせるところは動かしておかないと不味いのが良くわかります。理学療法士の方に「ぼよんぼよんのふくらはぎ」のお話をしたところ、「この部分は、歩けるようにならないと強化は難しいですよね」、「荷重がかけられるようになったら頑張っていきましょう・・・」との回答でした。

正常な右足のふくらはぎの筋肉の動き
骨折した左足のふくらはぎの筋肉の動き

術後3週間目からは、「つま先接地」を行っても良いとのことです。退院はもう少し先ですが、出口がようやく近づいてきました。

術後17日目の切開傷跡です、直りは早そうですよね。

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