カナバリン・ビローサの種子から得られた「Cvill」と名付けられたレクチンの構造と特性

Laboratory of Biochemistry and Glycobiology, Department of Biotechnology, Ghent University, Belgiumらのグループは、カナバリン・ビローサの種子から得られた「Cvill」と名付けられたレクチンの構造と特性について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10649158/

Cvillは、Canavalia villosa の種子から単離された ConA様マンノース特異的レクチンです。

レクチン構造は、他のConA 様レクチンと同様に、237アミノ酸残基で構成されています。

Cvillは、β サンドイッチとしても知られる典型的なマメ科植物のレクチン折り畳み構造を持ち、サンドイッチに似たふたつの重ねられたベータシートの存在を特徴とします。これらのベータシートは逆平行のストランドで構成されており、一方のベータシートは6本の長くて平らなベータストランドで構成され、もう一方のベータシートは7本の湾曲したストランドで構成されています。Cvillは、二量体と四量体構造を取り得ると予測されました。

糖鎖アレイの実験により、Cvillは末端α-マンノシル残基および N-型糖鎖のトリマンノシドコアに対して親和性を示すことが示されました。

Cvill は、試験したすべての細胞株に対して用量依存的な細胞毒性を示しましたが、この毒性は糖鎖を介したものです。 Cvillは、HeLa細胞について 48 時間のインキュベーション期間後に 97.0 μg/mLのIC50 値を示しました。 Cvillは線維肉腫 (HT1080 細胞) および NHDF 細胞の生存率にも影響を及ぼし、48時間のインキュベーション期間後のIC50 値は 116.08 μg/mL および 108.34 μg/mL でした。

肝細胞癌では、ラミニン受容体インテグリンα6β1のGal修飾が減少し、癌細胞の浸潤が加速する

Graduate Institute of Anatomy and Cell Biology, College of Medicine, National Taiwan University, Taipei, Taiwanらのグループは、ベータ 1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ (B4GALT) が肝細胞癌では発現が低下しており、アガラクト型のN-型糖鎖の発現を促進し、インテグリンα6およびインテグリンβ1のラミニン結合活性を強化して、肝細胞癌細胞の浸潤が促進されると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10618527/

ハイマンノースN-型糖鎖の増加は子宮内膜の脱落膜化を妨げ、妊娠不全の原因となる

Liaoning Provincial Core Lab of Glycobiology and Glycoengineering, Department of Biochemistry and Molecular Biology, Dalian Medical University, Chinaらのグループは、レクチンマイクロアレイを使用した研究により、早期妊娠女性と比較して、流産患者の脱落膜組織ではハイマンノースN-型糖鎖修飾が増加していることが分かりました。それに呼応してマンノシダーゼであるMAN1A1が減少していました。搭載レクチンの中でも、マンノース結合レクチンである、NPA、HHL、LCHA、CALSEPA、および GNAらが顕著な変化を示していました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10616321/

MAN1A1の発現低下による異常に昂進したハイマンノース化は、子宮内膜の脱落膜化を阻害しました。
Long non-coding RNA (LncRNA) のスクリーニングにより、流産患者の脱落膜組織でLncNEAT1 が増加していることが明らかになりました。
更に、LncNEAT1はNPM1-SP1転写複合体と相互作用し、MAN1A1発現を阻害することによって、子宮内膜の脱落膜化と胚の着床を妨げることが判明しました。

SARS-CoV-2とバクテリアの重複感染

Department of Experimental Immunology, Amsterdam UMC location University of Amsterdam, The Netherlandsらのグループは、SARS-CoV-2感染によって活性化されるヒト樹状細胞(DC)に発現する細菌に対する主要な受容体であるTLR4を抑制する新規経路を発見したと報告しました。
https://journals.plos.org/plospathogens/article?id=10.1371/journal.ppat.1011735

SARS-CoV-2は、C-型レクチン受容体DC-SIGNと相互作用し、Raf-1を介したTLR4シグナル伝達の抑制を引き起こすようです。この結果として、SARS-CoV-2はDC-SIGNを介して樹状細胞の免疫機能を積極的に抑制してしまい、新型コロナウイルス感染症と細菌の重複感染が起こると、死亡率の上昇を引き起こすことになるということです。