G.B. Elyakov Pacific Institute of Bioorganic Chemistry, Far-Eastern Branch of the Russian Academy of Sciences, Vladivostok, Russiaらのグループは、κ-カラギーナン(κ-CRGs)とキトサン(CH)とのナノ粒子サイズの高分子電解質複合体(PEC)の抗ウイルス効果について報告しています。
https://www.mdpi.com/1660-3397/21/4/238
海洋起源のよく知られた多糖類のひとつは、紅藻の多糖類であるカラギーナン (CRG) です。ヘパラン硫酸を模倣するCRG は、ウイルス表面受容体の正電荷をマスキングしてヘパラン硫酸プロテオグリカンに結合するのを防ぐことにより、ウイルスの侵入を含むウイルス複製の感染初期段階を阻害できる潜在的な抗ウイルス剤であることが知られています。
ナノ粒子の形成は、物理化学的特性を調節し、元の多糖類の活性を高める方法のひとつです。この目的のために、κ-カラギーナン (κ-CRG)を元に、キトサンとのの高分子電解質複合体 (PEC) を製造しました。得られたナノ粒子の平均直径は約150 ~ 200 nmでした。
これらの化合物の抗ウイルス効果を、Vero 細胞における単純ヘルペス ウイルス 1 型 (HSV-1) の細胞変性効果の阻害率によって評価しました。結果として、κ-CRGと比較したPECの抗ヘルペス活性は2倍増加し、CHとの比較では13倍の増加が示されました。これは、PECにおけるκ-CRGの物理化学的特性の変化によるものと考えられました。