げっ歯類は住血吸虫に対する免疫を持つが、その表面に発現するNー型糖鎖のcore α2-Xylose と core α3-Fucoseが抗原になっている

Department of Biochemistry, Emory University School of Medicine, Atlanta, GA, USAらのグループは、褐色ラットおよびアカゲザルにおける住血吸虫感染に対する防御抗体には、その表面に発現するN-型糖鎖のコアXyl/Fucエピトープに対するIgG応答があり、この疾患に対する糖鎖抗原をベースとするワクチン開発の有用性が期待されると報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37081851/

住血吸虫症は、住血吸虫属の寄生による感染によって引き起こされ、世界中で2億人以上の人々に感染し、最大7,000 万人に寿命ロスと健康ロスを引き起こします。これは、マラリアによる影響よりも多いのです。従って、新しいワクチンのターゲットが緊急に必要であると考えられています。多くの種類の哺乳類が住血吸虫の宿主となりえますが、ヒトには慢性的に感染するのに対し、げっ歯類は感染後すぐに住血吸虫を排除できます。

ヒトのN-型糖鎖は通常、α6結合フコースによるGlcNAc-AsnのGlcNAc残基のコア修飾を含んでいます。コアα2-キシロース (CX) およびコアα3-フコース (CF) はヒトには見られませんが、昆虫 (CF)、植物 (CX、CF)、および線虫 (CX、CF) の N-型糖鎖には共通して存在しています。

本研究では、CX/CFに対するウサギ抗HRP抗体(ratαHRP)を含むポリクロナール抗体が、in vitroで補体経路を活性化し、住血吸虫を死滅させることが出来ることが実証されました。