6-sulfo sialyl Lewis x 糖鎖に対する新規モノクローナル抗体について

千葉大学薬学部らのグループは、6-sulfo sialyl Lewis x 糖鎖に対する新規モノクローナル抗体を開発しました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10514285/

抗6-sulfo sialyl Lewis x mAbを取得する為に、GlcNAc6ST-1/-2 DKOマウスを、Cmahをコードする発現ベクターで一時的にトランスフェクトされた6-sulfo sialyl Lewis xを安定的に発現するCHO細胞で免疫しました。

SF1と名付けられた本抗体を、CFG 糖鎖マイクロアレイにアプライし、SF1の糖鎖結合特異性を詳細に決定しました。以下のように、SF1 がアレイ上の全糖鎖のうち 6-sulfo sialyl Lewis x(糖鎖 #253)に特異的に結合することが確認されました。

リンパ球の末梢リンパ節へのホーミングは、リンパ球の表面に発現するホーミング受容体であるL-セレクチンと、内皮細静脈の表面に発現する6-sulfo sialyl Lewis xとの間の相互作用に大きく依存しています。 SF1 はリンパ球のホーミングを大幅にブロック出来る為、SF1 を使用した今後の研究により、関節リウマチ、シェーグレン症候群、潰瘍性大腸炎などの疾患における 6-sulfo sialyl Lewis xの役割についての理解が進むものとして期待されます。

ST3GAL5を高発現するがん細胞から分泌されるエキソソームが、がんの腹膜播種を促進する

秋田大学医学部らのグループは、ラクトシルセラミド α-2,3-シアリル糖転移酵素(ST3G5)が、ST3G5が高発現しているがん細胞から分泌されるエキソソームによって媒介される腹膜播種を予防するための適切な創薬標的となる可能性があると述べています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37716915/

本論文では、腹膜乳状斑点におけるエクソソームによって媒介される前転移微小環境におけるST3G5(ST3GAL5 およびGM3合成酵素とも呼ばれる) の役割について研究が行われています。

ST3G5が高発現するがん細胞(ST3G5high-cExos)から分泌されるエクソソームには、高レベルの低酸素誘導因子1-α(HIF1α)と解糖系酵素が含まれており、シアル酸結合性のGM3受容体であるCD169(Siglec1とも呼ばれる)の発現上昇によるマクロファージでの取り込みを介して、腹膜乳状斑点に蓄積されることが判明しました。CD169の発現上昇は、正のフィードバックループを介して更なるエクソソームの取り込みを促進します。
尚、GM3は、ST3G5によるシアル酸のラクトシルセラミドへの転移修飾によって形成されるガングリオシドファミリー生合成における最初の分子で、細胞の接着、増殖、および遊走を調節することが知られており、HIF1αは、腹膜乳状斑点における免疫チェックポイント分子(PD-L1)の発現を増加させることが分かりました。

これらの結果は、ST3G5 が一部の癌における腹膜播種を予防するための有望な創薬標的に成り得ることを示唆しています。

シロイヌナズナにトリコデルマ菌を接種した系をモデルとして、そのマルチ・オミックス評価を行った

Department for Sustainable Food Process, CRAST Research Centre, Università Cattolica del Sacro Cuore, Piacenza, Italyらのグループは、植物の生理的反応、メタボロームレベルでの分子挙動、根圏細菌叢の変化を包括的に取り扱いながら、高温、干ばつ、およびそれらの複合的なストレスがトリコデルマ菌を接種したシロイヌナズナに与える影響について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10484583/#B19

トリコデルマ菌で処理された植物は、干ばつや高温ストレス下でも生のバイオマスが増加することを特徴としており、観察される生のバイオマスの増加が主に植物組織内の水分の蓄積によるものであることが分かっています。

トリコデルマ菌を接種すると、窒素含有代謝物(アルカロイドやポリアミンを含む)、フェニルプロパノイド、ファイトアレキシン、ターペン、グルコシノレートらの二次代謝物の産生が増加します。トリコデルマ菌の接種により、植物ホルモンであるオーキシン関連物質(すなわち、インドール-3-アセトアルデヒド、インドール-3-カルボキシアルデヒド、およびインドール-3-エタノール)、揮発性有機化合物、および短鎖ペプチドらも高発現することが分かりました。また、トリコデルマ菌の接種によって、環境ストレスの状況に応じて、土壌及び根圏細菌の量とその構成が変化していました。プロテオバクテリアは根と土壌で最も優勢であり、平均して根圏では89.6%、土壌では59.4% を占めていました、土壌サンプル中のプロテオバクテリアに加えて、最も豊富な門のひとつはバクテロイデス属と放線菌でした。

これらのことより、植物とその根圏細菌間の複雑な動的相互作用を理解するには、ホロビオント的なアプローチ、つまりマルチ・オミックス的アプローチが必要であると結論付けています。

抗生物質に対する耐性を得たヘリコバクター・ピロリに対するConA-キトサンナノ粒子DDSの検証

Tissue Engineering and Regenerative Medicine Research Center, Baqiyatallah University of Medical Sciences, Tehran, Iranらのグループは、抗生物質に対する耐性を得るに至ったヘリコバクター・ピロリに対するConAでコートしたキトサン(CS)ナノ粒子を用いたペプチド薬(CM11)のDDSについて報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10471652/

ヘリコバクター・ピロリは胃潰瘍のほとんどの原因であり、胃がんの原因にもなります。抗生物質耐性を得るに至ったピロリ菌株の出現と蔓延は、ピロリ菌感染症の治療における最も重要な課題の ひとつとなっています。

CSは、イオンチャネルゲル化法を適用することにより、CM11のためのカプセル化剤として使用されました。 ConAは、ピロリ菌を標的とする CSナノ粒子のコーティングに使用されました。CS NPおよびConA-CS NPのサイズ頻度は約 200 nm および 350 nm でした。

薬剤耐性ピロリ菌SS1 株に対する遊離CM11ペプチドの最小発育阻止濃度 (MIC) は16 μg/ml でしたが、薬剤耐性ピロリ菌SS1 はクラリスロマイシンとアモキシシリンに対して、MICがそれぞれ64μg/ml、128 μg/ml以上 でした。ナノ粒子にカプセル化したペプチド濃度は、MIC濃度の2 倍 (32 µg/ml) としました。

CM11含有ConA-CS NPは、それぞれCM11含有CS NPおよび遊離CM11ペプチドと比較して、より高い抗菌能力を有することが確認されました。 CM11含有ConA-CS NPと3剤抗生物質混合物による治療との間に有意差はなかったが、これは、3剤抗生物質療法と同様の同じ効果があることを示しています。 CM11含有ConA-CS NP および CM11含有CS NP は、12 時間後に薬剤耐性ピロリ菌SS1 を大幅に減少させましたが、アモキシシリンとクラリスロマイシンには殺傷効果がなく、増殖傾向はコントロールと同じでした。 CM11含有ConA-CS NPと 3種類の抗生物質の混合物は、薬剤耐性ピロリ菌SS1を24 時間以内に死滅させることができましたが、遊離ペプチドとCM11含有CS NP の場合は 48 時間後でした。

心筋虚血再灌流障害によって誘起されるミトコンドリアタンパク質の糖鎖修飾変化をレクチンマイクロアレイにて評価した

Department of Cardiac and Pan-Vascular Diseases, Xi’an People’s Hospital (Xi’an Fourth Hospital), Xi’an, Chinaらのグループは、心筋虚血再灌流障害によって誘起されるミトコンドリアタンパク質の糖鎖修飾変化をレクチンマイクロアレイにて評価しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10439394/

心筋虚血再灌流障害は、心臓手術後の心臓の構造と機能の回復に重大な影響を与え、 虚血再灌流障害は現在の臨床治療における大きな障害となっています。重度の心筋虚血によって、心筋細胞の代謝は嫌気性解糖によって支配され、酸性生成物の蓄積とATPの枯渇が引き起こされます。再灌流後、活性酸素種の蓄積とCa2+ 過負荷が誘発され、ミトコンドリア透過性遷移孔 (mPTP) の開口が起こり、さらに電子伝達鎖の破壊とATP産生の減少が起こります。 mPTPが開くと、マトリックスタンパク質とミトコンドリアDNAが細胞質に放出されます。このプロセスはミトコンドリアの膜電位を破壊し、酸化的リン酸化が停止し、ATP消費の増加に繋がります。 Ca2+の過剰と酸素ラジカルの生成の増加は、炎症と血栓症を更に活性化し、ミトコンドリア呼吸の破壊、マトリックスの膨張、ミトコンドリア膜の破裂を引き起こし、ミトコンドリアの損傷と細胞死に繋がります。

本研究では、虚血再灌流障害によるミトコンドリアタンパク質の糖鎖修飾の変化をレクチンマイクロアレイを用いて評価しており、45分間の虚血により、LTLおよびSNAによって認識される糖鎖構造の発現が有意に増加し、ECAによって認識される糖鎖構造が有意に減少していることが分かりました(LTLはTerminal Fucoseを認識し、ECAはGalβ1‐4GlcNAc/GalNAcを認識しますが、シアル酸が修飾されるとECAの信号は減少します)。更なる分析により、SNAによって認識されるSiaα2-6Gal/GalNAc構造が大幅に増加していることも示されました。

Glyco26番外編:台北の秋葉原、光華商場と光華国際電子広場

台湾はTSMCをはじめ世界最先端の半導体ファンドリーメーカーが存在し、電子部品の製造供給ではなくてはならない存在となっています。弊社のGlycoStationにも台湾製のデバイスが多数使われています。そんな台北には、「台北の秋葉原」と呼ばれる場所が存在します。

MRTの忠孝新生駅が最寄り駅であり、徒歩圏内に多数の電子部品のショップがあります。中でも有名なのが「光華商場」ですが、電子部品では「光華国際電子広場という地下街」の方が品揃えが多いように思います。この二つの場所を下記の地図に示します。

その実際の「光華国際電子広場」のお店の感じを幾つか写真をアップしてご紹介します。

一方の「光華商場」は、6階建てのビルであり、多数のショップが入居していますが、一階はパソコンを中心にした完成品販売のフロアーとなっており、上階は電子部品が中心ですが上階に上がるほど休業状態のお店が増えており、寂れた感じがします。部品を探すなら、絶対「光華国際電子広場」の方が良いです。一階は、台湾を代表する電子機器メーカーのASUS、Acer、MSiらの販売ショップが並んでいます。

秋葉原のヨドバシカメラやソフマップ、それに秋葉原ラジオ会館らの方が良さげです(笑)。

Glyco26番外編:台北の渋谷・原宿と言われる西門

Glyco26に参加する為の台北のホテルは、西門に取りました。MRTの西門駅周辺は、若者の街でまさに渋谷・原宿あたりを歩いている感じです。

Glyco26のとある夜、ホテルへの帰り道に西門でレストランを探しました。予約などしていないので、入る店、入る店が満杯で、渡り歩くこと数件、「熊一頂級焼肉西門店」に漸く入ることができました。このあたり、それにしても焼き肉屋が多いです。このお店は二時間食べ放題なのですが、10分毎にしか注文できないとのことで、結局食べられる総量は限られてしまいますね(笑)。

お店を外から見るとこんな感じです。正面2階のお店です。

焼肉はどうでしょう、第一級という事はないです。例えば、日本の牛角と比較すると、明らかに肉質は劣る感じがしました。入店したときは気が付かなかったのですが、ビールサーバーがあって、何杯でも飲めるようです。しかし、アワばかり出てきて、なかなかコップを一杯にできません(笑)。アイスクリームも食べ放題でして、デザートに頂きましたが、このアイスクリームはなかなか美味しかったです。キムチもなかなかに美味しい味でした。

泊まったホテルをご紹介しましょう。「パパ・ホエール」です。とても味のあるホテルです。ホテルの壁面には大きなクジラの絵が描かれていて、内装はレトロな感じです。宿泊費の割にコストパフォーマンスは高いと思います。

朝食会場は広くて種類も多く、とてもポイントが高いと思いました。

パパ・ホエールの地下1階はリフォームしてあって窓はないですが、部屋もきれいですし、なかなか快適です。このホテルに宿泊するなら、B1の部屋を予約した方が満足感が高くなると思います。2階の部屋のベッドとB1のベッドの違いをお見せします。なんと2階のベッドは、木材を積み重ねて作ってあります。こんなベッド見たことないです(笑)。2階は部屋の作りも本当に古いです。

西門には龍山寺もあり、台北の新旧が同居している面白い街ですね。

Glyco26番外編:寧夏夜市に行ってみた

台北に来たら「夜市に行ってみろ」ということで、Glyco26のとある夜、寧夏夜市に行ってみました。

この夜市は台北駅から1.5km程度の距離かと思います。
台北円環という五差路の一番細い道が寧夏路であり、ここに夜市が立ちます。
ここの臭豆腐の匂いは自分には強烈で、この匂いが立ち込める屋台周辺では物を買って食べる気が全くしませんでした。

ということで、夜市の屋台を避け、冷房が効いていて臭豆腐の匂いがしない路地のお店に入りました。
入ったお店は「鬍鬚張魯肉飯(美食文化館)」でして、知らなかったのですが魯肉飯の大手チェーン店みたいで、しかもここが本店だそうです(無茶苦茶ラッキー)。帰国して調べたら、日本にはなぜか石川県に2店舗あるらしいです。
注文はキャッシャーに直接注文し、支払いもキャッシャーで現金払いです。
台湾ビールが置いてないのがとても残念です。
台湾のお店では、アルコールが置いてあるところが少なく、自分のように食前酒としてビールを飲みながら、つまみとともに焼酎や日本酒を楽しみ、最後にご飯ものを〆で頂くという食事スタイルにはかなりつらい夕食です(笑)。
でも、ここのお店の鶏肉飯や魯肉飯とセットになっている貢丸湯は、さっぱりしていてとても美味しいと思います。
鶏肉飯には、多くの付け合わせが乗っていてお得感が高いです。味付けですが、自分には甘すぎる感じがして、もう少しあっさりした味が良いかもですね(笑)。

食後、コンビニで台湾ビールを買って飲みました。
ご飯を食べてからアルコールというのは主義ではないのですが、致し方ない(笑)。

あの~~~~、ブタさんが散歩してるんですが・・・・(笑)

Glyco26番外編:台湾・九份を旅行したら天燈の発祥地でもある十分へも行かねば損

台北へ旅行したら外せないのは、故宮博物館と九份ですよね。でも九份へ旅行するなら、ランタン(天燈)の発祥地でもある十分に立ち寄らない手はないですよね。

十分に行く場合は瑞芳駅で平溪線に乗り継ぎます。
台北駅から瑞芳駅への移動方法については、先のブログ「番外編:台北に旅行したら外すべからず九份観光、台北から九份往復の実際」を参照ください。

十分では、「ランタン(天燈)飛ばし」を体験することが出来ます。ランタンは、願い事を書いて空に飛ばすのですが、願い事の種類によって色が違います。赤色のランタンは健康運、黄色のランタンは金運、緑色のランタンは成功運、多くの願い事をすると値段もあがります(笑)。

十分の街中を通る「ローカル線」も見ものです。
車両が店の軒先に振れそうな程に狭い線路をゆっくりと車両が進んでいきます。
一時間に一本程度の頻度なので、線路脇はもとより、線路上からノスタルジックな十分の街並みを堪能することができます。ランタンは線路上から飛ばします。
車両が近づくと駅員さんが笛を吹いて知らせてくれるので安心です。

ここを走る車両は、ディーゼルです。十分を観光して、いざ帰ろうという時間に、十分全体が停電に会うというトラブルに見舞われました。当然、TPASSも動きません。どうしたものか?と思っていると駅員さんが説明を始めました。中国語なのでさっぱりわかりません。しかし、幸いにも車両はディーゼルなので、車両は時間通りに駅に入ってきました。駅員さんも何もなかったかのように乗客を誘導します。特に「十分から乗ったという紙切れ」をくれるわけでもなく、皆さんも普通に改札を抜けて車両に向かいます。

瑞芳に着いたら、窓口に皆さんが並んでいるので、自分もその列に並びました。「十分から来た」と駅員さんに告げると、TPASSの記録を書き換えて運賃が精算されるようでして、自分もそのまねをしました。十分のことは「シーフェン」と発音すれば通じます。

十分の街はずれから線路を見ると、よれよれした線路が雑草に埋もれていて、何とも寂れた雰囲気で郷愁を誘います。

十分の駅近くに「静安吊り橋」があります。是非渡ってみてください。ゆらゆら揺れるつり橋が十分の思い出を更に深くしてくれるでしょう。
欄干には印象的な彫刻が施されていました。

九份と十分は合わせて旅行すると台北の思い出がより深くなると思います。

Glyco26番外編:台北に旅行したら台湾一のパワースポット龍山寺に参拝しよう

台北へ旅行したら、台湾一のパワースポット龍山寺にお参りしない手はありません。
Glyco26に参加するために台北を訪れたのですが、空き時間を捻出して龍山寺に参拝し、台湾のパワーを頂いて参りました。

龍山寺は、地下鉄(MRT)の青色の板南線に乗り、龍山寺駅で降りればすぐ近くです。

参拝した時間には、ちょうどお坊さん達がお経を唱えていました。日本のお寺さんのお経とは何やら感じが違います。厳かで厳粛な響きという感じではなくて、何だか踊り出してしまいそうな楽し気なお経なのです。

短いですが、その様子を動画(Youtube)にして見ましたので、音を出して聞いてみてください(もっと長く録画してくるんだったなと後悔の念)。

お寺の雰囲気も、彩色豊で日本の「わびさび」を基調としたお寺さんの雰囲気とは若干違います。

皆様も是非、台湾のパワースポット龍山寺にお参りしてみてください。