抗生物質に対する耐性を得たヘリコバクター・ピロリに対するConA-キトサンナノ粒子DDSの検証

Tissue Engineering and Regenerative Medicine Research Center, Baqiyatallah University of Medical Sciences, Tehran, Iranらのグループは、抗生物質に対する耐性を得るに至ったヘリコバクター・ピロリに対するConAでコートしたキトサン(CS)ナノ粒子を用いたペプチド薬(CM11)のDDSについて報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10471652/

ヘリコバクター・ピロリは胃潰瘍のほとんどの原因であり、胃がんの原因にもなります。抗生物質耐性を得るに至ったピロリ菌株の出現と蔓延は、ピロリ菌感染症の治療における最も重要な課題の ひとつとなっています。

CSは、イオンチャネルゲル化法を適用することにより、CM11のためのカプセル化剤として使用されました。 ConAは、ピロリ菌を標的とする CSナノ粒子のコーティングに使用されました。CS NPおよびConA-CS NPのサイズ頻度は約 200 nm および 350 nm でした。

薬剤耐性ピロリ菌SS1 株に対する遊離CM11ペプチドの最小発育阻止濃度 (MIC) は16 μg/ml でしたが、薬剤耐性ピロリ菌SS1 はクラリスロマイシンとアモキシシリンに対して、MICがそれぞれ64μg/ml、128 μg/ml以上 でした。ナノ粒子にカプセル化したペプチド濃度は、MIC濃度の2 倍 (32 µg/ml) としました。

CM11含有ConA-CS NPは、それぞれCM11含有CS NPおよび遊離CM11ペプチドと比較して、より高い抗菌能力を有することが確認されました。 CM11含有ConA-CS NPと3剤抗生物質混合物による治療との間に有意差はなかったが、これは、3剤抗生物質療法と同様の同じ効果があることを示しています。 CM11含有ConA-CS NP および CM11含有CS NP は、12 時間後に薬剤耐性ピロリ菌SS1 を大幅に減少させましたが、アモキシシリンとクラリスロマイシンには殺傷効果がなく、増殖傾向はコントロールと同じでした。 CM11含有ConA-CS NPと 3種類の抗生物質の混合物は、薬剤耐性ピロリ菌SS1を24 時間以内に死滅させることができましたが、遊離ペプチドとCM11含有CS NP の場合は 48 時間後でした。