「土を育てる」ゲイブ・ブラウンが面白すぎる

この本が面白すぎます。
“土を育てる:自然をよみがえらせる土壌革命”

スマート農業とか、環境再生型農業とか、カーボン・ファーミングとか、次世代の農業を特徴づける幾つかのキーワードがあります。
スマート農業について、例えば、農林水産省が掲げる施策があります。
“スマート農業の展開について”

環境再生型農業という言葉は、割と実現したいことを的確に表現しているので、敢えて関連リンクを張ることはしませんが、地球環境を維持しながら持続可能な農業を実現するということです。
これがまさにゲイブ・ブラウンの「土を育てる」という本に書かれています。

カーボン・ファーミングという言葉はとても分かりにくいです。
例えば、同じく農林水産省の報告書があります。
“カーボン・ファーミングに関する報告書(最終版)”
これは同じく環境再生型農業と言っても、植物の生産性を上げるということ自体よりも、地球温暖化を抑え込むためのCO2の排出削減が主たる課題となっているものと理解しています。

スマート農業から話を始めましょう。
スマート農業というのは、農業の担い手の減少と高齢化の進行により労働力不足が深刻な問題となってきたというのが基本的な発端であり、農業の自動化を進めようというのが出発点です。
自動化を進めようとすると、第二次産業が見本ですが、作業の標準化とマニュアル化が必要になってきます。
それに比べて第一次産業である農業は、まだまだ「匠の技」の世界です。
従って、農業に関するあるとあらゆる現象を数値化してデータベース化し、そこに潜む関連性を作業のアルゴリズムに落とす必要があります。
最近のはやりで、そこをAIにやらしてしまえ~~というのがスマート農業の「スマート」の意味ですよね。

しかし、数値化するのは良いのですが、
本当に必要なものを数値化しているのか?
技術的に数値化しやすいものだけ数値化して満足してないか?
環境再生型農業の実現には最も大事なことなのに数値化が難しいからと細菌のそれを無視してないか?
というところに大問題があるのです。
この答えが、ゲイブ・ブラウンの「土を育てる」に書かれています。

植物と微生物の共生関係、ここをきちんと数値化できていないスマート農業なんて意味ありません。
ゲイブ・ブラウンは、土の5原則を示しています。
1.土を耕さない
2.土をカバークロップで覆う
3.あらゆる面で多様性を高める
4.土の中に生きた根を持つ
5.動物を組み込む
この意味は、この本を読むと良く分かります。

自分は、見えない根圏細菌・土壌細菌のON-SITEでの見える化を推進しています。
その時のキーワードは「安価、短時間測定、実用感度、簡単な操作」ということになります。
これ無くしては、スマート農業も環境再生型農業もカーボン・ファーミングも実現が遠のきます。

FDAはIgG1抗体医薬品用として9種類のレクチンを搭載した新規レクチンマイクロアレイを開発し、その迅速な糖鎖プロファイリングを推奨

FDAは、IgG1抗体医薬品の糖鎖エピトープを評価するために、9種類のレクチンを搭載した新規レクチンマイクロアレイを開発し、GlycoStation Reader 2300(GSR2300)と組み合わせた迅速な糖鎖プロファイリングの有効性を示しました。
https://www.fda.gov/media/169026/download
2023 FDA Science Forum

FDAの開発した新規レクチンマイクロアレイ(IgG1-mAb-LecChip)には、rPhosL, rOTH3, RCA120, rMan2, MAL_I, rPSL1a, PHAE, rMOA, PHELという9種のレクチンが固定化されており、標準的な14ウェルのLecChipフォーマットが使用されています。
IgG1モノクロナール抗体の糖鎖解析は、レクチンマイクロアレイでは糖鎖を切り出すことなく解析が可能であり、IgG1のインタクトで迅速な糖鎖プロファイリング解析が可能となっています。
FDAは、IgG1-mAb-LecChipとGlycoStationを使うことにより、IgG1抗体医薬品の開発時に、バッチ間またはバイオシミラーから先発品までの糖鎖修飾の比較分析がより簡便にハイスループットで行えるものとして製薬メーカーにその使用を推奨しています。

下図には、GlycoStationとLecChip(n=74 library)を用いて、IgG1の糖鎖解析に最適化されたIgG1-mAb-LecChipが開発された様子が示されています。

本技術の有効性を示す実例として、Infliximab先行品とそのバイオシミラーの間の糖鎖構造の違いをIgG1-mAB-LecChipとGSR2300を用いて評価した結果が下図に示されています。High Mannose構造、シアル酸修飾、3分岐N-型糖鎖らの存在量に顕著な違いがあることが一目瞭然で分かります。

PAA-糖鎖を癌細胞へのターゲティングに使用し、光照射で細胞毒性活性酸素種を放出させて癌細胞を選択的に殺す

School of Chemistry, University of East Anglia, Norwich Research Park, Norwich, UKらのグループは、糖鎖とレクチンの相互作用と光線力学的治療を組み合わせたDDSについて報告しています。
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2023/NA/D3NA00544E

レクチンの発現は、細胞の健康状態で変化する可能性があります。
例えば、癌では、糖鎖とタンパク質の相互作用は免疫チェックポイントとしても、癌転移時の新しい組織への再付着を回避する上で重要な役割を果たします。癌細胞では、増殖の増加により代謝も増加しており、その影響は糖鎖トランスポーターの増加にも反映されます。
乳癌細胞の場合には、ガレクチン、グルコーストランスポーター、マンノース受容体など、重要なレクチンと糖鎖結合受容体が上方制御されていることが分かっています。

新しい癌治療のDDSとして、PAA-糖鎖と光増感剤クロリンe6のアミン誘導体を金ナノ粒子上に化学的に結合されたものが開発されました。
PAA-糖鎖は標的のがん細胞に対する標的分子として機能し、光増感剤は特定の波長の光で活性化すると細胞傷害性活性酸素種を放出してがん細胞を死滅させます。