注意欠如多動性障害(ADHD)における血清糖タンパク質の糖鎖修飾の変化について

Institute of Chemistry, Slovak Academy of Sciences, SK-84538 Bratislava, Slovakiaらのグループは、注意欠如多動性障害(ADHD)における血清糖タンパク質の糖鎖修飾の変化について報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10218324/ 本研究は、血清蛋白質の糖鎖分析から糖修飾変化に基づいて新しいADHDのバイオマーカーを見つけ出すことが可能かどうかを判断することに焦点を当てています。本研究においては、レクチンマイクロアレイとMALDI-TOF MS法という2つの異なる技術を使用して血清東端質の糖鎖構造変が分析されています。 その結果、ADHDではコア・フコースの修飾が増加し、バイセクティングGlcNAc有する二分岐/三分岐N-型糖鎖、およびα2-3シアル酸修飾が減少することが判明しました。

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トマトの根から分泌されるヘキサデカン酸が善玉菌であるシュードモナス菌のバイオフィルム形成を最も強く促進する

School of Biotechnology and Pharmaceutical Engineering, Nanjing Tech University, Nanjing, Chinaらのグループは、トマトの根から分泌されるヘキサデカン酸が善玉菌であるシュードモナス菌のバイオフィルム形成を最も強く促進すると報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10220591/ 植物成長促進細菌は、その安全性、病気や害虫の生物学的制御、および耐環境性を誘導する能力により、農業用途で広く使用されつつあります。 それら善玉菌の根圏定着、走化性、バイオフィルム形成は、根からの分泌物と特定の代謝産物によって誘導されることが知られています。 本研究では、特定の濃度のシュードモナス・スタッツェリ NRCB010 を接種すると、トマトの成長が大幅に促進され、トマトの根からの分泌物に大きな変化が誘発されることが示されました。これらの分泌物の中で、n-ヘキサデカン酸が、シュードモナス・スタッツェリの成長、走化性反応、バイオフィルム形成、そして根 […]

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胆管癌のバイオマーカーとして癌由来エクソソームのハプトグロブリンの末端フコース修飾が注目される

Department of Life Sciences, Pohang University of Science and Technology (POSTECH), Pohang, Gyeongbuk, Republic of Koreaらのグループは、胆管癌由来エクソソームのハプトグロブリンの末端フコース修飾が胆管癌のバイオマーカーとして有望であると報告しています。 https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fonc.2023.1183442/full 腫瘍の糖鎖修飾の変化は、潜在的な癌のバイオマーカーとして着目されています。多くの研究は、しかしながら、可溶性形態で血液を循環する分泌分子の異常な糖鎖修飾変化を見つけることに焦点を当てています。本研究では、細胞外小胞 (EV) と相関する膜結合成分の末端フコシル化が胆管癌と相関することが示されました。 糖鎖分析により、胆管癌由来のEVには通常のEVよりも多くのα1-3/4フコシル化糖鎖 (末端フコシル化) が含まれていることが明らかになりました。しかし、注目すべきことに、α1-6フコース […]

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乾癬患者と健常者の常在皮膚細菌の違いについて

Biotechnology Department, College of Science, University of Baghdad, Baghdad, Iraqらのグループは、乾癬患者と健常者の常在皮膚細菌の違いについて報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10133631/ 門レベルでは、乾癬患者の病変皮膚では、健常者と比較して放線菌が有意に増加し、ファーミキューテスが大幅に減少しましたが、プロテオバクテリアに有意差は見られませんでした。更に、本研究では、乾癬皮膚の皮膚における優勢な門が放線菌とファーミキューテスであることを示しています。

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どの根圏細菌属がもっともリンの可溶化能力が高いのか:ローズウッドの根圏から

School of Agriculture, Graphic Era Hill University, Bhimtal, Indiaらのグループは、ローズウッドの根圏からどの細菌属が最もリンの可溶化能力が高いのか?について報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10147649/ その結果、シュードモナス属、クレブシエラ属、ストレプトマイセス属、パンテア属、キタサトスポラ属、ミクロコッカス属、ブドウ球菌属に属する菌株が強力なリン可溶化菌としてスクリーニングされました。 これらの内、シュードモナス エルギノーザおよびクレブシエブ バリコーラが、最も高効率なリンの可溶化能力を示したということです。

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植物善玉菌(バチルス、シュードモナス、バークホルデリアら)の比較遺伝子機能解析

State Key Laboratory of Pharmaceutical Biotechnology, School of Life Sciences, Nanjing University, Nanjing, Chinaらのグループは、NCBIデータベースに存在する植物善玉菌(PGPB)の比較遺伝子機能解析の結果について報告しています。 https://journals.asm.org/doi/10.1128/spectrum.05007-22?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed PGPB は、バチルス属、シュードモナス属、バークホルデリア属などの 60 の細菌属を含む有益な細菌群であり、植物の葉や土壌に広く定着し、植物の成長を促進し、病原体の感染を阻害します。PGPBは、葉 ([LA]; 195 株) または根圏土壌 ([SA]; 283 株) のいずれかにコロニーを形成します。 本研究の結果は、PGPB が一般に多量の炭水化物酵素 (CAZyme […]

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プロテオグリカン・リンク・タンパク質1(HAPLN1)は、膵癌の腹膜播種のドライバーであり、優れた予後マーカーと成り得る

Division Vascular Signaling and Cancer, German Cancer Research Center (DKFZ), Heidelberg, Germanyらのグループは、プロテオグリカン・リンク・タンパク質1(HAPLN1)は、膵癌の腹膜転移のドライバーであり、優れた予後マーカーと成り得ると報告しています。 https://www.nature.com/articles/s41467-023-38064-w 細胞の可塑性は、腫瘍細胞の重要な特徴です。細胞可塑性は、上皮細胞の間葉細胞への転換、ならびに間葉細胞の上皮細胞への逆転換を誘導することによる異なる細胞状態間を変換する能力であり、がん細胞の幹細胞性の特徴であります。このような可塑性は、がん細胞の腫瘍微小環境への侵入と適応をより起こし易くするだけでなく、アポトーシス、免疫攻撃、および化学療法からも保護するのに役立ちます。 がん細胞転移の重要な調節因子は、腫瘍細胞が転移部位へ浸潤する際に直面する腫瘍微小環境です。腫瘍微小環境は、がん関連線維芽細胞、内皮細胞、免疫細胞、細胞外マトリックスなど、幾つか […]

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タバコの黒色シャンク病にかかわる土壌細菌叢の特徴とバチルス菌による生物的防除の影響

Key Laboratory of Microbial Resources Collection and Preservation, Ministry of Agriculture and Rural Affairs, Institute of Agricultural Resources and Regional Planning, Chinese Academy of Agricultural Sciences, Beijing, Chinaらのグループは、タバコの黒色シャンク病にかかわる土壌細菌叢の特徴とそのバイオコントロールについて報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10108594/ 病害が発生している圃場から得られたタバコ根圏土壌サンプルを病害群(D群)とし、健常なタバコが生育している対照区から得られたタバコ根圏土壌サンプルを健常群(H群)とし、病害を発症している圃場にタバコの苗木を移植した後、Bacillus velezensis S719からなる生物的防除剤で処理された圃場から得られたサンプルを生物 […]

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げっ歯類は住血吸虫に対する免疫を持つが、その表面に発現するNー型糖鎖のcore α2-Xylose と core α3-Fucoseが抗原になっている

Department of Biochemistry, Emory University School of Medicine, Atlanta, GA, USAらのグループは、褐色ラットおよびアカゲザルにおける住血吸虫感染に対する防御抗体には、その表面に発現するN-型糖鎖のコアXyl/Fucエピトープに対するIgG応答があり、この疾患に対する糖鎖抗原をベースとするワクチン開発の有用性が期待されると報告しています。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37081851/ 住血吸虫症は、住血吸虫属の寄生による感染によって引き起こされ、世界中で2億人以上の人々に感染し、最大7,000 万人に寿命ロスと健康ロスを引き起こします。これは、マラリアによる影響よりも多いのです。従って、新しいワクチンのターゲットが緊急に必要であると考えられています。多くの種類の哺乳類が住血吸虫の宿主となりえますが、ヒトには慢性的に感染するのに対し、げっ歯類は感染後すぐに住血吸虫を排除できます。 ヒトのN-型糖鎖は通常、α6結合フコースによるGlcNAc-AsnのGlcNAc残基のコア修飾 […]

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熱帯海綿から抽出されたレクチン(HiL)の黄色ぶどう球菌に対する抗菌作用

Universidade Federal do Ceará, Departamento de Engenharia de Pesca, Laboratório de Biotecnologia Marinha, Brazilらのグループは、熱帯海綿 Haliclona (Reniera) implexiformisから抽出されたレクチンがある種のバクテリアに対して抗菌作用を示すことを報告しています。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37075356/ 海綿は、後生動物の中で最も古い海綿動物門に属する、多細胞の固着性のろ過生物であり、海洋および淡水生態系で発見された 8,500 種を超える種が報告されています。 海綿 Haliclona (Reniera) implexiformis からセファロース・マトリックスのアフィニティークロマトグラフィーによって分離されたレクチン(HiL)は、ガラクトースとその誘導体に対して特異性を示しました。 レクチンによる細菌膜上の糖鎖認識は、そのバイオフィルム形成を阻害する効果があるようです。幾つかの研究では、ガラクトース […]

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