ヒトのDectin-1欠乏症が黒色菌糸症(phaeohyphomycosis)に与える深刻な影響

Fungal Pathogenesis Section and Immunopathogenesis Section, Laboratory of Clinical Immunology and Microbiology (LCIM), National Institute of Allergy and Infectious Diseases (NIAID), NIH, Bethesda, Maryland, USAらのグループは、ヒトのDectin-1欠乏症が黒色菌糸症(phaeohyphomycosis)に対するマクロファージ免疫防御を弱めると報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9663159/ 黒色菌糸症は、メラニン産生と糸状増殖を特徴とする皮膚真菌によって引き起こされる侵襲性真菌感染症です。黒色菌糸症は、通常、外傷から感染して皮下組織に影響を及ぼし、抗真菌療法および/または外科的切除で治療可能です。 本研究では、CARD9欠損症で生命を脅かす感染症を引き起こすことが知られている植物の黒色真菌であるCoryn […]

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カンジダ症に対するPD-L1の阻害に着目した治療法の提案

Clinical Medicine Scientific and Technical Innovation Center, Shanghai Tenth People’s Hospital, Tongji University School of Medicine, Chinaらのグループは、宿主の免疫応答に対するPD-L1発現の負の側面、即ち、骨髄から感染部位への好中球の移動を阻害し、真菌感染の免疫逃避を促進する、という役割について報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9652346/ カンジダ症の原因となるカンジダ・アルビカンスは、ヒトと共生する日和見的な真菌病原体です。全身感染が起こると、カンジダ・アルビカンスは血流に入り、全身に広がり、侵襲性カンジダ症として知られる疾患を引き起こします。宿主のカンジダ・アルビカンスの殺菌は、炎症性サイトカインの放出、活性酸素種および抗菌ペプチドの生成、好中球細胞外トラップの形成といった免疫反応に依存しており、好中球が主要な働きをしています。 PD-L1は、好中球、B 細胞、樹 […]

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SARS-CoV-2 オミクロン株に特徴的な糖鎖修飾とその影響

Institute of Synthetic Biology, Shenzhen Institutes of Advanced Technology, Chinese Academy of Sciences, Shenzhen, Chinaらのグループは、SARS-CoV-2 オミクロン株に特徴的な糖鎖修飾構造と、その影響について報告しています。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36318020/ SARS-CoV-2に関する話題をブログにするのは、もう止めようと思っていたのですが、レクチンマイクロアレイを用いた比較糖鎖プロファイリング解析を基本にしている話題だったので、本論文を糖鎖とレクチンに関する話題として簡単に紹介しておこうと思います。 レクチンマイクロアレイを使用した比較糖鎖プロファイリング解析から、SARS-CoV-2 オミクロン株では、末端フコース修飾が昂進し(UEA-Iレクチンより) 、シアリル化(MAL-II、MAA、SNA-Iらのレクチンより) およびガラクトシル化糖鎖(CSA、 WFA、SBA、VVLらのレクチンより)も、他の変異株( […]

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小麦の根圏:小麦の塩害耐性を耐塩性のバチルス菌の接種で改善し、小麦の成長を促進する

Key Laboratory of Integrated Management of Crop Diseases and Pests, Department of Plant Pathology, Nanjing Agricultural University, Chinaらのグループは、小麦の塩害耐性を耐塩性のバチルス菌の接種で改善し、小麦の成長が促進されることを実証しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9608499/ 塩分は、酸化ストレス、浸透圧ストレス、栄養異常、膜機能不全、光合成活性の​​低下、およびホルモン機能不全らにつながる生理学的および代謝障害を誘発することにより、小麦の生育に有害な影響を及ぼします。塩害ストレス下の植物は、活性酸素種 (ROS) を過剰生成することがあり、タンパク質、細胞壁、そしてまた核酸にダメージを与えます。本研究の目的は、中国の青海チベット地域から分離された耐塩性のバチルス株が小麦の成長を促進し、小麦に対する塩ストレスの悪影響を軽減する可能性を評価実証することでした。 バチルス菌株、 […]

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LSECtin(CLEG4G)の二分岐N-型糖鎖への結合特異性は、溶液中と糖鎖アレイの結果では異なる

Basque Research & Technology Alliance (BRTA), Chemical Glycobiology Group, CIC bioGUNE, Bizkaia, Spainらのグループは、溶液中でのNMRの実験結果と、糖鎖を固定したマイクロアレイを用いた実験結果が異なることをLSECtinと二分岐N-型糖鎖の系で示しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9615123/ 非対称の二分岐N-型糖鎖に対する LSECtin (CLEG4G) の糖鎖結合特異性を、NMR によって精査した結果と、糖鎖アレイから得られた実験結果を比較しています。驚くべきことに、NMRの実験では、非対称LDN3およびLDN6 N-型糖鎖の両方が、溶液中で同様の親和性でLSECtinと相互作用することが確認されました。しかしながら、これは、これらの非対称二分岐N-型糖鎖が糖鎖アレイに提示されたときに得られた結果とは対照的であり、糖鎖アレイでは、LDN6のみがレクチンによって効率的に認識されました。 分子認識の様子 […]

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アルツハイマー病に特有なN-型糖鎖修飾の全体像について

Department of Surgery, Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical School, USAらのグループは、健常人、無症候性アルツハイマー、症候性アルツハイマー病患者の脳におけるN-型糖鎖修飾の全貌について報告しています。 https://www.mcponline.org/article/S1535-9476(22)00241-9/fulltext アルツハイマー病の神経病理学的特徴は、β-アミロイド (Aβ) を含む細胞外沈着物の形成と、過剰リン酸化タウによる神経内神経原線維変化の進行です。 大きな視点で、糖タンパク質の全体像を調査するために、健常人、無症候性アルツハイマー、および症候性アルツハイマーを含む30人の脳サンプルから得た糖タンパク質の定性的なN-型糖鎖修飾の分析が行われました。レクチン・アフィニティ分離と親水性相互作用クロマトグラフィー (HILIC) の組み合わせにてN-型糖鎖修飾を受けた糖タンパク質を選択的に濃縮し、LC-MS/MSによって分析をしています。 ConA、RCA、SNA […]

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腸チフス菌のVi莢膜性多糖類の作用機序について

Department of Medical Microbiology and Immunology, University of California at Davis, California, USAらのグループは、腸チフス菌のVi莢膜性多糖類の作用機序について報告しています。 https://journals.asm.org/doi/10.1128/mbio.02733-22 細菌性病原体は、(i) 免疫細胞によるオプソニン化および食作用を回避したり、或いは (ii) 食作用中の殺傷を回避して食細胞内に常駐することによって、宿主の免疫反応を逃れるという戦略を取ります。 サルモネラ属のチフス菌は、腸チフスの原因細菌であり、単核食細胞とリンパ球の蓄積である腸チフス結節と呼ばれる小さな肉芽腫に病原体が持続することを特徴とする重度の播種性感染症です。腸チフス菌は、Vi 抗原としても知られる病原性のVi莢膜多糖を合成します。これは、天然の IgM によるオプソニン化から細菌を保護し、好中球やマクロファージなどの貪食宿主細胞による貪食を防ぎます。しかし、腸チフス菌は典型的な細胞内病原体であるた […]

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野生きのこ Gymnopilus imperialis(担子菌類)の多糖類が示す免疫増強効果

Instituto de Ciências Ambientais, Químicas e Farmacêuticas, Universidade Federal de São Paulo, Brazilらのグループは、野生きのこ Gymnopilus imperialis(担子菌類)の多糖類が示す免疫増強効果について報告しています。 https://www.mdpi.com/1424-8247/15/10/1179 本研究では、G. imperialis の乾燥担子体から水溶性抽出物を抽出し、以下に示すような三つの主要な多糖類画分 (Gi-MRSW、Gi-FSME、および Gi-FPME) を得ました。 この内、Gi-MRSW 画分のみが、LPS と同様のマウス・マクロファージに対する免疫増強活性を示したとのことです。この多糖類の詳細構造については、言及されていません。

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O-Mannose修飾を受けたα-ジストログリカンとガレクチンとの相互作用について

北大・次世代物質生命科学研究センターらのグループは、O-Mannose修飾を受けたα-ジストログリカンとガレクチンとの相互作用について、特にcore M1に着目した研究結果を報告しています。 https://www.nature.com/articles/s41598-022-22758-0 O-Mannose (O-Man) の修飾構造は、ヒトにおいては正常な発達に必要な限られたタンパク質にのみ見られるもので、筋肉および神経生理学において重要な機能を持っていることが分かっています。 α-ジストログリカン (α-DG) は、ジストログリカン (DG) の細胞外成分であり、最も広く研究されている哺乳類の O-Man 糖タンパク質です。骨格筋と脳で遍在的に発現し、細胞接着、筋肉の完全性、および神経学的発達に関連しています。 α-DG は、そのムチン様ドメインに、LacNac 末端を持つ3種類のO-man コア構造 (M1、M2、および M3) というユニークな糖鎖構造を持っています。 本研究では、ヒトのGal-1、-4、および -9 (-3 を除く) は、O-Man LacNAc 末端複合 […]

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アーバスキュラー菌根菌接種による根圏細菌叢の変化と大豆の成長促進効果

Engineering Research Center of Agricultural Microbiology Technology, Ministry of Education, Heilongjiang University, Harbin, Chinaらのグループは、アーバスキュラー菌根菌(Rhizophagus intraradices)を大豆に接種し、大豆の成長効果や根圏細菌叢・真菌叢の変化について報告しています。 https://www.nature.com/articles/s41598-022-22473-w フィールド実験は、パラメータとして、AM菌接種の有り・無し、および大豆の連作の有り・無しを振り、3重の実験として行われました。即ち、In0、In1、Non0、そしてNon1という4条件での比較です。 AM菌接種の効果は、根圏細菌叢の組成変化よりも根圏真菌叢の組成変化に大きく現れました。下図に示すように、最も優勢な属は、In1YSFおよびNon1YSFで、Subulicistidium でした。ただし、フサリウムは、In0YSF と Non0YSF で最も優勢な属 […]

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