天然バイオ農薬:昆虫病原性真菌Metarhizium brunneumが産生する真菌揮発性有機化合物

Faculty of Science and Engineering, Swansea University, Singleton Park, Swansea SA2 8PP, Wales, UKらのグループは、昆虫病原性糸状菌によって産生される天然の抗菌性揮発性有機化合物は、植物の天然バイオ農薬として使用できる可能性があると報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9025432/ 昆虫病原性真菌は植物と共生関係を築き、植物の成長と生産性を向上させます。 Metarhizium brunneumやBeauveria bassianaなどの昆虫病性真菌種で処理された植物は、通常、未処理の植物よりも根系が大きく広がり、バイオマスも増え、収穫量が多くなります。 本研究では、これらの昆虫病原性真菌によって産生される真菌抗菌性揮発性有機化合物の抗菌特性を、次の土壌微生物を用いて評価しています。 グラム陰性バクテリア (Escherichia coli, Pantoea agglomerans, Pseudomonas aerug […]

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小細胞肺癌と非小細胞肺癌からのエクソソームのNー型糖鎖修飾の違い、およびキャリアタンパク質の違いについて

鹿児島大学医歯学部らのグループは、小細胞肺癌と非小細胞肺癌から分泌されるエクソソームのNー型糖鎖修飾の違いについて報告しています。 https://www.jbc.org/article/S0021-9258(22)00390-8/fulltext 肺癌は、肺のさまざまな種類の細胞から発生する組織学的に複雑な疾患です。小細胞肺癌(SCLC)と非小細胞肺癌(NSCLC)は、組織学的特性に基づいて分類された2つの主要な肺癌タイプです。非小細胞肺癌は、更に三つのタイプに分類されます、肺腺癌(LUADs)、肺扁平上皮癌(SCCs)、そして扁平上皮非小細胞肺癌(LCCs)であります。 比較された肺癌の種類は以下のようです、 小細胞肺癌 (H446 and SBC-3)、 肺腺癌 (HCC827)、 肺扁平上皮癌 (H520, SK-MES-1, and LK-2)、そして 扁平上皮非小細胞肺癌 (H1299)。 興味深いことに、主要なN-型糖鎖構造は、小細胞肺癌-エクソソームと非小細胞肺癌のエクソソームの間に著しい違いを示しました。 非小細胞肺癌のエクソソームは、通常、2分岐および3分岐のN-型 […]

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SARS-CoV-2 オミクロン変異株に対して、何故、中和抗体35B5は高い中和能力を示すのか?

Department of Gastroenterology of the Second Affiliated Hospital, School of Medicine and Life Sciences Institute, Zhejiang University, Hangzhou, Chinaらのグループは、中和抗体35B5は、RBDの「ダウン」状態から「アップ」状態への遷移を制御することで宿主侵入受容体ACE2の認識を可能とする保存されたN-型糖鎖スイッチ構造内に有意なコンフォメーション変化を引き起こすことにより、SARS-CoV-2 オミクロンおよびその他の変異体を強力に中和することが出来る、と報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8960183/ 抗体によるSARS-CoV-2の中和は、ACE2競合、ACE2分子模倣、Fc受容体を介した中和などのメカニズムによって行われます。 N-型糖鎖修飾は、タンパク質の折り畳みと安定性の制御、ウイルスの結合方向性など、ウイルスの病理学において重要な役割を果たします。糖 […]

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糖尿病性腎症と非糖尿病性腎症を唾液の糖鎖プロファイルで見分ける

Department of Nephrology, The First Medical Centre, Chinese PLA General Hospital, Chinese PLA Institute of Nephrology, State Key Laboratory of Kidney Diseases, National Clinical Research Center of Kidney Diseases, Beijing Key Laboratory of Kidney Disease, Beijing, Chinaらのグループは、唾液の糖鎖プロファイルが、糖尿病性腎症と非糖尿病性腎症を見分ける為の良いマーカーに成り得ると報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9009518/ 唾液の糖鎖プロファイルが糖尿病性腎症と非糖尿病性腎症を判別する為の良い非侵襲の診断ツールと成り得る。 AAL、LEL、LCA、VVA、NPA らのレクチンの信号レベルが糖尿病性腎症の重症度を反映し、 LELとLCAレクチンの信 […]

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原生生物(襟鞭毛虫)からはじめて R-型レクチンが見つかった

Univ. Grenoble Alpes, CNRS, CERMAV, 38000 Grenoble, Franceらのグループは、原生生物(襟鞭毛虫)からβ-トレフォイルレクチン(R-型レクチン)を初めて見つけたと報告しています。 https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2022.02.10.479907v1.full レクチンドメインは、酵素や毒素などの他の機能性タンパク質と関連していることがよくあります。生命を脅かす例は、リシン毒素やコレラ毒素です。レクチンドメインは、これら毒素が細胞に取り込まれて代謝異常を誘発する前座として、細胞表面に存在する特異的な糖鎖との接合に関与しています。 著者らは、TrefLecデータベースを使用して、襟鞭毛虫のゲノムに真核生物のMytilecドメインを初めて発見し、それをSaroL-1と名付けました。 Mytilecドメインは、β-トレフォイルレクチン(R-型レクチン)として機能し、グロボトリアオシルセラミド(Gb3)に効率的に結合することが知られています。 これらβ-トレフォイルレクチン(R型レクチン)は、 […]

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レプトスピラの病原性改変 (VM)タンパク質は、タンデムN-末端リシンB-鎖様β-トレフォイルドメインを含む新規R型レクチンだった

A group from Section of Infectious Diseases, Department of Internal Medicine, Yale University School of Medicine, New Haven, CT, USAらのグループは、レプトスピラの病原性改変 (VM)タンパク質は、タンデムN-末端リシンB-鎖様β-トレフォイルドメインを含む新規R型レクチンであると報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9002632/ いわゆる病原性改変(VM)タンパク質は、レプトスピラ症の病因に関係しており。レプトスピラ症は、世界的に重要な人獣共通感染症であります。 VMタンパク質(PF07598)の遺伝子相同性検索から、タンデムリシンB-鎖様レクチンサブドメインがそのタンパク質のN-末端領域で同定されました。リシンB鎖、レプトスピラVMタンパク質は、例えばモデルタンパク質として、末端ガラクトースおよびアシアロフェツインなどのN-アセチルガラクトサミン残基に結合する可能性があります。 実 […]

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T-抗原(シアル酸修飾の有無にかかわらず)はMUC21の抗アポトーシス効果に不可欠である

東京大学薬学部のグループらは、MUC21の抗アポトーシス効果にT-抗原(シアル酸修飾の有無にかかわらず)の存在が必須の様だと報告しています。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35410995/ ムチンは、物理的、化学的、および生物学的傷害から上皮表面を保護すると考えられている高度にO-型糖鎖修飾されたタンパク質であり、ムチンは、がんの診断や治療の分野で注目されています。 ムチン21(MUC21)は、乳がん関連ムチンであり、マウスのエピグリカニンを同定する努力の中で発見されたユニークな膜貫通型ムチンです トランスフェクションによるMUC21の発現が上皮細胞をアポトーシス抵抗性にすることが本研究で初めて報告されました。この効果を発生させるには、MUC21のO-型糖鎖を伸長して、シアル化の有無にかかわらずGal残基を含める必要がありました。更に、このMUC21依存性アポトーシス抵抗性は、Galectin-3が存在しなくても変化しないことを示し、別のGalectinまたは糖鎖結合性分子が効果を媒介していることが示唆されました。 ガラクトースによるO-型糖鎖の伸長 […]

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癌患者の尿中に特異的な遊離糖鎖が増加している

大阪国際がんセンターのグループは、癌患者において、尿中の遊離糖鎖が増加していると報告しています。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35413075/ α1,3-フコース修飾、α2,6-シアル酸修飾を受けた三分岐構造、および/または(Man3)GlcNAc1-コアを有する尿中の遊離糖鎖が、癌患者で有意に上昇していました。単純なα2,3-シアル酸修飾およびα1,6-コア-フコース修飾は、遊離糖鎖のレベル上昇に寄与していないようでした。下図はそのような典型例を示しています。 G: 胃癌、P: 膵臓癌、B: 胆管癌、C: 大腸癌

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リンパ系フィラリア症で見られるIgGの糖鎖修飾異常について

Institute of Medical Microbiology, Immunology and Parasitology Institut for Medical Microbiology, University Hospital Bonn, Germanyらのグループは、リンパ系フィラリア症で見られるIgGの糖鎖修飾異常について報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8992374/ 一般に象皮病として知られるリンパ系フィラリア症は、ベクター媒介性糸状虫であるバンクロフト糸状虫、マレー糸状虫、およびチモール糸状虫によって引き起こされる熱帯病です。風土病地域では、ほとんどの感染者は無症候性のままであり、ミクロフィラリア(MF+)を保有し、寄生虫の感染に寄与しつつも、感染の外部兆候を示しません。対照的に、風土病正常(EN)としても知られている人達は、ベクターへの継続的な曝露にもかかわらず、感染がないままです。感染曝露されたヒトの一部では、感染症が慢性病理学(CP)に発展し、リンパ浮腫(組織の腫れ)、象皮病(皮膚/組織 […]

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HLAとSARS-CoV-2の重症度との関係性:HLA-A*68は重症化を防ぎ、HLA-A*01は重症化を招く

Department of Transplantation, Instituto Nacional de Ciencias Médicas y Nutrición Salvador Zubirán, Mexico City, Mexicoらのグループは、HLAタイプとCOVID-19の関係性について報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8982524/ メキシコのチアパス州タパチュラでのパイロット研究では、対立遺伝子HLA-A*68を持つ患者では、重症化の頻度が減少していました(OR = 0.4, 95% CI =0.20-0.86)。 HLA-A*68は、メキシコの先住民の祖先集団に高頻度で存在する祖先対立遺伝子であり、最も頻度が高いのは、ユカタン州メリダ、およびユカタン地方の住民です。 HLA-A*68のようなCOVID-19に対して保護的な対立遺伝子の存在は、この地域がメキシコ全体で最も影響を受けていない理由のひとつであり、COVID-19の発生率が低い理由を少し説明することができます。 一方、HLA-A*01 […]

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