根圏バクテリアのポテンシャル:赤トウモロコシの根圏細菌 Pseudomonas protegens EMM-1から優れた病原菌阻害物質が見つかった

Benemérita Universidad Autónoma de Puebla (BUAP), Puebla, Pue., Méxicoらのグループは、根圏バクテリア、シュードモナス属のグラム陰性桿菌 EMM-1(Pseudomonas protegens EMM-1)から抽出された病原菌阻害物質について報告しています。 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0240545 Pseudomonas protegens EMM-1 は、赤トウモロコシの根圏から単離されました。そして、そのPseudomonas protegens EMM-1 が効果的に肺炎桿菌や化膿性レンサ球菌らを阻害することが分かりました。 Pseudomonas protegens EMM-1から分泌される阻害物質の実態を調べる為、まず初めに、遠心分離で培養上清液を使用する方法を試しましたが、この中からは阻害物質は見つかりませんでした。代わりに、エタノールを用いた冷却リーチング法で寒天培地から阻害物質が抽出できました。こ […]

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強い免疫圧力下で、80日間でSARS-CoV-2はNTDやRBDに変異を作って中和抗体から免疫を逃れた

Monoclonal Antibody Discovery Lab, Fondazione Toscana Life Sciences, Siena, Italyらのグループは、強い免疫圧力下で、SARS-CoV-2は、変異を導入することで、80日間にて回復期患者の中和抗体から逃れてしまった、という報告をしています。 https://www.pnas.org/content/118/36/e2103154118.long ワクチン開発における重要な問題は、回復期患者やワクチン接種済み者の抗体免疫下で、ウイルスが完全に免疫を逃れるように進化できるか否か、ということです。この問題を検証するために、回復期患者の血漿とSARS-CoV-2 wild-type (WT) との混合物を Vero E6 細胞と共培養を行い、14継代、90日間に渡って評価しました。 この共培養実験に使われた血漿は、2020年3月から5月にかけて得られた20名のCOVID-19回復期患者の血漿から選別したものであり、この時期は、オリジナルのSARS-CoV-2 WT と SARS-CoV-2 D614G 変異株のみが存 […]

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COVID-19が契機となり発症するギランバレー症候群

Emergency Department, San Carlos Clinical Hospital, Complutense University, Madrid, Spainらのグループは、COVID-19発症者とCOVID-19非発症者におけるギランバレー症候群の発症率の差異について報告してます。 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.25987 COVID-19発症者10万人当たりのギランバレー症候群の発症率は9.44(95% CI = 7.30–12.0)、COVID-19非発症者の場合は、10万人当たり0.69(95% CI = 0.56–0.84)となりました。オッズ比で表現すると、COVID-19発症者の場合、COVID-19非発症者に対するオッズ比は 13.5(95% CI = 9.88–18.4)ということになります。 ギランバレー症候群は末梢神経における自己免疫疾患であり、通常、ウイルスや病原菌の感染が引き金になります。 ギランバレー症候群の発症メカニズムは、次のようであると考えられています。 ウイルスや病 […]

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Googleのインデックス登録速度がカバレッジの増大とともに遅くなってきた

Mxのホームページを立ち上げてから、月に30件(日本語、英語版合わせれば60件)をアップしてきたので、そこそこのインデックス登録数になってきました。 しかし、その性なのか、Google Search Consoleでインデックス登録をリクエストしてから、実際にインデックス登録されるまでの速度が遅くなってきている気がします。 しかも記事数が500くらいに達してから顕著であり、インデックス登録の上限値に500というのがひとつの区切りとして存在するのかも知れないと思われます。 Mxの場合は、サイトができてからまだ日が浅く、トラフィックもそんなに多いこともないので、特にそうなのかも知れません。 Google担当者の解決法に関するコメントに、サイト全体をより強力にするためにページ数を減らす、という内容の発現があり、これって、ブログサイトの様に記事が増え続けるサイトの場合には問題ですよね。 https://youtu.be/6Lu2F_y54fg MicrosoftのBingを検索エンジンにしてインデックス登録を確認すると、こちらはかなり高速(投稿したその日の内に)インデックスされているみたいで、 […]

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肺感染症を引き起こすスケドスポリウム属は、フコース特異的なSapL1レクチンを持ち、肺上皮細胞に結合する

Univ. Grenoble Alpes, Franceらのグループは、真菌であるスケドスポリウム・アピオスペルムムが持つレクチン、Scedosporium apiospermum Lectin 1 (SapL1)、の糖鎖結合特異性について報告しています。. https://www.nature.com/articles/s41598-021-95008-4 スケドスポリウム・アピオスペルムムは、ヒトの肺感染症を引き起こす日和見真菌病原菌であり、土壌に広く分布しています。宿主と病原菌の相互作用は、しばしばレクチンが関係しており、結合を阻害するための糖鎖様分子の開発のための治療ターゲットとなっています。著者らのこの報告は、このSapL1と名付けられたレクチンの糖鎖結合特異性らについて初めてのものと思われます。 肺上皮細胞表面へのSapL1の結合リガンドを同定するために、585種類の糖鎖を固定化したCFGの糖鎖アレイVer5.4が使われました。SapL1をFITCにてラベリングし、ふたつの濃度(5 と 50 μg/mL)でアプライしました。SapL1 は、フコシル化された糖鎖を認識するよう […]

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COVID-19重症化の起点は、パイロトーシスにある:血中の単球の10%、肺のマクロファージの8%が、SARS-CoV-2の感染を受けている

Harvard Medical School, USAらのグループは、COVID-19の患者では、血中の単球の10%、肺のマクロファージの8%がSARS-CoV-2に感染しており、Fc受容体を介して抗体・ウイルス結合体が取り込まれることによって誘起される炎症性細胞死(パイロトーシス)がCOVID-19にとって諸刃の剣になっていると述べています。 https://www.researchsquare.com/article/rs-153628/v1 SARS-CoV-2がどのようにして炎症を引き起こすのかについて、未だにその全容が完全に理解されておりません。 単球とマクロファージは、それぞれ、血中および組織における、免疫の最前線にいる免疫細胞であります。これら免疫細胞は、ウイルスの侵入を感知すると、インフラマソームを形成し、caspase-1やガスダーミンD (GSDMD) を活性化し、炎症性細胞死を誘起するとともに、炎症性サイトカインを放出します。 単球は、一般的にACE2は発現していないとされ、実際、健常者(HD)の単球も、SARS-CoV-2によって活性化された単球においても、AC […]

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感染力の強いSARS-CoV-2 デルタ株の蔓延もあるが、Pfizerのワクチン接種から半年も経つと感染リスクが上がりだす

Leumit Health Services, Israelらのグループは、Pfizerの2回ワクチン接種後の経過時間がSARS-CoV-2の感染予防に対して与える影響を調査しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8366798/ 本研究のコホートサイズは、ワクチンの完全接種を受けた33,993名(49% 女性、平均年齢 47歳)を含んで居ます。Pfizer-BioNTech BNT162b2ワクチンの二回接種を受けたこの大きなコホートにおいて、ワクチン接種完了後146日(約5カ月)が経過すると、SARS-CoV-2に対する感染リスクが顕著に上がってくるということがあります。この傾向はすべての年齢層で同じなのですが、年齢が上がるほど感染リスクは上がっており、60歳以上の場合で、感染リスクのオッズ比は3.00倍に上がっていました。しかしながら、この研究期間を通じて、SARS-CoV-2の新しい感染はデルタ株(B.1.1627.2)であることを考慮する必要がありそうです(113名の内、93%がデルタ株)。 ブログ管理人は、現在 […]

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コメの根圏:シュードモナス・クロロラフィスは、コメの免疫防御を活性化するようだ

International Centre for Genetic Engineering and Biotechnology, Trieste, Italyらのグループは、コメの根圏におけるシュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)の接種の影響について報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8309335/ 植物成長促進根圏バクテリア(PGPR)の中で、シュードモナス・クロロラフィス(P. chlororaphis)に属する株が、単子葉植物、双子葉植物、野生植物、栽培植物を含んで多様な植物と共生関係を作っています。P. chlororaphis は、現在、次の四種に分類されています、即ち、chlororaphis、aureofaciens、aurantiaca、pisciumであります。 P. chlororaphis は、植物プロバイオティクスとしての応用が注目されており、根圏バクテリアとして、走化性、運動性、バイオフィルム形成、リン可溶化、aminocyclopropane- […]

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COVID-19で起こる頭痛の原因は、血中で上昇したHMGB1が三叉神経を刺激するからだと考えられる

Gazi University Hospital, Medical Faculty, Besevler, Ankara, Turkeyらのグループは、COVID-19における呼吸器感染からリリースされるHMGB1が三叉神経を刺激し、COVID-19の頭痛を招く原因になっているようだと、おそらく初めての報告です。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8358545/ COVID-19で頭痛に苦しんでいる患者では、HMGB1、NLRP3、ACE2、そしてIL-6の血中レベルが頭痛の無い患者よりも顕著に高くなっており、CGRPとIL-10は逆に低くなっていることが分かりました。 考察の結果、HMGB1が侵害受容的な特性を持つ炎症性分子となっており、SARS-CoV-2感染による炎症性反応の中でも中心的な存在となり、これが三叉神経に激しい信号を誘起し、頭痛を招く原因になっているとしました。細胞外のHMGB1 は、活性化されたマクロファージ、単球、NK細胞、樹状細胞からSARS-CoV-2のような病原菌・ウイルスの侵入に反応して分泌されます。 […]

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トウモロコシの根圏:トウモロコシの根のレクチン(MRL)にベータプロテオバクテリアのリポ多糖(LPS)のO-GalNAc残基が結合する

Universidade Federal do Paraná, Curitiba, Paraná, Brazilらのグループは、トウモロコシの根のレクチン(MRL)が、ベータプロテオバクテリア(Herbaspirillum seropedicae)のリポ多糖(LPS)のO-GalNAcを認識することで共生が開始されるようだと報告しています。 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0077001 リポ多糖(LPS)は、非常に複雑な巨大分子であり、グラム陰性細菌の細胞膜の外側に単分子層として排他的に存在します。この複合糖質は、3つの領域からなり、細胞膜の外側に分子をアンカーするLipid A、コアとなるオリゴ糖、そしてO-型糖鎖です。Herbaspirillum seropedicae(野生型)株のLPSは、様々なO-型糖鎖修飾を含むlipid Aを持ち、その変異体株LPSEB(waaL)は、O-型糖鎖修飾を持たないLipid Aのコアしか持っていません。ここで、H. seropedicae とい […]

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