COVID-19が契機となり発症するギランバレー症候群

Emergency Department, San Carlos Clinical Hospital, Complutense University, Madrid, Spainらのグループは、COVID-19発症者とCOVID-19非発症者におけるギランバレー症候群の発症率の差異について報告してます。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.25987

COVID-19発症者10万人当たりのギランバレー症候群の発症率は9.44(95% CI = 7.30–12.0)、COVID-19非発症者の場合は、10万人当たり0.69(95% CI = 0.56–0.84)となりました。オッズ比で表現すると、COVID-19発症者の場合、COVID-19非発症者に対するオッズ比は 13.5(95% CI = 9.88–18.4)ということになります。

ギランバレー症候群は末梢神経における自己免疫疾患であり、通常、ウイルスや病原菌の感染が引き金になります。
ギランバレー症候群の発症メカニズムは、次のようであると考えられています。
ウイルスや病原菌表面の糖脂質様抗原をターゲットとする抗体が産生され、それが神経軸索上のGM1に交差反応的に結合することによって捕体系路が活性化され、メンブレンアタック複合体が末梢神経システムにダメージを与える。


上図は、右記より引用 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8196284/

ブログ管理人は、SARS-CoV-2 Spike上のどの糖鎖構造がGM1に交差反応的な抗体を誘起しているのかについては定かではありませんが、恐らくGM1にも存在する Galβ1-3GalNAc 構造がその他糖鎖構造に比べてもっともらしいと感じます。