アーカイブ: 2025年9月30日

脛骨内果骨折体験記(2)

手術が終わって病室に戻って来ました。
自分の場合は、全身麻酔の気管チューブを抜いた後、幸いにも喉に痛みもなく、痰が絡むこともなく、吐き気もせず、かなり楽でした。病室に戻ってもまだ完全には麻酔は冷めきっておらず、もうろうとはしています。
手術をした左足は、何故か膝が90°に曲がっていて、足にはまだ強力な麻酔が残っているようで、足を伸ばそうとしてもピクリとも動かず、伸ばそうと膝を押してもピクリとも動きません。(後々、検索して分かったのですが、足首に金属プレートを入れて固定する時は、膝を90°に曲げて行うこと、というのがプロトコルに書いてありました)

術後の点滴は、ボルペン輸液6%(500mL)とアセリオ静注液(100mL)でした。ボルペンは代用血漿剤であり、アセリオはアミノアセトフェン(1000mg)が入っている鎮痛剤です。手術後の痛みのピークは1日目かも知れません。手術当日にアセリオ静注液を1本点滴、そして翌日には、朝と夜にそれぞれ一回、アセリオ静注液を点滴してもらいました。術後二日目には痛みはかなり治まり、鎮痛剤の使用は止めました。そして、何と術後3日目には、痛みはほぼゼロになりました。すごい順調そうです。
なお、術後の翌日から、抗菌製剤としての「レボフロキサシン」、抗凝固薬としての「リクシアナ」、そして胃酸分泌抑制薬としての「タケキャブ」が一週間分処方されました。術後の感染症予防、深部静脈血栓症の予防、そして全身麻酔で活動の低下した胃腸のケアという事なのだと思います。


術後に行われた点滴=2種類(代用血漿剤と鎮痛剤)

リハビリが何と術後1日目から始まります。もちろん骨折部は固定されているので、固定具が外せるまでは、患部を動かすものではもちろんありません。足全体のマッサージや患部以外の関節の可動などです。術後1日目のリハビリの主目的は、患部に荷重を掛けることなく浮かした状態で自分で車椅子に乗り降りができるようになることです。これができれば、自分でトイレに行って用を足すことができます。

左足に多少とも荷重を掛けられるようになるのはまだまだ先です。少なくとも術後3週間以上先だという話です。今後も地道なリハビリが続きます。
脛骨内果骨折体験記(3)は、術後の経過診断が終わって、免荷期間のリハビリを題材にするつもりです。

脛骨内果骨折体験記(1)

ロフトから足を踏み外して2mほど落下してしまいました。

足首と顔にただならぬ痛みが走り、あちゃ、やってしまったかも、ねん挫と打撲の痛みを超えていると思いました。視界がチカチカするトゲトゲした模様で埋め尽くされ、視界も白く飛んでしまって、周りの景色が霞んで見えません。起き上がろうにも痛みとぼやけた視界のせいで体に力が入りません。そうこうしている間に、
「どうしたの?、すごい大きな音がしたよ」って家内が飛んできて、
「やばいロフトから落ちた、足首が痛くて動けない」
「どこが痛いのかな?外くるぶし?それとも内くるぶし?」
「どこをどう打ったのか?わからないけど、内くるぶしのあたりが一番痛い」
機転を利かせて足首に湿布を貼ってくれました。おそらくこの救急措置が症状の悪化を食い止めるのに役に立ったのだと思います。
落下直後は激痛で、それが収まるまで待つしかなかったのですが、この緊急処置もあり、痛みは治まってきました。じっとしていると痛みを感じなくなりました。
それからしばらくすると視界も落ち着いてきたので、起き上がって歩こうとして、けがした左足を床につけたらとんでもない激痛が走りました。
「ダメだ全然歩けないや!午後から名古屋に行く予定だったのに、参ったな!」
とにかく、お医者さんに行くしかないので、2階から1階に降りる上段の階段に座り込んで一段一段をゆっくりとおしりを使って降りました。
「どうする救急車呼ぶ?」
「いや、大袈裟だから自分の車で行こう」
右足でケンケンして何とか車にたどり着き、後席に乗り込みました。まだ視界は完全に治っていません、ぐるぐるしています。そして、家内の運転で病院に向かいました。行く病院は、近くにあるヨナハ丘の上病院と決めていました。家内が受付を済ませて看護師さんと車椅子を持って駐車場まで来てくれました。
「どうしました、大丈夫ですか?顔色から血の気が引いていますよ、唇も紫っぽいです」
お陰様で段取りは素早かったので、脳神経外科と整形外科の両方に診てもらうことになり、血液検査、X線撮影、CT撮影を短時間に終えました。幸い脳内には出血はありませんでした。X線写真には、脛骨内果にパックリ入った骨折と、ひびの入った脛骨が写っていました。
「即入院してください、手術が必要です」と先生から診断結果を告げられました。
あっと言う間に入院の説明が始まり、追加検査が始まりました。血液検査、尿検査、心電図、心エコーです。例に漏れず、同意書の署名書類が一杯並びます。麻酔については、麻酔担当の先生からブロック麻酔と全身麻酔がありますと説明を受け、
「どうされますか?」と質問されました。
「全身麻酔でお願い致します」とお答えしました。

いよいよ翌日の11:30に手術が行われます。手術前にシャワーを浴び、手術着に着替え、事前にラクテック注(500mL)が点滴されます。そして、手術開始5分前にいよいよ手術室に入ります。最初に酸素吸入を受けます、体中に酸素を行き渡らせるんですね、なるほど。そして、
「麻酔始めますね」と言う先生の言葉で静脈注射が行われました。
一瞬冷たいものが入ってきた感覚があります。麻酔薬が静脈注射されてから数秒は意識があった感じですが、目覚めた時には手術が終わっていました。その間は全く何にも覚えていません。先生や看護師さんが話しかけてくれているのが聞こえますが、まだ麻酔が残っていてうまく喋れません。まだぼやけた意識の中で、手術を担当された先生だと思います、「うまく行きましたよ!」って言って頂いたのを理解しました。ありがとうございます。


before and after
脛骨内果骨折だけでなく脛骨にひびが入っていたので、整骨して固定するのに金属プレートが使われています。
使用された金属プレートは、骨端用プレート(生体用合金I)標準型ということです。
お医者様のお話では、「この金属プレートは、抜釘する必要はありません」とのことでした。

下図は術後の両足です。
健常な右足は、深部静脈血栓を防ぐための弾性ストッキングを履き、更にその上から血流を促進するためのエアポンプが付けられています。
骨折した左足にはシーネが添えられ、包帯がしっかり巻かれて固定されています。

糖鎖創薬は視点を変えるべし

糖鎖関連ビジネスを成功させる為には何が必要なのか?というブログ記事を2025年7月1日に投稿しています。今回の記事では、少しブログ管理人が絡んだ実例を織り込んで、より見えやすい形で記載してみようと思います。

実は、ブログ管理人が、過去に大手製薬企業のNovartisとスタンフォード大学との共同研究で下記のような論文を投稿したことがあります。
Transient expression of an IL-23R extracellular domain Fc fusion protein in CHO vs. HEK cells results in improved plasma exposure
これはサイトカイン(IL23)をCHOとHEKで発現させたときに(実際には、Fc-fusionプロテインとして発現させています)、両者には薬理動態的に大きな差異があり、その差異は糖鎖修飾の違いによるものだったというお話です。CHOで発現させたIL23の方が血中濃度が高くなります。
この実例は、糖鎖修飾の様子を変えてあげることで、バイオ医薬品に関してそのバイオベターが容易に開発できる可能性を示しています。

今日現在、如何なるバイオ医薬品が上市されているのかについては、国立医薬品食料衛生研究所の下記情報が参考になります。
承認されたバイオ医薬品

リストされているバイオ医薬品について、発現している典型的な糖鎖構造に関する記述があります。ご存知のように、糖鎖は非常にヘテロな集団ですので、記載されている糖鎖構造の派生構造が多様に発現しています。CHOらの発現系を使うと、100%単一な糖鎖構造が発現することはあり得ません。それにしても、バイオ医薬品として既に認可されている医薬品に発現している糖鎖構造について、それが薬効としてベストな構造としての選択を経た結果であるのか?それとも使用している発現系の結果としてそうなっているのか?については、ブログ管理人には全く不明です。
ブログ管理人が言いたいのは、つまり、すでに認可されているバイオ医薬品の糖鎖構造を再吟味することで、バイオベターが生まれる可能性は非常に高いのではないか?という事です。抗体医薬品に対しては、ポテリジェント技術が非常に有名ですが、酵素、血液凝固線溶系因子、ワクチン、ホルモン、インターフェロン、サイトカインらそれ以外のバイオ医薬品についても、それぞれの医薬品に対応して、その薬効をバイオベターとして生かせる糖鎖構造があるかも知れないということです。

糖鎖創薬は視点を変えるべし、これがバイオベターへの近道なのではないでしょうか?

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