GPバイオサイエンスの軌跡

2009年2月27日:GPバイオサイエンス設立(代表取締役:高畠末明、取締役:永富佐江子、山田雅雄)
2009年5月1日:モリテックスより糖鎖関連事業の譲渡を受ける
2009年12月22日:モリテックスよりPGxリサーチセンター部門の譲渡を受ける
2010年11月16日:札幌近郊に恵庭研究開発センターを開設
2011年2月23日:大阪に彩都分室を開設
2012年3月1日:遺伝子関連事業をトランスジェニックへ譲渡する
2012年7月31日:事業活動を停止し全員解雇、有志が再起を誓う(山田、廣瀬、横田、坂下)
2013年4月2日:札幌地方裁判所にて破産手続き開始


2008年11月、ロンドンで開催されたグライコミクス研究所の代表者(山田、小川)とプロコグニアの代表者(高畠、Ron Long、Alon Natanson)が介しての特許紛争に関する合意を受け、程無く、モリテックスよりグライコミクス研究所がスピンオフする形でGPバイオサイエンスが設立された。当時の高畠と永富は、プロコグニア・ジャパンの取締役、山田は、モリテックス理事・グライコミクス研究所長であった。GPバイオサイエンスは、本社を札幌に置き、横浜事業所を横浜市青葉区江田にあるモリテックスビル内に置いた。糖鎖解析(糖鎖プロファイリング)に関する国産の世界唯一のプラットフォーム技術である”GlycoStation”を軸として糖鎖関連の事業をスタートさせ、全世界への拡販を図るべく、米国、欧州へと営業展開を急加速していった。GlycoStationとLecChipは、モリテックスのグライコミクス研究所が2007年に上市したものである。診断薬開発の分野でも、前立腺肥大症(弘前大医学部)、潰瘍性大腸炎(阪大医学部)、糖尿病性腎症(岡山大医学部)らにフォーカスして、糖鎖マーカーの開発を進めていた。更には、より包括的なバイオ関連事業の展開を行うべく、モリテックスよりPGxリサーチセンターの事業譲渡も受けた。PGxリサーチセンターは、イルミナおよびアフィメトリクスの国内公認プロバイダーであり、モリテックスは、GLP準拠にて遺伝子解析受託サービスを展開していた。

最盛期の従業員数は役員も含めて25名に達し、売上高は2億円を超えた。しかしながら、固定費の高さから赤字基調から一度も抜け出すことができず、設立後わずか4年で倒産した。多額の助成金(2/3助成)がキャッシュフローを圧迫し、且つそれを事業に有効活用できなかったのも敗因の一つであろう。資金調達には北海道ベンチャーキャピタル、エンゼル・キャピタルらの支援を受けていた。

イスラエルのプロコグニアもGPバイオサイエンスの後を追うように2014年に倒産し、持っていた特許はその後オープンになった。


助成金事業一覧

  1. NEDO 糖鎖機能活用技術開発プロジェクト、エンリッチメント・デバイスの開発、平成22年4月1日~平成23年3月31日、735万円
  2. 北海道経産局、平成22年度中小企業等の研究開発力向上及び実用化推進のための支援事業、糖脂質のアレイによる分析方法及び大腸癌糖脂質マーカーの開発、平成22年8月31日~平成23年3月31日、2,820万円(2/3助成額)
  3. NEDO、糖鎖を使用した癌幹細胞の単離と癌治療法の開発、平成22年8月1日~平成24年2月29日、9,971万円(2/3助成額)