アーカイブ: 2025年1月7日

ガレクチンは単なるβ-ガラクシド結合型レクチンではなく多面的な機能を持っている

Axe of Infectious and Immune Diseases, CHU de Quebec-Université Laval Research Centre, Faculty of Medicine, and Research Centre for Infectious Diseases, Laval University, Quebec, Canadaらのグループは、宿主免疫におけるガレクチンの多面的な機能についてレビューしています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1044532324000642?via%3Dihub#bib63

他のレクチンとは異なり、ガレクチンはシグナルペプチドを欠いているため、糖鎖リガンドが存在しないサイトゾールで可溶性の非糖化タンパク質として合成されます。さらに、ガレクチン-1 やガレクチン-3 などの特定のガレクチンは、特定の条件下で核に移行することがわかっています。これは大きな矛盾です。何故ならば、ガレクチンの主な存在位置はサイトゾールであり、ガレクチンが結合する糖鎖が存在しない環境だからです。

しかし、興味深いことに、ガレクチンは、非古典的でリーダーのない分泌経路を介して細胞外空間に分泌されることもできます。

細胞内外のガレクチンのこの独特な分布は、ガレクチンの機能の多用性を示しており、宿主防御におけるガレクチンの機能がその合成とリガンドへのアクセスの空間的制御の両方によって調節されることを可能にする重層的な調節機構が存在することを示唆しており、ガレクチンの進化的役割は従来の糖鎖認識を超えて拡張されているようです。

非常に興味深いレビューとなっており、ご一読をお勧めします。

ALAレクチンが胆管癌の治療に有効かもしれない

Department of Biochemistry, Faculty of Medicine, Khon Kaen University, Thailandらのグループは、モンキーフルーツの種から抽出された新規レクチンALAについて報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41598-024-84444-7

ALAは凝集素活性を示し、T- および Tn-抗原および単糖類 (Gal や GalNAc など) に対して糖鎖結合特異性を示しました。

ALAによって認識される糖鎖がヒト胆管癌 (CCA) 組織で増加していることが確認されました。ALAは、CCA 細胞、KKU-100 および KKU-213B、の細胞生存率をドーズ依存的に大幅に低下させ(最大 30 μg/mL まで)、最高濃度では約 30% の低下が観察されました。また、ALAは、細胞生存率には影響を与えない1 ~ 2 μg/mL の濃度でドーズ依存的に KKU-100 および KKU-213B 細胞の遊走および浸潤能力を大幅に低下させました。

これらの結果は、CCA治療に対するこのレクチンの潜在的な治療効果を示唆しているようです。

海の動植物から発見されたレクチンの糖鎖結合特異性

School of Medicine and Life Sciences, Far Eastern Federal University, Vladivostok, Russiaらのグループは、海の動植物から発見されたレクチンとその脳腫瘍の診断や治療への応用について報告しています。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11679326/

HOL-18:marine sponge Halichondria okadai由来レクチン、複合型N-型糖鎖に結合
OXYL:marine star Anneissia japonica由来レクチン、LacNAc type 2には結合するが、LacNAc type 1には結合しない
AVL:marine sponge Aphrocallistes vastus由来レクチン、シアリルムチンに結合
ESA:seaweed Eucheuma serra由来レクチン、high mannose N-型糖鎖に結合
UPL1:seaweed Ulva pertusa由来レクチン、GlcNAcとhigh-mannose N-型糖鎖に結合
BPL2:seaweed Bryopsis plumosa由来レクチン、trimannosyl coreに結合
KSL:red alga Kappaphycus striatus由来レクチン、high mannose N-型糖鎖に結合
DIFBL:sea bass Dicentrarchus labrax由来レクチン、fucoseに結合
APL:starfish Asterina pectinifera由来レクチン、Tn antigenに結合
CGL:bivalve Crenomytilus grayanus由来レクチン、GalNAc/GalおよびGb3に結合
MytiLec:Mediterranean mussel由来レクチン、Gb3に結合
HCL:marine sponge Haliclona cratera由来レクチン、GalNAc/Galに結合
DTL:ascidian Didemnum ternatanum由来レクチン、GlcNAcに結合

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