WFAの糖鎖結合特異性はVVAに酷似している

Department of Chemistry and Center for Diagnostics & Therapeutics, Georgia State University, Atlanta, GA, USAらのグループは、化学酵素合成法を用いて合成したO-型糖鎖マイクロアレイを報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9931048/ WFAというレクチンは、診断用途で非常に有用なレクチンとして着目されています。 本研究によれば、WFAとVVAは、下図に示すように、Tn-抗原、core 5、sialyl-core 5、およびcore 7 を含む末端の未修飾GalNAc残基を持つすべての構造に強く結合するようです。  24番は、Tn-抗原

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BK ポリオーマ ウイルスの変異株と感染機構

Nantes Université, CHU Nantes, INSERM, Center for Research in Transplantation and Translational Immunology, Franceらのグループは、BKポリオーマウイルス変異株の感染力に関してその構造と機能の側面から解析した結果を報告しています。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36790933/ BKポリオーマウイルス (BKPyV) は、72個のカプソマーによって形成された20 面体キャプシドを持つ小型のエンベロープを持たない二本鎖 DNAウイルスであり、カプソマーは、VP1タンパク質の五量体からできています。 BKPyVは、ガングリオシドGT1bおよびGD1b を介して尿路上皮および腎臓上皮と相互作用することが知られていますが、還元末端から最初のガラクトースに結合したα2-8結合ジシアリル構造を特徴とする他のbシリーズのガングリオシドも介して相互作用することが知られています。 BKPyVは、世界人口の 80% が罹患している日和見ウイルスであり、通常、小 […]

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酸化ストレスを受けるとフコース転移酵素(FUT8)の発現が高まり、糖鎖のコアフコース修飾が昂進する

大阪大学応用化学らのグループは、酸化ストレス下では、FUT8の発現が高まると報告しています。 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0281516 遺伝子オントロジーのカテゴリーで定義される抗酸化応答には、典型的な抗酸化応答遺伝子である HMOX1 (ヘムオキシゲナーゼ 1) や GCLC (グルタミン酸-システインリガーゼ触媒サブユニット) など、441種類のヒト遺伝子が含まれています。これらの遺伝子の発現は、細胞内の酸化状態を低下させ、細胞を酸化ストレスから保護するのに役立つとされています。抗酸化応答によって糖鎖修飾に変化があるかどうかを確認するために、抗酸化物質であるとされる5-ヒドロキシ-4-フェニル-ブテノリド (5H4PB) とスルフォラファン (SFN)を投与した場合のヒト角化細胞細胞株 HaCaT におけるRNA発現解析が行われました。 本解析から、FUT8は両方の場合(5H4PBとSFN)で発現が高まることが示されました。これは、フコース結合性レクチンであるUEA-Iを用いた […]

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土壌のダメゾット燻蒸処理後の微生物含有有機肥料添加の効果について

Pest Integrated Management Key Laboratory of China Tobacco, Tobacco Research Institute of Chinese Academy of Agricultural Sciences, Qingdao, Chinaらのグループは、土壌のダメゾット燻蒸処理後の微生物含有有機肥料添加の効果について報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9891460/ 作物を連作すると、土壌中の病原体が増えやすくなります。例えば、なすの連作は青枯病の深刻な発生につながり、スイカの連作は萎凋病の深刻な発生につながり、ショウガの連作はショウガの深刻な伝染病につながる可能性があります。これは、土壌の栄養バランスを崩すだけでなく、土壌の生物学的特性を悪化させ、結果として土壌の細菌叢を崩壊させ、作物の収量と土壌環境に深刻な害をもたらすからです。燻蒸後に生物的防除剤または有機肥料を使用すると、土壌細菌叢の回復を促進し、土壌の微生物的な肥沃さを改善することで、燻蒸剤の悪影響を […]

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フコイダンを食すると腸内細菌叢におけるシュードモナス・アルギノーザの割合が減少し、免疫力が改善する

Molecular Infectious Disease Research Center, Chang Gung Memorial Hospital, Taoyuan, Taiwanらのグループは、フコイダンを食することで、シュードモナス・アルギノーザの病原性因子と腸内ムチンの相互作用を阻止し, 腸内のバクテロイドを増殖させることでシュードモナス・アルギノーザを抑制し、結果として免疫力が改善すると述べています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9896862/ シュードモナス・アルギノーザの腸内保菌率は、免疫力が低下したヒトや入院患者で有意に高く、結果として感染症および抗生物質関連の下痢のリスクが高くなります。腸内微生物叢は病原体に対するバリアとして機能しますが、シュードモナス・アルギノーザは、一連の病原性因子を産生することにより、腸内微生物叢と自然免疫系によって誘発されるコロニー形成に対するバリヤー機能を突破します。シュードモナス・アルギノーザは、TPSファミリーに属する大きなタンパク質システムを持ち、このTPSには保存された […]

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土壌の栄養状態と農業気候条件・気象要因によって最適な善玉根圏細菌の組み合わせが異なる

Soil and Environmental Biotechnology Division, National Institute for Biotechnology and Genetic Engineering College, Pakistan Institute of Engineering and Applied Sciences (NIBGE-C, PIEAS), Punjab, Pakistanらのグループは、土壌の栄養状態や農業気候条件/気候要因によって、最適な善玉根圏細菌の組み合わせが変化すると報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9878846/ 持続可能な農業を実現する上において、バイオスティミュラントの重要性はその言を待たないのですが、気候条件/気象要因および土壌栄養状態という複雑な環境条件下にある農業システムにおいて、競争力のあるリン酸可溶化細菌 (PSB)の接種とはどうあるべきなのか?という問題に対する統合的な解決策は未だに開発されていません。 本研究で使用された細菌株は、パキスタンのさま […]

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心臓の部位によって糖鎖修飾が異なり、老化に伴う糖鎖構造の変化も異なっている

東京都健康長寿医療センター研究所)心血管老化再生医学研究らのグループは、心臓の部位ごとに異なる糖鎖修飾とその老化に伴う糖鎖構造の変化について報告しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9841240/ マウスの心臓組織から、左心室壁 (腹側と背側)、乳頭筋、心室中隔らを含む8箇所の組織切片の糖鎖修飾の状態を、三つの年齢層(2か月、12~14 か月、23~25 か月)に対して、レクチンマイクロアレイを用いて解析しています。 生後2か月のマウスの心臓の8箇所の糖鎖修飾の違いを、主成分解析を用いて詳細に検討しました。興味深いことに、糖鎖プロファイルが心臓組織の各領域で異なることが分かりました。例えば、乳頭筋と心室中隔は、シアル酸によって特徴付けられ、腹側左心室壁はO-型糖鎖と多分岐のアシアロ型N-型糖鎖によって特徴付けられました。 また、部位によって糖鎖修飾の変化率は異なりますが、加齢と共にシアル酸の残基量が減少することも示されています。

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