Soil and Environmental Biotechnology Division, National Institute for Biotechnology and Genetic Engineering College, Pakistan Institute of Engineering and Applied Sciences (NIBGE-C, PIEAS), Punjab, Pakistanらのグループは、土壌の栄養状態や農業気候条件/気候要因によって、最適な善玉根圏細菌の組み合わせが変化すると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9878846/
持続可能な農業を実現する上において、バイオスティミュラントの重要性はその言を待たないのですが、気候条件/気象要因および土壌栄養状態という複雑な環境条件下にある農業システムにおいて、競争力のあるリン酸可溶化細菌 (PSB)の接種とはどうあるべきなのか?という問題に対する統合的な解決策は未だに開発されていません。
本研究で使用された細菌株は、パキスタンのさまざまな農業生態学的ゾーンで栽培された小麦の根圏土壌から分離されたPSBの大規模なコレクションのサブセットであります。本研究で使用されるすべての菌株は、複数の植物成長促進属性、すなわちリン酸塩可溶化、亜鉛可溶化、インドール酢酸生産、および有機酸生産を持っていることが確かめられているものです。
この大規模な根圏細菌のコレクションの中から3種類の異なった根圏細菌の組み合わせが設計されました。
組合せ-1, Enterobacter spp. ZW32, Ochrobactrum sp. SSR, Enterobacter spp. ZW9.
組合せ-2, Enterobacter spp. D1, Ochrobactrum sp. SSR, Pantoea sp. S1
組合せ-3, Bacillus sp. TAYB, Ochrobactrum sp. SSR, Pseudomonas sp. TJA
興味深いことに、これら根圏細菌の組み合わせは、それぞれ異なった土壌・気候条件下でさまざまな小麦の生育パラメーターを改善しました。
例えば、最大収量 (5,390 kg/ha) は、サイト2 での組合せ-1接種の結果として観察され、サイト3 (5,240 kg/ha) とサイト1 (4,806 kg/ha) がそれに続きました。組合せ-2の場合では、最大収量 (5,324 kg ha-1) が組合せ-2をサイト6に接種した場合で得られ、続いてサイト5 接種した結果となりました (4,806 kg/ha)。組合せ-3の効果は、組合せ-1および組合せ-2と比較してそれほど有意ではありませんでした。しかし、20%減肥料した状態に比べるとその効果は明白に出ています。
このように、農薬の広範な使用によって引き起こされる土壌汚染を削減するためには、PSBの接種効果の維持とそれによるP栄養素の取り込みの強化を発揮させることが必要であり、この目的を実現するために、本研究は、土壌の根圏細菌を含む生物学的健康状態と農業気候条件を統合して理解する必要性を初めて示した一例となっています。