フコイダンを食すると腸内細菌叢におけるシュードモナス・アルギノーザの割合が減少し、免疫力が改善する

Molecular Infectious Disease Research Center, Chang Gung Memorial Hospital, Taoyuan, Taiwanらのグループは、フコイダンを食することで、シュードモナス・アルギノーザの病原性因子と腸内ムチンの相互作用を阻止し, 腸内のバクテロイドを増殖させることでシュードモナス・アルギノーザを抑制し、結果として免疫力が改善すると述べています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9896862/

シュードモナス・アルギノーザの腸内保菌率は、免疫力が低下したヒトや入院患者で有意に高く、結果として感染症および抗生物質関連の下痢のリスクが高くなります。腸内微生物叢は病原体に対するバリアとして機能しますが、シュードモナス・アルギノーザは、一連の病原性因子を産生することにより、腸内微生物叢と自然免疫系によって誘発されるコロニー形成に対するバリヤー機能を突破します。シュードモナス・アルギノーザは、TPSファミリーに属する大きなタンパク質システムを持ち、このTPSには保存されたヘマグルチニン (HA) ドメインがあります。 TPS システムのエフェクターは、グラム陰性病原菌(因みに、シュードモナスはグラム陰性です)における有益で主要な病原性決定因子であると考えられています。

Fucus vesiculosus (FV) および Ascophyllum nodusum (AN) 由来の栄養グレードのフコイダン 0.5% (w/v) を、マウスの飲料水に19日間添加する実験が行われました。14日間フコイダンを与えられたマウスでは、二つのパターンが観察されました。(1) シュードモナス・アルギノーザが、時間の経過とともにより多くのマウスから除菌されました、(2) しかし、その他のマウスでは、シュードモナス・アルギノーザは、残留持続し、時間の経過とともに減少する傾向を示しました。注目すべきは、フコイダンを与えられたグループの中で15日目と30日目には、除菌されたマウスの割合が60%に増加したということでしょう(P < 0.05)。

フコイダンがその保護効果を媒介するメカニズムは、二つあると考えられます。一つは病原性因子TPSとムチンとの相互作用の阻害、二つは善玉菌であるバクテロイデスの増殖を選択的に促進することです。因みに、FV フコイダンおよび ANフコイダンによるTPSと腸管ムチンとの相互作用のIC50 は、1 μg/mL 未満でした。