土壌のダメゾット燻蒸処理後の微生物含有有機肥料添加の効果について

Pest Integrated Management Key Laboratory of China Tobacco, Tobacco Research Institute of Chinese Academy of Agricultural Sciences, Qingdao, Chinaらのグループは、土壌のダメゾット燻蒸処理後の微生物含有有機肥料添加の効果について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9891460/

作物を連作すると、土壌中の病原体が増えやすくなります。例えば、なすの連作は青枯病の深刻な発生につながり、スイカの連作は萎凋病の深刻な発生につながり、ショウガの連作はショウガの深刻な伝染病につながる可能性があります。これは、土壌の栄養バランスを崩すだけでなく、土壌の生物学的特性を悪化させ、結果として土壌の細菌叢を崩壊させ、作物の収量と土壌環境に深刻な害をもたらすからです。燻蒸後に生物的防除剤または有機肥料を使用すると、土壌細菌叢の回復を促進し、土壌の微生物的な肥沃さを改善することで、燻蒸剤の悪影響を排除できます。このようにして、燻蒸材処理に加えての微生物含有有機肥料の施肥は、この分野で注目されている研究テーマとなっています。

本研究では、ダゾメット燻蒸後に、Junweinong および Junlisu 微生物含有有機肥料を施肥し、その効果について研究しています。ダゾメット燻蒸後のこれら二つの微生物含有有機肥料の施肥は、根圏土壌の利用可能なリン、利用可能なカリウム、および有機物含有量を大幅に減少させました。これは、植物がこれらの栄養素をより多く吸収できた結果であることを意味します。燻蒸後に微生物含有有機肥料を施肥することで、土壌のpHが上昇しました。土壌のpH は、土壌の健康に影響を与える重要な要因であり、例えば、たばこの黒根腐れ病は、pH 4.8 ~ 5.8 で発生率が高くなし、アブラナ科植物のリゾクトニア病および菌核病は、酸性土壌で発生しやすく、土壌酸性度を変化させた後のpH 7.2 ~ 7.4ではほとんど発生しません。
燻蒸後にこれら部生物含有有機肥料を施肥した場合、微生物の多様性に大きな影響を与えることなく、根圏細菌の存在量を増加させました。具体的には、Gaiella、norank_f_Vicinamibacteraceae、Flavisolibacter などの細菌や、Peroneutypa、Olpidium、Microascus などの菌類が大幅に増加し、根圏細菌叢の組成が変化していました。これらの微生物は、植物の病気に対する耐性を高め、栄養摂取を促進する上で重要な役割を果たします。更に、ダゾメット燻蒸後の微生物含有有機肥料の施肥は、根圏土壌における13種類のアミノ酸代謝、ピルビン酸代謝、TCAサイクル、およびペントースリン酸経路に関する機能遺伝子の相対的発現量を増加させていました。