COVID-19で起こる頭痛の原因は、血中で上昇したHMGB1が三叉神経を刺激するからだと考えられる

Gazi University Hospital, Medical Faculty, Besevler, Ankara, Turkeyらのグループは、COVID-19における呼吸器感染からリリースされるHMGB1が三叉神経を刺激し、COVID-19の頭痛を招く原因になっているようだと、おそらく初めての報告です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8358545/

COVID-19で頭痛に苦しんでいる患者では、HMGB1、NLRP3、ACE2、そしてIL-6の血中レベルが頭痛の無い患者よりも顕著に高くなっており、CGRPとIL-10は逆に低くなっていることが分かりました。

考察の結果、HMGB1が侵害受容的な特性を持つ炎症性分子となっており、SARS-CoV-2感染による炎症性反応の中でも中心的な存在となり、これが三叉神経に激しい信号を誘起し、頭痛を招く原因になっているとしました。細胞外のHMGB1 は、活性化されたマクロファージ、単球、NK細胞、樹状細胞からSARS-CoV-2のような病原菌・ウイルスの侵入に反応して分泌されます。ニューロン、アストロサイト、ミクログリア、そして上皮細胞らもサイトカインやインターフェロンの刺激を受けて、能動的にHMGB1を分泌することが出来ます。更には、急性呼吸器不全で受けた細胞傷害やネクローシスで死亡した多数の細胞からもHMGB1が放出され、血中のHMGB1濃度の上昇に輪を掛けます。