小細胞肺癌と非小細胞肺癌からのエクソソームのNー型糖鎖修飾の違い、およびキャリアタンパク質の違いについて

鹿児島大学医歯学部らのグループは、小細胞肺癌と非小細胞肺癌から分泌されるエクソソームのNー型糖鎖修飾の違いについて報告しています。
https://www.jbc.org/article/S0021-9258(22)00390-8/fulltext

肺癌は、肺のさまざまな種類の細胞から発生する組織学的に複雑な疾患です。小細胞肺癌(SCLC)と非小細胞肺癌(NSCLC)は、組織学的特性に基づいて分類された2つの主要な肺癌タイプです。非小細胞肺癌は、更に三つのタイプに分類されます、肺腺癌(LUADs)、肺扁平上皮癌(SCCs)、そして扁平上皮非小細胞肺癌(LCCs)であります。

比較された肺癌の種類は以下のようです、
小細胞肺癌 (H446 and SBC-3)、
肺腺癌 (HCC827)、
肺扁平上皮癌 (H520, SK-MES-1, and LK-2)、そして
扁平上皮非小細胞肺癌 (H1299)。

興味深いことに、主要なN-型糖鎖構造は、小細胞肺癌-エクソソームと非小細胞肺癌のエクソソームの間に著しい違いを示しました。 非小細胞肺癌のエクソソームは、通常、2分岐および3分岐のN-型糖鎖に富んでおり、コアフコース修飾を受けています。対照的に、小細胞肺癌-エクソソームのN-型糖鎖プロファイルは、かなりの不均一性を示し、H446-エクソソームでは末端フコース(全体の73%)を含むN-型糖鎖が高発現しており、SBC-3-エクソソームでは、LacdiNAc(全体の40%)またはGlcNAc(全体の29%)が高発現しています。

ほとんどすべてのN-型糖鎖がシアル酸修飾を受けていることから、本分析から、インテグリンαVは両方の肺癌由来のエクソソームで一般的に発現しており、上皮特異的インテグリンα6β4ヘテロダイマーは非小細胞肺癌で選択的に発現していることが明らかになりました。