熱帯海綿から抽出されたレクチン(HiL)の黄色ぶどう球菌に対する抗菌作用

Universidade Federal do Ceará, Departamento de Engenharia de Pesca, Laboratório de Biotecnologia Marinha, Brazilらのグループは、熱帯海綿 Haliclona (Reniera) implexiformisから抽出されたレクチンがある種のバクテリアに対して抗菌作用を示すことを報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37075356/

海綿は、後生動物の中で最も古い海綿動物門に属する、多細胞の固着性のろ過生物であり、海洋および淡水生態系で発見された 8,500 種を超える種が報告されています。 海綿 Haliclona (Reniera) implexiformis からセファロース・マトリックスのアフィニティークロマトグラフィーによって分離されたレクチン(HiL)は、ガラクトースとその誘導体に対して特異性を示しました。

レクチンによる細菌膜上の糖鎖認識は、そのバイオフィルム形成を阻害する効果があるようです。幾つかの研究では、ガラクトース結合レクチンが細菌表面の糖鎖を認識し、グラム陽性細菌とグラム陰性細菌を区別する可能性があることが示されています。以下に示すように、本研究では、ユニークなアミノ酸配列を持つ熱帯海綿から分離された新しいレクチン(HiL)が、主に 黄色ぶどう球菌の感染を引き起こすバイオフィルム形成に対して抗菌活性を示すことがわかりました(大腸菌:グラム陰性細菌に対しては抗菌作用を示しません)。

 縦軸はバイオフィルムのクリスタル バイオレット染色の強度