PhoSLがHBV感染を阻害する

大阪大学医学部らのグループは、コアフコース結合型レクチンであるPhoSLがHBV感染を阻害すると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10105536/

現在の抗HBV 療法には、HBVの複製を競合的に阻害できるヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体、および HBV感染に対する宿主の免疫応答を調節し、肝細胞の共有結合閉鎖環状 DNA (cccDNA) の分解を誘導できるペグ化インターフェロンの使用が一般的です。

本研究では、ヒト細胞株HepG2-hNTCP-C4のHBV感染に対するコアフコース結合型レクチンであるPhoSLの効果と、HBV感染におけるPhoSL阻害効果の根底にある分子メカニズムについて考察しています。 PhoSLでの処置は、ヒトHBVe抗原(HBeAg)、cccDNA(下図参照)、HBV DNA、およびHBV RNAらのHBV感染のマーカーのレベルを、ドーズ依存的に、細胞毒性なしで劇的に減少させることが示されました。

この場合に二つの阻害メカニズムが考えられます:(1) PhoSLが宿主細胞のタンパク質ダイナミクスに影響を与える、或いは (2) PhoSLがHBVに直接結合する、ということです。結果として、PhoSLは、EGFのEGFRへの結合をブロックすることによりEGFRの活性化を阻害し、更にPhoSLは、HBV 粒子に直接結合することもわかりました。 PhoSLが結合したHBV 粒子は、宿主細胞に取り込まれ、PhoSLは、取り込まれた後にHBV感染を阻害するようです。

このようにして、PhoSL治療は、新しいHBV療法の開発につながる可能性が示されました。