アーカイブ: 2026年9月17日

糖鎖創薬:低分子化合物で糖鎖修飾を回復させる治療法が注目される

9月11日に開催された第23回糖鎖科学コンソーシアムシンポジウム(JCGG)に参加してきました。

この発表の中で自分の興味を一番引いたのが、高知大学医学部の池田先生らによる「福山方筋ジストロフィーに対する治療戦略」です。
糖鎖の修飾異常が疾患の強い原因になっているものには、先天性糖鎖不全症(CDG)や先天性筋ジストロフィーがあることが良く知られています。
これらは遺伝的に糖鎖転移酵素の活性が低下していることが原因ですので、抜本的な治療には「遺伝子治療」しかないと思われるのですが、そうではなくて、低分子化合物を使うことで低下した糖転移酵素の働きを補完して糖鎖修飾を正常な状態に近づけようとする試みです。

池田先生らの研究は、「Mn-007」と命名された低分子化合物を投与することで脳内や骨格筋のα-ジストログリカンの修飾を直接的に回復させようとする試みです。
AMEDの成果報告が参考になります。
世界初!福山型筋ジストロフィーの患者からiPS細胞を用いて大脳組織を再現 低分子化合物Mn-007投与で糖鎖量が回復することを明らかに―福山型筋ジストロフィーの病態解明や治療薬開発に期待―
臨床応用に向けた研究が進んでいるとのことです。

糖鎖修飾構造の変化は、いろいろな疾患で発生しますし、それがバイオマーカーとして役立つことも知られています。
しかし、大半の場合、糖鎖修飾の変化は「結果」であることが多く、糖鎖創薬という観点では、糖鎖修飾の変化が直接的に疾患の原因となっているそれにフォーカスする必要があります。

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