水仙タゼッタの球根から抽出された新しいレクチン(NTL-125:マンノース結合型)がSARS-CoV-2の優れた阻害剤になり得る

Division of Plant Biology, Bose Institute, P/12 C.I.T. Scheme VII(M), Kolkata, 700054, Indiaらのグループは、水仙タゼッタの球根から抽出された新しいレクチン(NTL-125:マンノース結合型)がSARS-CoV-2の優れた阻害剤になり得るということをVero-E6細胞を用いたin vitroのアッセイで示しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8988448/

NTL-125と名付けられた水仙タゼッタの球根から抽出されたユニークなマンノース結合植物レクチンは、Vero-E6細胞を用いたin vitroアッセイにおいて、SARS-CoV-2の感染を有効に阻害できる可能性があります。 Vero-E6細胞を使用したSARS-CoV-2ウイルス侵入を50%減少させる阻害濃度(IC50)は、約0.8 µg/mL(50 nM)であり、Vero-E6細胞に対するNLE-125の細胞毒性のアッセイは、5 µg/mLで95%以上、10 µg/mLの濃度で85%以上の生存率を示しました。

分子ドッキング法により、RBDの36残基とNTL-125の44残基が結合状態で互いに5Åの距離内にあるのに対し、ACE-2の27残基はRBDの32残基に近接していることが明らかになりました。ACE-2とNTL-125の両方に相互作用するRBDの17の残基数は17個でありました。これらすべての残基の中で、RBDとNTL-125複合体の場合には、RBDの10個とNTL-125の11個が結合状態で3Åの距離内にあり、RBDとACE-2複合体の場合には、RBDの9残基とACE-2の9残基が3Åの距離内にありました。NTL-125は、ACE2が通常結合するSpikeタンパク質のRBMとまったく同じ領域を占めています。 結果として、NTL125-Spikeタンパク質相互作用の結合自由エネルギー変化は、-13.3 kcal/mol、kd ~0.41nMとなり、ACE2-Spikeタンパク質の結合自由エネルギー変化(-11.2 kcal/mol、kd ~12 nM)よりも大きく、従って前者が後者よりも安定していることが明確に示されました。

更に、分子ドッキング法により、NTL-125-Spikeタンパク質間の相互作用は、Spikeタンパク質のAsn165に結合している糖鎖がNTL-125のIle137およびThr138と相互作用することによっても媒介されることが確認されました。即ち、NTL-125-Spikeタンパク質間の相互作用は、アミノ酸残基だけでなく、糖鎖部分も介して行われているのです。