Burkholderia vietnamiensis B418が線虫管理に効果的な生物学的殺線虫剤である

School of Bioengineering, Qilu University of Technology (Shandong Academy of Sciences), Jinan, 250353, Chinaらのグループは、Burkholderia vietnamiensis B418が線虫管理に効果的な生物学的殺線虫剤になり得ると報告しました。
https://www.nature.com/articles/s41598-022-12472-2

ネコブセンチュウ(Meloidogyne spp.)は、特に温室野菜栽培において、広範囲の作物に寄生する可能性のある非常に多食性の寄生虫です。ネコブセンチュウが侵入すると、植物の根に明らかな結び目や虫こぶを引き起こし、根の正常な構造を破壊し、水と栄養を求めて宿主と競争することで、植物は二次病原体に感染し易くなります。ネコブセンチュウの被害は、世界的に見て年間1,000億ドルを超える経済的損失を引き起こすと推定されており、総作物損失の約12.6%を占めています。

ネコブセンチュウ密度の減少率および防除効果に対する様々な処理の影響は次の通りでした。
すべての処理(Burkholderia vietnamiensis B418接種、化学的殺線虫剤フォスチアゼート、および生物学的殺線虫剤アベルメクチン)は、ネガティブコントロールと比較してネコブセンチュウ密度をある程度減少させました。
最高の減少率と防除効果は、B.vietnamiensis B418接種で見られ、それぞれ74.84%と71.15%でありました。
B418の接種により、フォスチアゼート(38.92%から62.71%)およびアベルメクチン(59.24%から67.87%)の阻害効果が増強されました。 しかし、B418接種単独の場合よりも効果は低下しており、B418とフォスチアゼートおよびアベルメクチンの間には何らかの不整合性があると考えられます。

B418の接種により、バクテリアの16S rRNA配列が9.1%から34.6%に増加し、真菌のITS-2 rRNA配列が7.1%から30.3%に増加していました。このことは、薬剤による病害防除処理効果(9.1%)よりもB418接種の方が多くの変化を根圏細菌叢に引き起こしていることを示しています。。

植物成長に対するPGPR(植物生育促進性根圏細菌)の有益な効果には、生物施肥(主に窒素とリンを含む栄養素の取り込みの促進)や植物刺激(植物成長促進ホルモンの生成)などの直接的なメカニズム、更には間接的なメカニズムとして、植物病原体の有害な効果に拮抗する生物制御剤としての二次代謝物の産生、或いは植物の全身抵抗性を誘発する作用があります。何故、B. vietnamiensis B418の接種がネコブセンチュウの阻害に有効であったのかという理由については定かではないのですが、B418を接種したことによる真菌であるモルティエラの増加は、ネコブセンチュウに対する防除効果と相関していることが分かりました。真菌叢におけるこれらの変動は、B418接種が病原体関連種の阻害および植物に有益な種の増強をもたらした可能性があることを匂わせています。

CK: コントロール; FOST: fosthiazate; AVM: avermectin. (+ /−): B418接種の有無