多価9-O-アセチル化シアル酸修飾を持つ糖鎖クラスターをSARS-CoV-2の阻害剤として使用する

Louvain Institute of Biomolecular Science and Technology, Université catholique de Louvain, Louvain-la-Neuve, Belgiumらのグループは、多価9-O-アセチル化-シアル酸修飾を持つ糖鎖クラスターが、SARS-CoV-2感染の強力な阻害剤となる可能性があると報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41467-022-30313-8

SARS-CoV-2 Spikeタンパク質のS1サブユニットは、糖鎖結合ドメイン(GBD)を含むN末端ドメイン(NTD)と、受容体結合ドメイン(RBD)を含むC末端ドメイン(CTD)に分けることができます。GBDは、ほとんどのCoVの糖タンパク質と糖脂質と相互作用しますが、RBDはSARS-CoV-2の場合、ACE2受容体に結合します。

コロナウイルスOC43とHKUがSpikeタンパク質の保存された受容体結合部位を介して9-O-アセチル化シアル酸(9-AcSA)に結合することが示されているため、著者らは、特に興味深い糖鎖として9-AcSAに焦点を当てました。

一価の9-AcSAは高いIC50 100 µMを示しますが、スクリーニングしたすべての9-AcSA由来の糖鎖クラスターは、その多価効果によって、1〜10 µMのIC50を示しました。これらの中でも、9-AcSA-ポルフィリンは、精製された9-AcSAと細胞アッセイの両方で、sub-µM範囲のIC50を示し、治療薬として優れた候補と考えられます。