アーカイブ: 2022年7月8日

イネの根圏:アルスロバクター属が優れた植物成長促進細菌となる

Department of Life Science, Dongguk University-Seoul, Goyang 10326, Koreaのグループは、アルスロバクター GN70をイネの根圏に接種することで、シュートの長さ、根の長さ、新鮮な植物重量、および乾燥した植物重量が有意に増加したと報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9228311/

この研究では、培養法で504株の根圏細菌を分離し、各株の植物成長促進特性がテストされました。IAAの産生量、植物成長促進特性、および病原性微生物に対する拮抗作用の観点から、アルスロバクター GN70が、実験室および温室条件下でですが、イネへの接種に最適として選択されました。GN70菌は根に効率よく定着し、細胞外高分子マトリックスを生成し、イネの成長、側根、および重量を促進しました。また、このGN70菌は、植物およびヒトの病原体に対して拮抗作用を示すことも分かりました。

GN70と命名されたアルスロバクターは、Sphingomonas、Ideonella、Burkholderia、およびAgromycesを含む他の植物成長促進細菌の中で、最も高いIAAの産生量(50.3 µg/mL)を示しました。
アルスロバクター GN70は、下図に示すように、イネの根の表面に効率よく定着し、コロニーを形成します。

(a) アルスロバクターのコロニー形成, (b) コントロール

アルスロバクター GN70は、細胞外高分子マトリックスを産生し、これは、水分を保持したり、土壌の水分保持能力を高めて、水不足のストレス下でバクテリアや植物の根を助けることができます。バイオフィルムを形成する能力は、細菌の生存を強化し、さまざまな植物成長促進細菌の持つ関連メカニズムを通じて植物の成長も強化します。 GN70は、植物成長促進剤、植物病原菌の抑制剤、および水不足ストレスの緩和剤として利用できます。GN70の抗真菌活性は、イネの小穂腐敗病を引き起こすFusarium proliferatum KACC 44025に対して優れた拮抗作用を示しました。

アルスロバクター GN70を接種したイネの種子の場合、植物成長促進効果は顕著であり、t検定に基づいて評価した結果、シュートの長さ、根の長さ、新鮮な植物重量、および乾燥した植物重量がそれぞれ143.5%、83.5%、112.1%、および256.7%と大幅に増加していました。

Gal-7と自然免疫の関連性について

Joint Program in Transfusion Medicine, Department of Pathology, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USAらのグループは、自然免疫レクチンであるガレクチン-7(Gal-7)が、様々な異なる微生物に結合し、これらの微生物はすべて、血液型のような抗原の特徴を共有してると述べています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9218387/

ガレクチン-3(Gal-3)、ガレクチン-4(Gal-4)、およびガレクチン-8(Gal-8)を含むガレクチンファミリーの幾つかのメンバーは、血液型Aおよび血液型Bに高いアフィニティーを持って結合することが知られています。以前の研究では、Gal-3、Gal-4、およびGal-8が血液型のような分子模倣を利用する微生物に結合して殺傷することが示されましたが、ガレクチンファミリーの他のメンバーがどの程度同様に血液型の分子模倣に対して自然免疫を示すのかという事に関しては、まだ完全には分かっていません。

本研究においては、Gal-7は、血液型の分子模倣を有する微生物に結合して殺傷する能力を持っていることが実証されました。但し、Gal-3、Gal-4、およびGal-8とは異なり、Gal-7は哺乳類のA抗原およびB抗原に対してほとんどアフィニティーを示しません。それにも関わらず、Gal-7は、血液型のような特徴を持つ糖鎖を発現する複数の微生物に対して高い特異性を示しました。これらの結果は、ガレクチンファミリーメンバー間の抗菌活性がGal-3、Gal-4、およびGal-8に限定されず、Gal-7も同様に血液型様抗原を発現する微生物に結合して殺傷する能力を持っていることを示しています。

CFG糖鎖アレイを使用したマイクロアレイ研究から、0.04μMで、Gal-7は600種類近くの糖鎖構造の内のわずかに3つ、タイプ2(Galβ1-4GlcNAc)血液型A構造、および2つのH抗原でキャップされた構造を含むポリラクトサミン(polyLacNAc、i血液型)にアフィニティーを示しました。 3.3μMでは、Gal-7は、血液型B抗原を含む幾つかの糖鎖を含む糖鎖構造へのアフィニティーを示しました。 10μMでは、Gal-7は、2分岐N-型糖鎖やポリ-N-アセチルラクトサミン(polyLacNAc)構造を持つものなど、他のガレクチンファミリーメンバーによって認識される糖鎖構造を含む一般的な非血液型にもアフィニティーを示しました。広範囲の濃度に渡るGal-7の選択的糖鎖結合特異性は、他のガレクチンに関する以前の報告とは区別され、Gal-3、Gal-4、およびGal-8とは異なり、Gal-7は血液型陽性微生物にそう簡単には関与しない可能性を示しています。

Gal-7や他のガレクチンが微生物を殺傷するメカニズムは不明なのですが、この研究結果は、哺乳類で発現する古代の糖鎖結合性タンパク質ファミリーが存在し、それが血液型糖鎖抗原の特徴を利用するさまざまな微生物を自然免疫的に標的とすることができるということを示しています。

農薬に耐性を持つ植物生育促進根圏細菌:シュードモナス PGR-11

Department of Biology, College of Science and Humanities, Prince Sattam Bin Abdulaziz University, Saudi Arabiaらのグループは、農薬のストレス下でも植物の生長を即するすることが出来る農薬耐性を持つシュードモナスの能力について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9200474/

合成化学肥料や殺菌剤などの農薬の使用によって、過去40年間で農業生産性が飛躍的に向上しました。食料の需要の高まりに対応するため使用された化学肥料や農薬は、しかしながら、環境を汚染し、土壌生物や花粉交配に一役買う昆虫らに害を及ぼしてきました。更には、化学物質の過剰利用は作物を病気にかかりやすくし、土壌の肥沃度の低下も招きました。

植物の成長は、植物ホルモンの産生、リンの利用可能性の改善、およびより多くの水と栄養素を吸収するための植物の根系の拡大により、植物の成長を促進する根圏細菌(PGPR)によってプラスの影響を受けます。幾つかの土壌細菌は、長期間の曝露後に農薬耐性を示し、農薬で汚染された地域を効率的に修復するために使用できます。農薬を分解するそれらの能力は、有害な化学物質を環境から除去し、汚染を制御することを可能にすために非常に重要です。

根圏細菌の農薬耐性は、様々な濃度の殺菌剤(CBZM、TBZL、MTXL)で処理された最小塩類培地(MSA)で分離株を成長させることによってテストされました。 緑豆の根圏からの分離株の中で、シュードモナス PGR-11は、CBZM、TBZL、MTXLのそれぞれ800、1600、1200 μg/mLの高濃度でも生き残る唯一の根圏細菌分離株でした。シュードモナス PGR-11は、テストされた殺菌剤に耐える最高の能力と、植物成長促進物質(シデロホア、IAA、EPS、HCN、およびアンモニア)に対する高い産生能力という観点から特に選択されました。

緑豆の収量は、これら試験農薬の濃度が増加するにつれて大幅な低下を示しました。例えば、MTXL 1000μg/kg土壌では、鞘の数、鞘の収量、種子の数と収量、および緑豆のタンパク質含有量は、それぞれ最大で90、78、85、82、および69%減少しました。 しかし、シュードモナス PGR-11を土壌に接種することによって、以下に示すように(一部のみを示す)、これらすべてのパラメーターが、未接種と比較して大幅に増加しました。

柑橘類の根圏:主たる潜在的善玉菌の探索

Centre for Plant Protection and Biotechnology from Valencian Institute of Agricultural Sciences (IVIA), Moncada, València, Spainらのグループは、柑橘類の為の潜在的な根圏の善玉菌について調査した結果を報告しています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1871678422000395?via%3Dihub

柑橘類の根圏細菌叢は、シュードモナス属(4.0%から20.3%の範囲)、まだ培養されていない候補となる目であるWD2101(2.2–6.4%)およびiii1–15(2.4–6.1%)のいずれか、またはStreptomyces 属(0.5〜4.7%)のいずれかによって支配されていました。
次に豊富な系統型は、Pirellulaceae科(1.9–3.5%)およびRhizobiaceae科(1.1–3.3%)からのものでした。
これらの系統型の後、Cytophagaceae科とPseudomadaceae科、および Sphingomonas属とPirellula属は、柑橘類に関連する根圏細菌叢全体の0.4%から2.4%でした。

これらの調査結果は、柑橘類産業に必要な将来のバイオテクノロジー応用で植物プロバイオティクスを探り出すための潜在的善玉菌の選択に貢献するはずです。

COVID-19の重症化でα2-6-シアル化が増加する

Department of Chemistry, University of Alberta, Edmonton, Alberta, Canadaらのグループは、COVID-19の重症化でα2-6Siaの発現が昂進すると報告しています.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35702159/

インフルエンザでは、重症化すると、ハイマンノースと自然免疫レクチンであるMBL2の発現が昂進することが分かっています。また、SARS-CoV-2においては、抗体の糖鎖修飾の変化が重症度のマーカーとなりうるという研究例があります。SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に対する抗体の糖鎖修飾が重症患者で変化し、フコシル化とシアル化が低下し、抗体の持つエフェクター機能に潜在的な影響を及ぼします。SARS-CoV-2に対するこのような研究では、単一のタンパク質タイプ(IgG)に焦点が当てられており、今日まで、SARS-CoV-2感染に対する血漿中の糖タンパク質に関する網羅的な研究は行われておらず、感染組織における糖鎖修飾の変化に対する分析もありませんでした。

本研究では、COVID-19患者から得られた血漿および剖検サンプルの糖鎖修飾変化を、レクチンマイクロアレイ使用してハイスループット分析しています。この結果、血漿α2,6-シアル化が重症度のマーカーである可能性があることが明らかになりました。このα2,6-シアル化修飾は、IgGを含む血中タンパク質の半減期を延長することが知られています。血漿中では、重度のCOVID-19患者のα2,6-シアル化を受けた補体C5およびC9の割合が有意に昂進していました。これと一致して、COVID-19剖検サンプルにおいても、補体C5およびC9の染色が強くなることが観察されました。

しかし、補体タンパク質のシアル化の機能的重要性は実は良く分かっていません。糖鎖修飾は、血清半減期とタンパク質分解切断に対する耐性の両方を制御する役割を果たし、このカスケードにとって特に重要です。 α2,6-シアル化は半減期を延長し、カスケードからの細胞性損傷を長期化させる可能性があります。もちろん、まだ発見されていない補体生物学に対するα2,6-シアル化の他の効果もあるかも知れません。 α2,6-シアル化および他の糖鎖修飾が補体に及ぼす機能的影響を研究する必要があります。

N-GlcNAcが植物成長促進効果を示す

State Key Laboratory of Food Nutrition and Safety, College of Food Science and Engineering, Tianjin University of Science and Technology, Tianjin, Chinaらのグループは、N-GlcNAcが植物の生長促進効果を示すことを報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35665438/

キチンは、セルロースに次いで、生物界で2番目に豊富な多糖類です。キチンとキトサンは生分解性で無毒であり、土壌と基質としての品質、植物の成長、植物の回復力を改善し、強化された持続可能な作物生産の開発に大きく貢献するものとして、ますます注目を集めています。キチンとその誘導体の添加は、多くの作物の新鮮収量重量を改善することができます。しかし、植物の成長促進、栽培、および農業環境の持続可能性におけるキチン・キトサンの機能に関する知識は限定的であり、収量の増加、植物防除の予測可能な活性化、収穫貯蔵寿命の延長、更には農産物およびそれらの細菌叢に対する肥料中の栄養素の徐放の改善らに対して更なる貢献を制限してしまっています。
N-アセチル-D-グルコサミン(N-GlcNAc)は、地球上で最も豊富な炭素-窒素バイオ化合物であり、節足動物の外骨格、糸状菌の主成分、および細菌の細胞壁であるキチン、キトサン、ペプチドグリカンのポリマーに含まれる誘導体化グルコースモノマーです。

トマトを対象として、N-GlcNAc自体が植物の成長を促進するという仮説の検証実験が行われました。予想通り、N-GlcNAcで処理された植物は、自然土壌でより高い草丈、より大きな全新鮮重量、およびより大きな茎重量を生み出しました。 N-GlcNAcに曝露された植物の草丈の増加は、1.29倍となり、植物の全体の新鮮重量は、1.33倍となりました。

N-GlcNAcに曝露された根圏土壌サンプルには、比較的豊富なProteobacteria、Actinobacteria、Planctomycetesを含む142の固有のOTUが含まれていました。 N-GlcNAcに曝露された植物の根圏土壌サンプルにおけるProteobacteriaとActinobacteriaの相対的な存在量は、コントロールよりもそれぞれ3.89%と45.82%増加していました。

興味深いことに、Bacillus cereusによって産生されたオーキシンインドール-3-酢酸(IAA)は、N-GlcNAc処理で増加し、LB培地で60 mmol/LのN-GlcNAcと共培養すると92.9mg/Lに達しました。 N-GlcNAcがIAA産生を活性化するこの能力は、P. mirabilisおよびP. putidaの菌株に対しては、外因性基質トリプトファンを供給することで増加しました。トリプトファンの添加はまた、B. cereus and S. thermocarboxydusの菌株におけるIAAの蓄積も促進しました。

このようにして、本研究は、フィールドでの植物生育促進根圏細菌の利点と安定性を理解して利用するための新しい方向性を提供し、微生物シグナル伝達分子として重要なキーとなるN-GlcNAcを明らかにしました。N-GlcNAcは、根圏細菌叢の再構成を促し、根圏細菌叢の代謝の変化を誘発し、それによって植物の成長を促進するのです。

小麦の根圏:トリコデルマを用いて病原菌フサリウムを押さえる

School of Bioengineering, Qilu University of Technology, Jinan, Chinaらのグループは、トリコデルマ アトロビリデ HB2011(Trichoderma atroviride HB20111)の種子への接種が小麦の根圏真菌叢に及ぼす影響について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9188553/

フサリウム属による小麦の冠腐病と小麦の眼紋病は、小麦の主要な土壌伝染病です。
生物学的防除剤としてのストレプトマイセス、バチルス、シュードモナス、放線菌、トリコデルマなどは、病原性真菌のコロニー形成を減らし、土壌中で抗生物質と有機化合物を生成し、植物の成長を促進することができます。種子ドレッシングは費用効果の高い方法であり、作物の病気の予防と管理に大規模に適用できる可能性があります。生物的防除剤として、トリコデルマの種子ドレッシングは、植物の真菌性疾患を防除するためにますます注目されています。 トリコデルマによって制御される一般的な病原体には、Bipolaris sorokiniana、F. pseudograminearum、F. oxysporum、R. solani、R. cerealis、および他の多くの植物病原体が含まれます。

トリコデルマ処理における総真菌のqPCRによって測定されたコピー数は、コントロールに比べて47.2%減少しました。AscomycotaとOlpidiomycotaは、コントロールと比較して、トリコデルマ種子ドレッシング後の根圏真菌叢で有意に変化し、その中で、Ascomycetesの含有量は54.2%減少し、Olpidiomycotaは54.8%増加していました。トリコデルマ処理は、フサリウムの相対的な存在量を減少させました。Alternaria spp.の相対的な豊富さは、トリコデルマ処理によって、コントロールと比較して3.26%減少しました。これらの減少は、根圏土壌におけるOlpidiumとBotryotrichumの相対的な存在量の顕著な増加を伴っていました。

これらの結果として、フサリウム冠腐病の場合、トリコデルマ処理により病害指数が64.3%減少し、トリコデルマの種子ドレッシングで処理された小麦の収量は、コントロールと比較して、7.7%増加しました。

抗体やレクチンにとって代わる高精度な肝臓がんの診断方法:ターゲット分子の鋳型を使う

State Key Laboratory of Analytical Chemistry for Life Science, School of Chemistry and Chemical Engineering, Nanjing University, Nanjing, Chinaのグループは、AFP-L3をマーカーとして使用し、AFP-L3を鋳型として作られたプローブ(MIP)を用いた肝臓がんの診断方法について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9020343/

triMIP-PISAと呼ばれる新しい戦略は、糖タンパク質疾患バイオマーカーの糖鎖修飾の変化を検出することにより、より正確な疾患診断を行う技術として開発されました。この方法は、モノクローナル抗体の特性に近い優れたタンパク質認識特性、およびレクチンよりも優れた優れた単糖認識特性を組み合わせています。

この方法は、3つの異なるタイプの鋳型分子プローブを用いた糖タンパク質バイオマーカーの認識とプラズモニック検出を統合しています。
N末端エピトープインプリント基板を使用して臨床サンプルから標的糖タンパク質を特異的に抽出し、次に捕捉された標的分子をラマンレポーター1でカプセル化されたC末端エピトープインプリントナノタグで標識し、糖タンパク質のフコース化糖鎖をレポーター1とは異なる特徴的なラマンピークを持つラマンレポーター2でカプセル化されたフコース(Fuc)インプリントナノタグで標識します。このようにして基板上に形成されたサンドイッチ様免疫複合体を、プラズモニック検出します。

本研究では、この方法を、AFP-L3をマーカーとして使用するHCC診断に適用しています。レポーター1を含むナノタグによって生成されたラマン信号は総AFP量を表し、レポーター2を含むナノタグによって生成されたラマン信号はAFPのフコース化糖鎖(L3とも呼ばれる)の量を示します。このようにして、ヒト血清中のAFPの総量(AFP-L3/AFP)に対するフコース化糖鎖を持つAFPの相対的な発現レベルは、HCC患者の信頼できる特異的な指標をとなります。 AFP N末端エピトープインプリント基板のKd値は、LCAレクチンよりもはるかに小さい10 -9Mレベルに達しています。

母乳中のシアル酸修飾を受けたミルクオリゴ糖は、急性栄養失調症のリスクが2倍高い

Nutrition and Clinical Services Division, International Centre for Diarrhoeal Disease Research, Bangladesh, Mohakhali, Dhaka, Bangladeshらのグループは、母親の母乳に含まれるシアル酸修飾を受けたヒトミルクオリゴ糖(HMO)の相対量が多いと、幼児の栄養状態に悪影響を与える可能性があると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9177541/

ヒトミルクオリゴ糖は乳児が消化できず、そのまま大腸に到達します。ヒトミルクオリゴ糖は、ビフィズス菌や一部のラクトバチルス菌など、腸内細菌叢の幾つかの有益な細菌グループの発達をサポートし、乳児の腸内での善玉菌の定着、成長、および最終的なコロニー形成の為の代謝産物を提供することによってプレバイオティクスの役割を果たします。ヒトミルクオリゴ糖は、健康な腸内細菌叢を助けることに加えて、脳の発達、有害な病原菌のおとりとしての役割、病気や感染の回避など、乳児に多くのメリットをもたらします。

ヒトミルクオリゴ糖は、分泌型と非分泌型の母親で異なります。これにより、ヒトミルクオリゴ糖のフコシル化は、ルイスと分泌型の血液型を制御する遺伝子産物の結果です。

この研究では、合計45のヒトミルクオリゴ糖が対象とされ、その内26は重度の急性栄養失調(SAM)乳児の母親からのもので、19は栄養失調でない乳児の母親からのものでした。急性栄養失調乳児の母親のうち、14人が分泌者で、12人が非分泌者でした。

シアル酸修飾を受けたヒトミルクオリゴ糖は、年齢および性別調整モデル(AOR = 2.00、90%CI 1.30、3.06)、年齢、性別、分泌状態調整モデル(AOR = 1.96、90%CI 1.29、2.98)、および年齢と性別を調整したモデルを使用した場合の非分泌型母親の間でも(AOR = 2.86、90%CI 1.07、7.62)、重度の急性栄養失調を発症するリスクが高いことがわかりました。これらの異なる4つの統計モデルはすべて、幼児のシアル酸修飾を受けたヒトミルクオリゴ糖と重度の急性栄養失調とが統計的に有意な相関関係を持つことを示しています。フコース修飾を受けたヒトミルクオリゴ糖は、重度の急性栄養失調を引き起こす可能性は低く、これらの間に有意な関連性は認められませんでした。


model 1: 調整済みオッズ比(aOR)(90%CI)は、年齢と性別で調整
model 2: 調整済みオッズ比(aOR)(90%CI)は、年齢、性別、および分泌型のステータスに合わせて調整
model 3: 分泌型の母親のみ、調整されたオッズ比(aOR)(90%CI)は年齢と性別のために調整
model 4: 非分泌型の母親のみ、調整されたオッズ比(aOR)(90%CI)は年齢と性別のために調整

腫瘍溶解性H-1パルボウイルスの感染には、Galectin-1が介在している

Laboratory of Oncolytic Virus Immuno-Therapeutics, German Cancer Research Centre, Im Neuenheimer Feld 242, 69120 Heidelberg, Germanyらのグループは、腫瘍溶解性H-1パルボウイルスの感染過程において、Galectin-1が重要な役割を果たしていると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9146882/

腫瘍溶解性ウイルスは、正常組織を温存しながら、癌細胞に選択的に感染して破壊します。それらはまた、強力な抗腫瘍免疫応答を刺激し、腫瘍血管系を破壊する可能性もあります。現在、40種類以上の腫瘍溶解性ウイルスが、さまざまな癌の治療法として臨床試験で評価されています。その中のひとつには、プロトパルボウイルス属のパルボウイルス科のメンバーであるH-1ラットプロトパルボウイルス(H-1PV)があります。

H-1PVは、ダイナミンが関与し、エンドサイトーシス小胞で低pHを必要とするクラスリンを介したエンドサイトーシスを介して癌細胞に侵入することがわかりました。ラミニン、特にラミニンγ1鎖を含むものは、H-1PV感染における細胞表面での付着因子として作用することも分かりました。特に、ラミニンのシアル酸修飾は、ウイルスが細胞表面に付着するための優れた接着サイトとなり、Galectin-1は、クラスリンでコーティングされたピットへのウイルス粒子の効率的な内在化を促進することが示されました。
これらの因子が関与した後、H-1PVはクラスリンを介したエンドサイトーシスを介して効果的に細胞に侵入します。

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