Gal-7と自然免疫の関連性について

Joint Program in Transfusion Medicine, Department of Pathology, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USAらのグループは、自然免疫レクチンであるガレクチン-7(Gal-7)が、様々な異なる微生物に結合し、これらの微生物はすべて、血液型のような抗原の特徴を共有してると述べています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9218387/

ガレクチン-3(Gal-3)、ガレクチン-4(Gal-4)、およびガレクチン-8(Gal-8)を含むガレクチンファミリーの幾つかのメンバーは、血液型Aおよび血液型Bに高いアフィニティーを持って結合することが知られています。以前の研究では、Gal-3、Gal-4、およびGal-8が血液型のような分子模倣を利用する微生物に結合して殺傷することが示されましたが、ガレクチンファミリーの他のメンバーがどの程度同様に血液型の分子模倣に対して自然免疫を示すのかという事に関しては、まだ完全には分かっていません。

本研究においては、Gal-7は、血液型の分子模倣を有する微生物に結合して殺傷する能力を持っていることが実証されました。但し、Gal-3、Gal-4、およびGal-8とは異なり、Gal-7は哺乳類のA抗原およびB抗原に対してほとんどアフィニティーを示しません。それにも関わらず、Gal-7は、血液型のような特徴を持つ糖鎖を発現する複数の微生物に対して高い特異性を示しました。これらの結果は、ガレクチンファミリーメンバー間の抗菌活性がGal-3、Gal-4、およびGal-8に限定されず、Gal-7も同様に血液型様抗原を発現する微生物に結合して殺傷する能力を持っていることを示しています。

CFG糖鎖アレイを使用したマイクロアレイ研究から、0.04μMで、Gal-7は600種類近くの糖鎖構造の内のわずかに3つ、タイプ2(Galβ1-4GlcNAc)血液型A構造、および2つのH抗原でキャップされた構造を含むポリラクトサミン(polyLacNAc、i血液型)にアフィニティーを示しました。 3.3μMでは、Gal-7は、血液型B抗原を含む幾つかの糖鎖を含む糖鎖構造へのアフィニティーを示しました。 10μMでは、Gal-7は、2分岐N-型糖鎖やポリ-N-アセチルラクトサミン(polyLacNAc)構造を持つものなど、他のガレクチンファミリーメンバーによって認識される糖鎖構造を含む一般的な非血液型にもアフィニティーを示しました。広範囲の濃度に渡るGal-7の選択的糖鎖結合特異性は、他のガレクチンに関する以前の報告とは区別され、Gal-3、Gal-4、およびGal-8とは異なり、Gal-7は血液型陽性微生物にそう簡単には関与しない可能性を示しています。

Gal-7や他のガレクチンが微生物を殺傷するメカニズムは不明なのですが、この研究結果は、哺乳類で発現する古代の糖鎖結合性タンパク質ファミリーが存在し、それが血液型糖鎖抗原の特徴を利用するさまざまな微生物を自然免疫的に標的とすることができるということを示しています。