農薬に耐性を持つ植物生育促進根圏細菌:シュードモナス PGR-11

Department of Biology, College of Science and Humanities, Prince Sattam Bin Abdulaziz University, Saudi Arabiaらのグループは、農薬のストレス下でも植物の生長を即するすることが出来る農薬耐性を持つシュードモナスの能力について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9200474/

合成化学肥料や殺菌剤などの農薬の使用によって、過去40年間で農業生産性が飛躍的に向上しました。食料の需要の高まりに対応するため使用された化学肥料や農薬は、しかしながら、環境を汚染し、土壌生物や花粉交配に一役買う昆虫らに害を及ぼしてきました。更には、化学物質の過剰利用は作物を病気にかかりやすくし、土壌の肥沃度の低下も招きました。

植物の成長は、植物ホルモンの産生、リンの利用可能性の改善、およびより多くの水と栄養素を吸収するための植物の根系の拡大により、植物の成長を促進する根圏細菌(PGPR)によってプラスの影響を受けます。幾つかの土壌細菌は、長期間の曝露後に農薬耐性を示し、農薬で汚染された地域を効率的に修復するために使用できます。農薬を分解するそれらの能力は、有害な化学物質を環境から除去し、汚染を制御することを可能にすために非常に重要です。

根圏細菌の農薬耐性は、様々な濃度の殺菌剤(CBZM、TBZL、MTXL)で処理された最小塩類培地(MSA)で分離株を成長させることによってテストされました。 緑豆の根圏からの分離株の中で、シュードモナス PGR-11は、CBZM、TBZL、MTXLのそれぞれ800、1600、1200 μg/mLの高濃度でも生き残る唯一の根圏細菌分離株でした。シュードモナス PGR-11は、テストされた殺菌剤に耐える最高の能力と、植物成長促進物質(シデロホア、IAA、EPS、HCN、およびアンモニア)に対する高い産生能力という観点から特に選択されました。

緑豆の収量は、これら試験農薬の濃度が増加するにつれて大幅な低下を示しました。例えば、MTXL 1000μg/kg土壌では、鞘の数、鞘の収量、種子の数と収量、および緑豆のタンパク質含有量は、それぞれ最大で90、78、85、82、および69%減少しました。 しかし、シュードモナス PGR-11を土壌に接種することによって、以下に示すように(一部のみを示す)、これらすべてのパラメーターが、未接種と比較して大幅に増加しました。