アーカイブ: 2022年3月24日

生物肥料 Biofertilizer(バチルス・サブティリス、シュードモナス、トリコデルマ、アスペルギウス、ペニシリウム)の効果を実証する

Department of Botany and Microbiology, Faculty of Science, Alexandria University, Alexandria 21511, Egyptらのグループは、生物肥料(Biofertilizer)を接種した茄の塩害耐性の改善について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8912713/

化学肥料は、従来の農業システムにおいて、高い生産性を達成するために広く使用されてきました。しかしながら、化学肥料が閾値レベルを超えると、それらは土壌の酸性化を加速し、地下水を汚染し、環境全体に害を及ぼしてしまいます。生物肥料は、リン酸塩の可溶化、窒素固定、アンモニア、酵素、シデロホアの生成、および様々な植物ホルモンの分泌を促し、効果的で環境に優しい代替手段として注目されています。更に、生物肥料の接種は、多種多様な植物病原性物質に対して生物的防除活性も示します。

本研究では、茄(Solanum melongena L.)の塩害ストレスに対する選択された生物肥料(植物成長促進根圏バクテリアおよび根圏真菌の接種)の接種効果が評価されています。

比較実験条件は次の様でした。
(C): コントロールとして蒸留水で灌漑されたもの、
(I): 生物肥料を接種し、蒸留水で灌漑されたもの、
(S): 200 mM NaClで灌漑されたもの(塩害ストレス条件)、そして
(S + I): 200 mM NaClで灌漑され、生物肥料を接種したもの。
二種類の根圏バクテリア(バチルス・サブティリス と シュードモナス)そして、三種類の根圏真菌(トリコデルマ, アスペルギラス, と ペニシリウム)が生物肥料 (biofertilizer)として使用されています。

塩害ストレスは、コントロールと比較して、根の含水量、葉の面積、根の新鮮重量および乾燥重量を有意に減少させましたが(それぞれ59.14、95.87、96.30、および95.66%)、塩害ストレスを受けた茄の土壌への生物肥料の接種は、以下に示すように、葉面積(LA)、総新鮮重量(TFW)、総乾燥重量(TDW)、および総含水量(TWC)に対して有意な増加をもたらしました。

光システム II D2、グルタチオン・レダクターゼ、およびグルタチオンSトランスフェラーゼの遺伝子発現は、塩害ストレスを受けた茄と比較して、生物肥料を接種された塩害ストレス茄で昂進しており、プロテアーゼIおよびプロテアーゼII(病原体の成長を抑制する細胞壁分解酵素)の遺伝子発現も、塩害ストレスを受けた茄に比べて、生物肥料を接種された塩害ストレス茄において昂進していました。逆に、リパーゼの遺伝子発現は、塩害ストレスを受けた茄に比べて、生物肥料を接種された塩害ストレス茄において減少していました。。
これらの変化は、病原菌防御機構に関連する遺伝子が生物肥料が接種された茄で昂進されている事を示唆しています。

ピロリ菌の根絶前後での胃粘膜の糖鎖修飾の変化:レクチンマイクロアレイを用いた研究

大分大医学部らのグループは、ピロリ菌根絶前後での胃粘膜の糖鎖修飾の変化をレクチンマイクロアレイを用いて評価した結果を報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35238778/

胃前庭部のJacalinおよびMPAのシグナルは、ピロリ菌無感染群の胃粘膜よりも、ピロリ菌感染群で有意に低く、ピロリ菌の根絶から1年後には、そのシグナルレベルは、無感染で見られる値に戻っていました。
胃のLTL、SNA、SSA、およびTJA-Iシグナルは、ピロリ菌感染群で有意に増加し、ピロリ菌の根絶後1年で無感染で見られたレベルに戻りました。

MPAとJacalinは85%の相同性があり、これらのレクチンは、ヒトの癌腫の85%以上で発現するTF抗原に対して特に高い特異性を持っています。
LTLはLewisx、LewisyおよびH-抗原Type IIに結合し、膀胱癌細胞株における癌進行のマーカーであると報告されています。
SNAは、結腸直腸癌、膵臓癌、および肝細胞癌らの診断、転移、および予後のマーカーであると報告されています。 SNAは、肺炎の診断マーカーおよび糖尿病性腎症の進行の予測マーカーでもあると報告されています。 SNA、SSA、およびTJA-Iは、α2-6Siaに対する糖鎖結合特異性を持っています。

この研究の結果は、ピロリ菌感染に起因する糖鎖修飾へのレクチン結合のシグナルレベルが、ピロリ菌の根絶の結果として、無感染で見られるレベルに戻ることを示しています。つまり、このデータは、糖鎖修飾が可逆的であることを示しているという点で興味深いものです。

バチルス・サブティリスは、どのようにして乾いた土壌の中で効果的に根圏にマイグレートできるのだろうか?

Institute of Plant Protection, Tianjin Academy of Agricultural Sciences, Tianjin, Chinaらのグループは、バチルス・サブティリスの根圏におけるコロニー形成におけるスクロースを起点と知る新たなシグナルカスケードの存在について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8397739/

バチルス・サブティリスは優れた善玉菌であり、多くの土壌伝染性植物病原菌を抑制することができることが知られています。 しかし、そのような有益な細菌はどのようにして植物の宿主からの信号を認識し、根圏にコロニーを形成し、最終的に植物との親密な関係を構築していくのでしょうか? この問題に対する焦点の1つは、植物の根から分泌される栄養素とその根圏細菌への影響であります。根から放出される栄養素の中で、スクロースは根圏に最も豊富に放出されることが知られています。光合成植物は固定炭素輸送および異なる組織間での貯蔵メカニズムとして主にスクロースを使用するため、スクロースは植物にとって非常に重要です。

下の図において、スクロースが他の幾つかの根の分泌糖(フルクトース、グルコース、マルトース)よりも、トマトの根において、バチルス・サブティリスの強力な根圏コロニー形成を誘導することが明確に示されています。

赤色に蛍光修飾された枯草菌のコロニー形成の違い(Fru: フルクトース, Glc: グルコース, Mal: マルトース, Suc: スクロース)

さらに、スクロースを添加した根圏土壌では、バチルス菌の相対存在量は約10.1%に達しましたが、この比率はスクロースを添加しない場合はわずか約0.1%であり、スクロース刺激によって根圏の天然バチルス菌の存在量が100倍に増加したことを示しています。スクロースによる。バチルス菌の存在量に対する強い正の影響に加えて、シュードモナス菌の比較的低い存在量(0.05%)も、野生型バチルス・サブティリスの接種により2.7%に上昇し、同時にスクロースを添加すると12.5%に更に上昇しました。また、スクロースの添加により、フザリウム・オキシスポルム属菌による土壌伝染病の抑制効率が向上することも示されました。

大きな疑問は、どのようにしてバチルス・サブティリスは、乾いた土壌の中で効果的に根圏にマイグレートできるのだろうか?ということです。

この質問に関して、著者らは、スクロースがシグナル伝達カスケードを活性化して乾いた土壌での運動性を誘発し、バチルス・サブティリスによる効果的な根のコロニー形成をもたらすことを示しました。つまり、スクロースはレバンの生合成を誘起し、レバンはさらに加水分解されてレバノオリゴ糖になり、最終的にバチルス・サブティリスからのサーファクチンの強力な産生を誘発することで、乾いた土壌での運動性を加速するのです。

レクチン経路の捕体系路の活性化が突発性膜性腎症(突発性膜性糸球体腎炎)に関係している

膜性腎症(MN)には、特発性膜性腎症(iMN)と非定型膜性腎症(aMN)の2種類があります。Department of Nephrology, Peking University People’s Hospital, Beijing, Chinaのグループは、マンノース結合レクチン(MBL)経路の活性化がiMNの発症に重要な役割を果たしていると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8920381/

補体経路には、古典的経路、マンノース結合レクチン(MBL)経路、および代替経路を含む3つの主要な経路があります。 C4dは、古典的およびマンノース結合レクチン補体経路の両方で生成されます。 C1qは、古典的補体活性化の主要な前駆体です。
C4dとC1qの両方の存在は、古典的経路の活性化を示していますが、
C1qなしのC4dの存在は、MBL経路とより一致しており、
C4dとC1qは、どちらも代替補体活性化には関係しません。

突発性膜性腎症の病変は、少量のIgG1およびIgG3、そして多量のIgG4の沈着を特徴としています。IgG4は古典的補体経路を活性化しません。代替補体活性化に存在しないC4dは、突発性膜性腎症患者で本質的に100%で検出されます。これらの観察は、MBLによって開始される補体経路が突発性膜性腎症における主要な補体活性化経路である可能性が高いことを示唆しています。一方、細胞増殖、マルチサイト免疫複合体沈着、IgA、IgG、IgM、C3、C1q陽性を含む免染の「フルハウス」を特徴とする非定型膜性腎症は、複雑な補体系の活性化を伴う病態生理学的プロセスが存在していることを示唆しています。

ラクトバチルス・クリスパタス KT-11のS-layerタンパク質がロタウイルスの感染を阻害する:シアル酸が鍵を握る

信州大学らのグループは、ラクトバチルス・クリスパタス KT-11のS-layerタンパク質が、ロタウイルスの感染を阻害することが出来、ウイルス感染開始にシアル酸が関係している可能性を指摘しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8902352/

ラクトバチルス属を含む乳酸菌は、チーズ、ヨーグルト、発酵乳などの発酵乳製品の生産に重要な役割を果たしています。近年、乳酸菌のS層タンパク質(SLP)の抗ウイルス成分としての作用に注目が集まっています。

Caco-2細胞におけるロタウイルスDS-1株の感染に対するラクトバチルス・クリスパタス KT-11 SLPの効果を下図に示します。 DS-1感染が、ドーズ依存的にKT-11 SLPによる感染前処理によって、有意に抑制されていることが分かります。しかし、逆に、KT-11 SLPは、100μg/ mLでの感染前処理後でも、ロタウイルスWa株の感染は全く抑制できませんでした。

ロタウイルスの細胞への侵入は複雑な多段階プロセスであり、ロタウイルス表面タンパク質のさまざまなドメインが、接着と侵入の受容体として機能する細胞表面分子と相互作用します。その中で、末端シアル酸や組織血液型抗原などのいくつかの糖鎖が、標的細胞へのロタウイルスの付着に関与していることが報告されています。上図に示したように、KT-11 SLPは、Caco-2細胞におけるDS-1株の感染をドーズ依存的に有意に阻害しました。ロタウイルス株と宿主細胞との感染初期の相互作用は、VP4遺伝子型に依存しています。 VP4(P型)の分子特性に基づく分類により、DS-1株はP[4]遺伝子型に分類されます。DS-1株を含むP [4]遺伝子型ロタウイルスが、感染にH-type1およびLewis-b抗原を使用していることを示す研究例が増えています。実際、H-type1およびLewis-b抗原はCaco-2細胞で発現しています。この結果は、これらの抗原へのKT-11 SLPの競合的結合によってDS-1感染の可能性が阻害されたことを示唆しています。しかし、予想に反して、同じH抗原とLewis-b抗原を感染に使用してるとして報告された別の優勢なP[8]サブタイプであるWa株の感染は、KT-11 SLPの存在下で全く阻害されませんでした。

最近ですが、DS-1株の感染は、3′-シアリルラクトースと6′-シアリルラクトースによって有意に阻害されたが、Wa株は2′-フコシルラクトースによって阻害された、ということが報告されました。従って、シアル酸を含む何らかの化合物が、DS-1株の感染に深く関与している可能性があります。

小麦の根圏:長期間にわたる施肥で、根圏真菌叢がどのように変化するか

State Key Laboratory of Soil and Sustainable Agriculture, Institute of Soil Science, Chinese Academy of Sciences, Nanjing, Chinaらのグループは、小麦の圃場における長期間の施肥が根圏真菌叢に如何なる変化をもたらしているかについて報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35266812/

この論文では、小麦の圃場での長期にわたる5種類の施肥実験(35年以上)から得られた新しい発見が報告されています。NPK肥料のみ、NPKと牛糞混合(NPK+CM)、NPKと豚糞混合(NPK+PM)、NPKと麦わら混合(NPK+WS)、および肥料なしのコントロール間の比較です。

門レベルでは、子嚢菌、担子菌、およびモルティエロ菌が、処理や生息地に関係なく、真菌叢を支配し、得られた全遺伝子配列読取の80%以上を占めていました。興味深いのは、他の処理と比較して、NPK+PM処理において、子嚢菌の相対的な存在量が最も高くなっているということです(根内圏、根圏土壌、およびバルク土壌でそれぞれ96.9%、87.1%、および91.1%)。

次に、真菌叢のα多様性と物理化学的変数(合計P、合計C、合計N、合計K、P、Ca、Mg、Na、Fe、Mnなど)との相関関係が分析されました。ランダムフォレスト分析により、PとZnは常に、根内圏、根圏土壌、およびバルク土壌におけるα多様性の変化に対する最良の予測因子であることが明らかになりました。特に、根圏のPとα多様性の間、および根圏土壌とバルク土壌のZnとα多様性の間には有意な相関関係がありました。PおよびZn濃度が高いほど、根圏真菌叢のα多様性は低くなります。
これは次のように考えることができます。豚糞は牛糞よりもP含有量が高く、豚糞を添加した後の土壌と小麦の根のP含有量は牛糞添加よりも有意に高くなっています。従って、長期の豚の糞尿の施肥は、土壌全体から根が適切で容易にアクセスできるPおよびP様栄養素の供給量が増えることとなり、それによって小麦の真菌叢への依存が減少し、それによっておそらく真菌全体の多様性が減少したものと考えられます。Pの場合と同様に、Znを巡る真菌間の資源と生存の競争を、Znに誘起された根圏真菌叢の多様性の変化に関連付けることは合理的だと考えられます。

トマトの白腐れ病菌(Sclerotim rolfsii)を阻害する根圏真菌について

Laboratoire Biologie et Santé, UFR Biosciences, Université Félix Houphouët-Boigny d’Abidjan (UFHB), Côte d’Ivoireらのグループは、トマトの白腐れ病菌(Sclerotim rolfsii)を阻害する根圏真菌について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8857420/

S. rolfsiiは、ナス科作物の破壊的な病原体の1つである白腐れ病原菌です。コートジボワールでは、この真菌病原体がトマト(Solanum lycopersicum)の栽培の主要な制約となっており、湿度の高い森林地域では41.01%の作物が失われています。

S. rolfsiiに対する根圏真菌の抗菌作用
153種類の土壌からの真菌分離株を用いたPDA培地上での阻害実験から、S. rolfsiiの増殖を阻害する10種類の真菌が見つかりました。阻害率は27.06から60.59%の範囲でした。主な阻害作用機序(抗菌作用)は、競争と抗生物質であります。前者は、抗真菌の急速な成長が病原菌の成長を遅らせるか阻害することによって引き起こされ、後者は、病原体の生物学的活性が阻害されることによって引き起こされます。これらの拮抗菌の分子同定から、10種の分離株は、Talaromyces属から4種類、Trichoderma属から3種類、Penicillium属から2種類、およびClonostachys属から1種類でありました。


10種の抗真菌の中で、Talaromyces purpureogenusとTalaromyces assiutensisが、抗生物質の分泌によって阻害していることが分かりました。
T. purpureogenusは、Mitorubrin と mitorubinolを分泌し、
T. assiutensisは、Spiculisporic acidをS. rolfsiiに対する阻害剤として分泌していました。

ACE2-Fc融合タンパク質がSARS-CoV-2の変異株によらない治療薬となる可能性

SystImmune Inc., 15318 NE 95th St., Redmond, WA, 98052, USAらのグループは、ACE2-Fc融合タンパク質が、SARS-CoV-2変異株の種類に関わらず効果的にウイルスを中和することができる治療薬と成りうると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8882475/

興味深いことに、SI-F09と名付けられたACE2-Fc融合タンパク質を使用した疑似ウイルス中和データは、SARS-CoV-2 RBDとACE2の間の結合強度が高いほど、IC 50値が低いことを示しています。言い換えれば、SARS-CoV-2 WTのIC50値が、オミクロンを含むSARS-CoV-2変異株の中で最も高いとなっています(以下に表示)。

現在、健康な患者に対するSI–F019の安全性を評価する第I相臨床試験が実施され(ClinicalTrials.gov識別子:NCT04851444)、次の治験に向けて、結果の分析が行われています。

骨髄性細胞に発現するC-Type lectin receptor 5A (CLEC5A) の発現と機能について

Cancer Immunology & Immune Modulation, Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Germanyらのグループは、骨髄性細胞に発現するC-Type lectin receptor 5A (CLEC5A) の発現と機能について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8896916/

骨髄性DAP12関連レクチン-1(MDL-1)としても知られるCLEC5Aは、病原体の表面に特異的に発現する糖鎖に優先的に結合する骨髄性Syk結合パターン認識受容体です。 CLEC5Aは主に骨髄細胞(単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞)で発現し、IFN-γによってさらに発現が昂進されます。 CLEC5Aが結合するリガンドは、デング熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、そしてまたA型インフルエンザウイルスに発現する糖鎖の末端フコースおよびマンノース構造として同定されました。更に、CLEC5Aは、細菌の細胞壁(リステリア・モノサイトゲネスや黄色ブドウ球菌など)の二糖類(N-アセチルグルコサミンおよびN-アセチルムラミン酸)に結合することも分かっています。機能的には、デングウイルスまたは他の病原体によって引き起こされるCLEC5A受容体の活性化は、炎症誘発性サイトカイン(TNF-α、IL-1、IL-6、IL-8、およびIL-17A)およびケモカイン(マクロファージ炎症性タンパク質-1α)、IFN-γ誘導タンパク質(IP-10/CXCL10)、およびマクロファージ由来ケモカイン(CCL22/MDC)の産生を誘導します。 CLEC5Aは、病原体関連抗原だけでなく、いくつかの内因性危険信号も認識し、その結果、無菌性炎症の病因に寄与する可能性があることも判明しています。

このレポートでは、単球由来マクロファージでのCLEAC5Aの発現状態と、α-CLEC5A AbによるCLEC5Aの選択的活性化による機能発現、および自己T細胞の活性化への影響が評価されています。

骨髄性細胞でのCLEC5Aの発現状態
CLEAC5Aの発現状態を幾つかの単球由来マクロファージ(MdM)間で比較しています。炎症性マクロファージ M1、中性マクロファージ M0、腫瘍形成性マクロファージ M2c、およびin vitro腫瘍関連マクロファージ(TAM)です。 CLEC5Aの発現は、単球および他のMdMサブセット(M0およびM2c)と比較して、M1 MdMで有意に上昇しましたが、TAMへの単球の分化はCLEC5Aの発現の低下をもたらしました。

CLEC5A活性化による機能発現
非感染性条件下でのCLEC5Aアゴニストの機能的効果を理解するために、M0 MdMのサイトカイン応答を評価しました。 α-CLEC5A Abに刺激されたM0 MdMにおいて、TNF-α、IL-6、IL-10、IL-1b、CCL22/MDC、CCL17/TARC、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP1)などのサイトカインおよびケモカインの産生が有意に昂進されました。興味深いことに、CLEC5Aの活性化は、CD80、PD-L1、CD206(MRC-1)、CD209(DC-SIGN)などの骨髄細胞特異的表面受容体の発現昂進をももたらしました。

最後に、無菌状態での骨髄細胞の選択的CLEC5Aを介した再プログラミングは、自家T細胞の活性化を促進するには不十分であるように見えました。

レクチンの細胞毒性

Institute of Physiology, University of Zurich, Zurich, Switzerlandのグループは、レクチンの細胞毒性について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8866831/

レクチンによる細胞表面糖鎖の標的化は癌治療の有望なアプローチですが、レクチンベースのアプローチ(レクチン単独または他の治療薬との組み合わせ)はまだ開発の初期段階にあります。糖鎖ターゲティングに基づく効率的な治療法の開発には、標的腫瘍細胞上のレクチンによって誘発される細胞死のメカニズムを深く理解する必要があります。特定のレクチンが異なるタイプの腫瘍細胞で異なるモードの細胞死を誘発することが知られています。たとえば、小麦胚芽レクチン(WGA)は、メラノーマと白血病細胞にアポトーシスを誘導し、パラトーシスのような細胞死によって頸部癌細胞を殺すことなどが知られています。

本研究においては、マウス腺癌細胞(MC-38)と若い成体マウス結腸細胞(YAMC)を使用して、レクチン(MAL I、MAL II、SNA、AAL、WGA、およびECL)処理によって誘起される様々な細胞死経路(アポトーシス、ネクロトーシス、パイロトーシス、パラトーシス、およびオートファジー依存性細胞死)が評価されました。レクチンの細胞毒性によって誘導される細胞死を媒介するシグナル伝達経路を判別するために、細胞死応答に関与する様々な遺伝子をノックアウトしたMC-38細胞のパネルを使用しています。

ノックアウトされた遺伝子は次の通りです:
アポトーシス促進タンパク質BCL2アンタゴニスト/キラー1(BAK1)およびBCL2関連X(BAX)は、内因性アポトーシスを媒介します、内因性アポトーシスのシグナル経路は、DNA損傷などのさまざまな内部細胞ストレス因子に応答して活性化されます。

Fas結合デスドメインタンパク質(FADD)は、外因性アポトーシスを媒介します、外因性アポトーシス経路は、細胞死受容体の活性化に応答して誘導され、その後、 FADDとプロカスパーゼ-8を含む細胞死誘導シグナル伝達複合体を形成し、カスパーゼ-3を切断します。

腫瘍ネクローシス因子受容体1型結合デスドメインタンパク質(TRADD)、受容体相互作用セリン/スレオニンプロテインキナーゼ3(RIPK3)、混合系統キナーゼドメイン様タンパク質(MLKL)およびカスパーゼ-8(CASP8)は、カスパーゼ非依存性ネクロトーシスを媒介します。

カスパーゼ-1(CASP1)とガスデルミンD(GSDMD)は、パイロトーシスを媒介します、CASP1は、様々な微生物感染や非感染性の刺激に応答してインフラマソームによって活性化されます。この経路はGSDMD切断につながり、これが原形質膜に埋め込まれて細孔ができることで、イオン勾配を乱して水の流入を促進し、細胞の腫れと浸透圧溶解を引き起こします。

結果:
BAX/BAK1複合体の不活性化は、WGA、MAL I、およびAAL処理によって誘発される細胞毒性反応を減少させました。細胞毒性の50%以上の減少は、アポトーシスの古典的なトリガーであるシスプラチンで処理された細胞でみられる効果と同様でした。対照的に、FADDの不活性化は、WGA、MAL I、およびAALによって媒介される細胞死に影響を与えませんでした。

腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1)の下流のアポトーシスとネクロトーシスの活性化に必要な別のアダプター分子であるTRADDの不活性化は、MAL Iで処理した細胞の細胞死を減少させましたが、WGAとAALの場合には減少しませんでした。 MLKLの低下が、WGA、MAL I、およびAALの細胞毒性効果を減少させることから、これらレクチンによって誘発される細胞死にネクロトーシス経路が寄与していることが示唆されます。

CASP1またはGSDMDのいずれかの不活化は、MAL Iを介した細胞毒性のわずかな減少のみを示し、MAL I処理に応答したパイロトーシスの部分的な関与を裏付けています。 CASP1の不活化は、MALおよびAALによって誘発される細胞毒性の低下をもたらしました。

アポトーシスの誘導に加えて、多くのレクチンはオートファジーを昂進させ、オートファジー依存性の細胞死を引き起こすことがあります。 LC3-IIはオートファゴソーム膜に関連していまが、レクチンで6時間処理した細胞からの溶解物において、MAL I、AAL、およびWGA処理でLC3-IIの発現が昂進していました。 LC3-IIの増加は、MAL I、AAL、およびWGAによって誘導される細胞死が、古典的なアポトーシスミトコンドリア経路ではなく、オートファジー/リソソーム応答の活性化によって開始された可能性があることを示しています。実際、飢餓によって誘発されるオートファジーを阻害することが知られているシクロヘキシミド(CHX)を添加することにより、3つのレクチンの細胞毒性反応が大幅に低下しました。

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