生物肥料 Biofertilizer(バチルス・サブティリス、シュードモナス、トリコデルマ、アスペルギウス、ペニシリウム)の効果を実証する

Department of Botany and Microbiology, Faculty of Science, Alexandria University, Alexandria 21511, Egyptらのグループは、生物肥料(Biofertilizer)を接種した茄の塩害耐性の改善について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8912713/

化学肥料は、従来の農業システムにおいて、高い生産性を達成するために広く使用されてきました。しかしながら、化学肥料が閾値レベルを超えると、それらは土壌の酸性化を加速し、地下水を汚染し、環境全体に害を及ぼしてしまいます。生物肥料は、リン酸塩の可溶化、窒素固定、アンモニア、酵素、シデロホアの生成、および様々な植物ホルモンの分泌を促し、効果的で環境に優しい代替手段として注目されています。更に、生物肥料の接種は、多種多様な植物病原性物質に対して生物的防除活性も示します。

本研究では、茄(Solanum melongena L.)の塩害ストレスに対する選択された生物肥料(植物成長促進根圏バクテリアおよび根圏真菌の接種)の接種効果が評価されています。

比較実験条件は次の様でした。
(C): コントロールとして蒸留水で灌漑されたもの、
(I): 生物肥料を接種し、蒸留水で灌漑されたもの、
(S): 200 mM NaClで灌漑されたもの(塩害ストレス条件)、そして
(S + I): 200 mM NaClで灌漑され、生物肥料を接種したもの。
二種類の根圏バクテリア(バチルス・サブティリスシュードモナス)そして、三種類の根圏真菌(トリコデルマ, アスペルギラス, と ペニシリウム)が生物肥料 (biofertilizer)として使用されています。

塩害ストレスは、コントロールと比較して、根の含水量、葉の面積、根の新鮮重量および乾燥重量を有意に減少させましたが(それぞれ59.14、95.87、96.30、および95.66%)、塩害ストレスを受けた茄の土壌への生物肥料の接種は、以下に示すように、葉面積(LA)、総新鮮重量(TFW)、総乾燥重量(TDW)、および総含水量(TWC)に対して有意な増加をもたらしました。

光システム II D2、グルタチオン・レダクターゼ、およびグルタチオンSトランスフェラーゼの遺伝子発現は、塩害ストレスを受けた茄と比較して、生物肥料を接種された塩害ストレス茄で昂進しており、プロテアーゼIおよびプロテアーゼII(病原体の成長を抑制する細胞壁分解酵素)の遺伝子発現も、塩害ストレスを受けた茄に比べて、生物肥料を接種された塩害ストレス茄において昂進していました。逆に、リパーゼの遺伝子発現は、塩害ストレスを受けた茄に比べて、生物肥料を接種された塩害ストレス茄において減少していました。。
これらの変化は、病原菌防御機構に関連する遺伝子が生物肥料が接種された茄で昂進されている事を示唆しています。