トマトの白腐れ病菌(Sclerotim rolfsii)を阻害する根圏真菌について

Laboratoire Biologie et Santé, UFR Biosciences, Université Félix Houphouët-Boigny d’Abidjan (UFHB), Côte d’Ivoireらのグループは、トマトの白腐れ病菌(Sclerotim rolfsii)を阻害する根圏真菌について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8857420/

S. rolfsiiは、ナス科作物の破壊的な病原体の1つである白腐れ病原菌です。コートジボワールでは、この真菌病原体がトマト(Solanum lycopersicum)の栽培の主要な制約となっており、湿度の高い森林地域では41.01%の作物が失われています。

S. rolfsiiに対する根圏真菌の抗菌作用
153種類の土壌からの真菌分離株を用いたPDA培地上での阻害実験から、S. rolfsiiの増殖を阻害する10種類の真菌が見つかりました。阻害率は27.06から60.59%の範囲でした。主な阻害作用機序(抗菌作用)は、競争と抗生物質であります。前者は、抗真菌の急速な成長が病原菌の成長を遅らせるか阻害することによって引き起こされ、後者は、病原体の生物学的活性が阻害されることによって引き起こされます。これらの拮抗菌の分子同定から、10種の分離株は、Talaromyces属から4種類、Trichoderma属から3種類、Penicillium属から2種類、およびClonostachys属から1種類でありました。


10種の抗真菌の中で、Talaromyces purpureogenusとTalaromyces assiutensisが、抗生物質の分泌によって阻害していることが分かりました。
T. purpureogenusは、Mitorubrin と mitorubinolを分泌し、
T. assiutensisは、Spiculisporic acidをS. rolfsiiに対する阻害剤として分泌していました。