金属酸化物のナノ粒子(CuO, ZnO, そしてFeO)を使ってトマトの青枯病を制御する

Key Laboratory of Biology of Crop Pathogens and Insects of Zhejiang Province, Institute of Biotechnology, Zhejiang University, Hangzhou 310058, Chinaらのグループは、金属酸化物のナノ粒子を使って、トマトの青枯病(TBW)を抑制することができることを示しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35008839/

トマトの青枯病は、世界で最も感染性の高い土壌伝染性の細菌性疾患です。 原因菌である青枯病菌は、深刻な植物病原体として認識されています。

金属酸化物のナノ粒子である(CuONP、FeONP、およびZnONP)の適用により、コントロールと比較して、トマト植物の長さがそれぞれ24.3%、54.6%、および30.8%増加しました。同様に、金属酸化物ナノ粒子(CuO、FeO、およびZnO)で処理された青枯病感染植物は、コントロールと比較して、新鮮重量が32.8%、78.3%、および30.6%増加し、乾燥重量が41.0%、54.1%、および40.0%増加しました。

一方、青枯病の発症率は、CuONP、FeONP、およびZnONP処理の適用により、コントロールと比較して、それぞれ36.9%、52.8%、および42.8%に大幅に減少していました。

根圏細菌叢のモニタリングからは、これら金属酸化物のナノ粒子が根圏土壌中の細菌の存在量に影響を及ぼし、細菌群集の構成を調節することも分かりました。従って、根圏細菌叢における細菌間の相互作用の変化が青枯病の発生の減少につながったと考えられます。

HIVウイルス特異的な糖鎖抗原を発現させたナノ粒子ワクチンの免疫増強効果

Koch Institute for Integrative Cancer Research, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02139, USAらのグループは、糖鎖抗原を発現させたナノ粒子をワクチンとして用いる方法を提案しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35021101/

著者らは最近、糖鎖修飾を受けたHIV免疫抗原含有ナノ粒子が、マンノース結合レクチン(MBL)によって媒介されるプロセスでリンパ節濾胞内に蓄積し、ナノ粒子表面への補体沈着、濾胞樹状細胞への輸送、および獲得免疫で要となる胚中心の増強を引き起こすことを報告しました。

これらナノ粒子の平均糖鎖修飾数をナノ粒子あたり0個から240個の高マンノース型糖鎖修飾と増加させて滴定すると、in vitroでのMBL結合とin vivoでの濾胞樹状細胞局在が着実に増加しました。しかし、増やしすぎると逆に落ちてきます(下図参照)。これらの実験から、MBL結合を開始するために必要な最小糖鎖修飾密度の推定値を計算すると、この研究モデルの場合、約25nmの粒子では、2.1×10-3マンノースパッチ/nm2であり、パッチ間の平均分離は約21nmに相当しています。

小麦の根圏:塩害耐性を強化するバチルス・ベレチェンシスの接種効果

Key Laboratory of Biochemistry and Molecular Biology in University of Shandong Province, Weifang University, Weifang, Chinaらのグループは、小麦の塩害耐性を高めるために、バチルス・ベレチェンシスの根圏接種について報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34987493/

塩害は、世界的な農業問題のひとつです。現在、世界の耕作地の少なくとも20%は、さまざまな程度の塩害によって脅かされているとされています。

この研究では、バチルス・ベレチェンシス JC-K3の菌株が、塩性土壌で育てられた小麦から分離されました。この菌株は、強い耐塩性と耐アルカリ性を示しただけでなく、IAA、シデロホア、プロリン、可溶性糖、プロテアーゼ、セルラーゼ、およびグルカナーゼらを生成することで、植物の耐塩性を改善し、環境変化に対する植物の耐性を改善します。実際、本実験でテストされた塩分ストレス下で(耐塩性(12%NaCl、w/v)、1-アミノシクロプロパン-1-カルボキシレートを添加したDF寒天培地に対して)、コントロール群と比較して、バチルス・ベレチェンシス JC-K3の接種は、小麦の成長を促進しました(草丈は12.69%増加し、根長は27.59%増加し、小麦シュートの新鮮重量は13.55%増加しました)。

コントロール群と比較した場合、JC-K3接種後の小麦の根の内生菌の含有量に有意差はありませんでしたが、小麦の新芽中のCyanobacteriaの含有量は、JC-K3の接種後に有意に減少(p≤0.001)、Proteobacteria、 Actinobacteria、Chloroflexi、Bacteroidetes、Firmicutes、Gemmatimonadetes、Nitrospirae、Saccharibacteria、そしてParcubacteriaは有意に増加p≤0.001)、小麦の葉の放線菌、Chloroflexi、Acidobacteria、 Gemmatimonadetes、そしてNitrospiraeの含有量は、JC-K3の接種後に有意に増加(p≤0.001)、根圏土壌中のParcubacteriaの含有量は大幅に減少していました(p≤0.05)。

JC-K3を接種した後、小麦の根と葉の内生菌の含有量に有意差はありませんでしたが、小麦の新芽に含まれるGlomeromycotaの含有量は大幅に減少し(p≤0.05)、小麦の根圏土壌に含まれるAscomycotaの含有量は大幅に減少し、BasidiomycotaとRozellomycotaの含有量は大幅に増加していました(p≤0.05)。

キメラ抗原受容体(CAR)-NK細胞をSARS-CoV-2感染の治療に使用する

The Sidney Kimmel Comprehensive Cancer Center, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD, USAらのグループは、SARS-CoV-2感染の治療のための糖タンパク質標的キメラ抗原受容体(CAR)-NK細胞を使用した新しいアプローチを提案しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8732772/

NK細胞は免疫系の自然免疫リンパ球であり、ウイルス感染の制御に重要な役割を果たしており、CAR-T細胞およびCAR-NK細胞は、癌や感染症に対する非常に有望な新しい免疫療法として着目されています。

通常、NK細胞表面に発現された合成受容体は、ターゲット細胞の表面タンパク質に結合するように設計されています。この研究では、ターゲットとなる糖鎖修飾に対する結合特性を持つユニークな細胞膜外発現分子(即ち、レクチン)を利用してCARを設計しました。糖タンパク質、特にN-型糖鎖をCARで標的化することはまれです。本研究は、SARS-CoV-2のSpikeタンパク質に発現したNー型糖鎖を標的とする最初のCARであり、おそらく、前臨床試験で設計および機能的にテストされた最初のレクチンベースのCARでもあります。

レクチンは、何百万年にもわたって糖鎖に対して非常に強力で選択的な結合特性を持つように進化してきたものであり、H84T-BanLec CARは、ウイルスタンパク質の異常な糖鎖修飾パターン(この場合はハイ・マンノース)を標的とするという点で、まったく新しいアプローチです。ここで、BanLecは、ハイ・マンノース型糖鎖への結合特異性を有することが知られているレクチンであり、SARS-CoV-2 Spikeタンパク質の受容体結合ドメインの近くに存在することが分かっています。

SARS-CoV-2などのRNAウイルスにおいては、ゲノムの突然変異の影響を受けにくい受容体ターゲティングパターンを備えたCARを開発する必要性があり、N-型糖鎖はそのターゲットに成りうると考えられます。

SARS-CoV-2 オミクロン株に感染するとデルタ株に対する中和抗体の力価が上昇する

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34981076/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8722618/

この二つのレポートから、

オミクロンに感染するとデルタに対する中和抗体の力価が上昇すること(約4.4倍)、

三回mRNAワクチンを接種すると、どの株に対しても中和抗体の力価は高めに保持される、

ということが分かります。

トリコデルマ菌が植物の病原菌抑制と成長促進に対して有効:トリコデルマ菌のキチナーゼと β-1,3-グルカナーゼの分泌がキー

College of Plant Protection, Hainan University, Haikou, Hainan, Chinaらのグループは、13種のトリコデルマ菌が植物の生長に有効であり、バイオ肥料やバイオ農薬としての応用が考えられると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8714372/

種子の発芽を有意に促進した13種のトリコデルマ菌ですが、スイカ、チリ、ナス、およびトマトの根の成長に対するそれらの効果について概観してみます。温室実験では、すべての菌株がチリ苗の根の成長を促進する効果を示し、その中で、HL100菌株はコントロールと比較して根の長さが最大12.17%増加しました。 3つの菌株(GZ070、HL100、およびHN059)は、スイカの苗の根の成長を大幅に促進しました。 HN059株は、コントロールと比較して根の長さが18.81%の最大増加量を示しました。トリコデルマ菌株GZ070、HL100、HN059、JX013、XJ087、およびNX043、HL119、HN059、SC012、XJ035、SC098、SC101は、それぞれナスとトマトの苗の根の成長を促進することがわかりました。ナス(40.99%)とトマト(34.68%)の根の長さの最大増加量は、それぞれGZ070株とSC098株によって記録されました。

トリコデルマ菌は成長が早く、病原性真菌の根圏での成長空間を急速に占有する可能性があり、これが、抗菌効果の重要なメカニズムのひとつです。細胞壁分解酵素と揮発性抗生物質の産生は、生物的防除剤としてのトリコデルマ菌の重要なもうひとつのメカニズムです。病原体に対する優れた拮抗作用を有する13種のトリコデルマ菌株(PI> 85%)が、病原体の細胞壁の分解に関連するキチナーゼおよびβ-1,3-グルカナーゼを分泌することが示されました。即ち、トリコデルマ菌は、根圏空間や栄養を求めて病原体と競合するだけでなく、それら病原体の細胞壁を分解し、菌糸を変形させ、さらには消化し、病原体の増殖を阻害していると考えられます。

幾つかの他所の報告でも、トリコデルマ菌による根のコロニー形成が、様々なペルオキシダーゼ、キチナーゼ、β-1,3-グルカナーゼ、およびリポキシゲナーゼ-ヒドロペルオキシドリアーゼ経路を含む防御関連植物酵素のレベルを増加させていることが示されています。キュウリでは、T-203株による根のコロニー形成により、葉のフェノール配糖体レベルが上昇し、それらのアグリコン(炭水化物部分が除去されたフェノール性グルコシド)が、様々な細菌や真菌に対して強力に阻害作用を示すことも分かっています。

逆相レクチンマイクロアレイで結腸直腸がんのマーカーを探索:PHAE + HL sel レクチンの組み合わせがベスト

Institute of Chemistry, Slovak Academy of Sciences, Bratislava, Slovakiaらのグループは、年齢に依存せず、直腸結腸がんに特異的な糖鎖変化をふたつのレクチンの組み合わせ(PHAE + HL sel)で高精度に判別することが出来ると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8695905/

ここでは、結腸直腸がんのマーカーとして着目される血清のグライコ―ムの変化を捉えるために、逆相レクチンマイクロアレイが使用されました。

逆相レクチンマイクロアレイとは何?
50倍に希釈された血清サンプルを、エポキシドでコーティングされたスライド上に、マイクロアレイスポッターを使用して、3連で異なるウェルにスポットします。続いて、ブロッキングした後、70μlのビオチン化レクチン(PBS中5μg/ ml)を添加し、室温で1時間インキュベートします。スライドをPBSで3回穏やかに洗浄した後、70μlのストレプトアビジン修飾された蛍光物質(PBS中0.1μg/ ml)を15分間添加します。洗浄ステップと脱イオン水での追加洗浄の後、マイクロアレイリーダーを使用して蛍光強度を読み取ります。

本実験で使用されたレクチン
AAL, RPL-Fuc1, PHAE, PHAL, ConA, DBA, WFL, WGA, RCAI, MAA, P sel, RPL-Sia2, SNAI, HPyL, HE sel, and HL sel

PHAE(N-ghlycans with outer Gal and bisecting GlcNAcに特異的)と HL sel(6-O-Su sLexに特異的) の組み合わせで、最も高い判別能力が得られました(AUC = 0.989)。

グルタミン酸が根圏細菌叢を制御し、植物の病気を抑える:イチゴとトマトの研究から

Gyeongsang National University, Jinju, Koreaらのグループは、グルタミン酸が直接的にイチゴとトマトの根圏細菌叢を制御できると報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34930485/

植物の発達を通して、関連する細菌叢の構造は、特にバチルス、シュードモナス、ストレプトマイセスなどの善玉菌による病気の予防において、植物の健康に大きな影響を及ぼします。根圏細菌叢を制御するに際して、最も現実的な方法を見つけ出すことがとても大切です。

l-グルタミン酸がイチゴのアンソスフィア細菌叢の構造を制御できるかどうかを調べています。 3つの処理(未処理のコントロール、l-グルタミン酸、または最終濃度2%のl-アスパラギン、pH 6.5)が、2週間間隔で植木鉢ごとに1分間スプレーされました。エンテロバクターが、未処理のコントロール、l-アスパラギン処理で、2〜8週目に優勢となり、2〜4週目では、 l-グルタミン酸処理が優勢でした。 シュードモナスは2番目に豊富な細菌種であり、モラクセラがそれに続いていました。ストレプトマイセスの増加は、6週目と8週目のl-グルタミン酸処理でのみ発生しており、なんとコミュニティの99.9%と99.9%を占めていました(下図参照)。

次に、イチゴの花における灰色かび病、花枯れ病の発生頻度とストレプトマイセスの密度に対するl-グルタミン酸の影響が調べられました。発病率(DI)は2週間間隔で評価されました。同時に、l-グルタミン酸とl-アスパラギンを2週間間隔で4週目から8週目まで3回噴霧しました。0週目から4週目までの灰色かび病の発病率は、処理とは無関係に比較的低いままでした(10〜16%)。6週目で、未処理のコントロールは16.6%の発病率を示しました。 l-アスパラギンで処理された植木鉢の発病率は16%であり、l-グルタミン酸で処理された植木鉢の発病率は12.4%と大幅に低くなっていました。 8週目では、未処理のコントロールの発病率は34%に増加しましたが、l-グルタミン酸を噴霧した植木鉢の発病率は17%未満に維持されました(下図参照)。

この様にして、グルタミン酸が植物の細菌叢を再構成し、イチゴのアンソスフィアの機能的なコアの細菌であるストレプトマイセスの集団を豊かにすることが示されました。同様に、より複雑な細菌叢を持つトマトの根圏でも、グルタミン酸で処理すると、バシラス科とバークホルダーリアの個体数だけでなく、ストレプトマイセスの個体数も増加していました。同時に、ボトリチスとフサリウムによって引き起こされる病気は、大幅に減少していました。

3回目のSARS-CoV-2 ブースター・ワクチンの接種が、オミクロン変異株に対する中和力価を大幅に改善する

Department of Pathology, Massachusetts General Hospital, Boston, MA, USAらのグループは、ブースターとしての3回目のSARS-CoV-2ワクチンの接種がオミクロン変異株に対する中和抗体の活性を大幅に改善することを報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8687472/

SARS-CoV-2 野生型、デルタおよびオミクロンの変異株に対する中和抗体の力価が、米国で承認された3つのワクチン(mRNA-1273、BNT162b2、またはAd26.COV2.S)のいずれかで完全にワクチン接種を受けた239人の血清を用いて評価されました (BNT162b2:Pfizer-BioNTech、mRNA1273:Moderna、Ad26.COV2.S:Janssen/Johnson & Johnson)。

オミクロン変異体の中和抗体は、いずれかのmRNAワクチンを3回接種した場合で顕著に高くなりました(mRNA-1273では19倍、BNT162bでは27倍のGMNT増加している)。興味深いことに、Ad26.COV2.Sワクチンは、mRNA-1273で追加免疫された場合に、Ad26.COV2.Sのみを投与された場合と比較して、野生型、デルタ、およびオミクロン変異株の中和力価が大幅に高くなっていました。

これらの結果は、3回目のワクチン・ブースターの接種がオミクロン変異株の感染を阻止するために非常に有効であることを示しています。

IL-6/リンパ球比が、COVID-19の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の予測には最も優れている

Internal Medicine II, San Giuseppe Hospital, Empoli, Italyらのグループは、IL-6に対するリンパ球数の比(IL-6/Lym)が。SARS-CoV-2感染に起因する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を伴う重症化予測に高い能力を持っていることが確認されました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8660176/

SARS-CoV-2に起因する肺炎におけるIL-6/Lym比のAUC(0.797、95%CI:0.738–0.848)は、分析された他のすべてのバイオマーカーと比較して最も高く、IL-を除いてその有意差は顕著でした。

COVID-19のARDSの正確な病態生理学的メカニズムはまだ不明確なままですが、多くの研究により、高レベルのIL-6と低リンパ球数がCOVID-19のサイトカインストームと免疫応答のバイオマーカーであることが示されています。この2つのバイオマーカーをそれらの間の比率として使用することで、それらを単独で用いるよりもより高い予測力を得ることができます。
COVID-19患者では、好酸球/リンパ球(Neu/Lym)比、血小板/Lym比、Lym/CRP比、リンパ球/単球比、好酸球/リンパ球比というような形でリンパ球数が多用されています。一方で、最近、IL-6/Lym比が、COVID-19患者の興味深い予後マーカーとして提案されてきていました。

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