アーカイブ: 2023年7月3日

MannoseおよびMannanでコーティングされたフコイダン/キトサンのナノ粒子を用いてマクロファージを活性させる

LAQV, REQUIMTE, Departamento de Ciências Químicas, Faculdade de Farmácia, Universidade do Porto, Rua de Jorge Viterbo Ferreira, Porto, Portugalらのグループは、MannoseおよびMannanでコーティングされたフコイダン/キトサンのナノ粒子を用いてマクロファージを活性させる方法について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10298651/

マクロファージを活性化するために、マクロファージ表面に存在するマンノース受容体を、mannose (M) とmannan (Mn) を修飾した薬物を含まないフコイダン/キトサン (F/C) ナノ粒子によって刺激しました。ここで使用されている高分子電解質複合体ナノ粒子は、カチオン性キトサンとアニオン性フコイダンとの間のクーロン相互作用を通じて静電的に凝集させたものです。

マクロファージ上のCD11b発現は、LPSの曝露と同様に、mannanおよびmannoseでコーティングされた F/Cナノ粒子の存在下で強く昂進しており、それは、コントロール(NS)およびコーティングされていないF/C ナノ粒子の場合と比較して統計的に有意なものです。 従って、このような糖鎖でコーティングされたナノ粒子は、LPS 刺激で観察されたように、マクロファージの活性化を誘発することが確認されました。

このようにして、薬物を含まないポリマーナノ粒子の機能化を介してマクロファージ受容体を標的にすることは、免疫系を調節するための有望なアプローチであることが示されています。

統計的機械学習の一種であるボルツマンマシンを用いて糖鎖構造を推定する

Department of Physics, University of California, San Diegoらのグループは、ボルツマンマシンモデルを用いてレクチンパネルの情報から糖鎖構造を推定する方法について述べています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10274649/

本研究では、レクチンの糖鎖結合パターンから対象とする糖鎖構造を予測できるかどうかが議論されています。各レクチンには、それが特異的に結合する小さな糖鎖構造モチーフのセットがあります。レクチンには論理的に定式化される複雑な結合ルールがあるとは予想されていないため、浅いニューラル ネットワーク トポロジーが適切であると考えました。この相互作用を議論するための合理的な最小モデルは、2層ネットワークとして概念化できる完全に可視化されたボルツマンマシンであると考えられました。

正直言って精度は高くないです。それって糖鎖がとてもヘテロな集団だからということもありますし、レクチンの特異性が曖昧だからというのもありましょう。
この手のレクチンを使った糖鎖構造推定には、否定的な人が多く、MS/MS信奉者が非常に多いです。
しかし、この論文のディスカッションの文脈の中で、彼らが述べていることは、自分の考えと同じです。
「レクチンを用いた情報は生物学的な文脈においては十分正確である!」

T-細胞上のPD-1の茎領域にO-型糖鎖修飾が存在する

Translational Research Unit, Chulabhorn Research Institute, Bangkok, Thailandらのグループは、PD-1のO-型糖鎖修飾の存在について報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41598-023-36203-3#Abs1

T-細胞に発現するPD-1のT153、S157、S159、およびT168 の茎領域が、core-1 およびcore-2ベースの構造を持つシアリルO-型糖鎖によって修飾されていることが分かりました。
これらの糖鎖修飾が存在することの最も顕著な意味というのは、O-型糖鎖と茎領域のペプチド骨格の間の立体相互作用によって、PD-1のロッド状構造の形成を促し、細胞表面上でその受容体を細胞外へ長く伸ばすことであると推測されました。

変形性関節症(OA)で見られる特徴的な糖鎖修飾変化について

Laboratory for Functional Glycomics, College of Life Sciences, Northwest University, Xi’an, Chinaらのグループは、変形性関節症(OA)で見られる特徴的な糖鎖修飾変化について報告しています。
https://arthritis-research.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13075-023-03084-w

変形性関節症 (OA) に関連する異常な糖鎖修飾と修飾部位特異的な糖鎖修飾の不均一性を、レクチンマイクロアレイとLC-MS/MSを用いて評価しています。
高レベルのα-1,3/6 フコシル化および低レベルのハイマンノース型N-型糖鎖を含む異常な糖鎖修飾が変形性関節症の軟骨で観察されました。

変形性関節症軟骨の新しい特徴として、フィブロネクチン(FN1)およびアグリカンコアタンパク質(ACAN)上の糖鎖修飾の不均一性が明らかにされました。これらのタンパク質は主に細胞外領域および細胞外空間に局在しているものです。
具体的には、Fibronectin(FN1)-N528はN4H5S2がほぼ消失し、N4H4F1S1が大幅に増加、
アグリカンコアタンパク質(ACAN)-N333 に関しては、N5H8F1 はほぼ消失し、N6H4S1、N4H3F1、N5H3F1、N2H5、N6H4 が大幅に増加、
そして、アグリカンコアタンパク質(ACAN)-N658に関しては、N5H4F1S2、N6H6F1、N6H7、N7H6 がほぼ消失し、N2H11 が大幅に増加していました。

早産児を壊死性腸炎から守るには母乳がとても効果的

USDA Children’s Nutrition Research Center, Department of Pediatrics, Baylor College of Medicine, Houston, TX 77030, USAらのグループは、プレバイオティクスとプロバイオティクスだけでは、粉ミルクだけをベースにした食事で壊死性腸炎から早産児を守るのに十分ではないと報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10255242/

壊死性腸炎は、早産児の胃腸疾患による主な死因であり、死亡率は15~40%に達します。本研究では、腸内細菌として、(1)Escherichia-Shigellaは、健康な子豚に有意に多く存在し、疾患の重症度と負の相関があり、(2)Clostridium sensu stricto 1 and Enterococcusは、病気の子豚の結腸に有意に多く存在し、疾患の重症度と相関していることが示されています(下図参照)。

食事性プロバイオティクスであるBifidobacterium longum 亜種およびミルクオリゴ糖であるシアリルラクトース(3’SL)の補給だけでは改善効果は認められませんでしたが、母乳は壊死性腸炎の発生率を有意に減少させることが示されています。

一型糖尿病の合併症における補体C3の特異的な糖鎖修飾変化について

Faculty of Pharmacy and Biochemistry, University of Zagreb, Zagreb, Croatiaらのグループは、一型糖尿病の合併症における補体C3の特異的な糖鎖修飾変化(c3.Asn939-N2H10)について報告しています。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fendo.2023.1101154/full

補体成分C3のN-型糖鎖修飾について、様々な合併症重症度を持つ189人の一型糖尿病被験者のプロファイリングを実施しました。分析は、Con A レクチンによるハイ・マンノース糖タンパク質のエンリッチメント、Glu-C 消化、糖ペプチド精製を行い、nano LC-ESI-MSを用いて行われました。

結果として、アルブミン尿と網膜症では ひとつの糖鎖構造(C3.Asn939-N2H10:下図参照)のみが有意に変化し、C3.Asn939-N2H10とHbA1cの間には強い相関関係があることも分かりました。

非小細胞肺癌の血清バイオマーカーについて:コンドロイチン硫酸プロテオグリカン

Department of Laboratory Medicine, Shanghai Tongji Hospital, School of Medicine, Tongji University, Shanghai, Chinaらのグループは、非小細胞肺癌の血清バイオマーカーについて報告しています。
https://respiratory-research.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12931-023-02423-4

非小細胞肺癌患者においては、血清バーシカンおよび血清エクソソームバーシカンが有意に増加しており、T1 + T2 患者と比較して T3 + T4 患者で有意に昂進していました (P < 0.05)(ROCカーブ参照)。バーシカンとは、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンです。血清バーシカンおよび血清エクソソームバーシカンは、ELISAキット(中国製)を用いて検出されました。

注意欠如多動性障害(ADHD)における血清糖タンパク質の糖鎖修飾の変化について

Institute of Chemistry, Slovak Academy of Sciences, SK-84538 Bratislava, Slovakiaらのグループは、注意欠如多動性障害(ADHD)における血清糖タンパク質の糖鎖修飾の変化について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10218324/

本研究は、血清蛋白質の糖鎖分析から糖修飾変化に基づいて新しいADHDのバイオマーカーを見つけ出すことが可能かどうかを判断することに焦点を当てています。本研究においては、レクチンマイクロアレイとMALDI-TOF MS法という2つの異なる技術を使用して血清東端質の糖鎖構造変が分析されています。

その結果、ADHDではコア・フコースの修飾が増加し、バイセクティングGlcNAc有する二分岐/三分岐N-型糖鎖、およびα2-3シアル酸修飾が減少することが判明しました。

トマトの根から分泌されるヘキサデカン酸が善玉菌であるシュードモナス菌のバイオフィルム形成を最も強く促進する

School of Biotechnology and Pharmaceutical Engineering, Nanjing Tech University, Nanjing, Chinaらのグループは、トマトの根から分泌されるヘキサデカン酸が善玉菌であるシュードモナス菌のバイオフィルム形成を最も強く促進すると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10220591/

植物成長促進細菌は、その安全性、病気や害虫の生物学的制御、および耐環境性を誘導する能力により、農業用途で広く使用されつつあります。 それら善玉菌の根圏定着、走化性、バイオフィルム形成は、根からの分泌物と特定の代謝産物によって誘導されることが知られています。

本研究では、特定の濃度のシュードモナス・スタッツェリ NRCB010 を接種すると、トマトの成長が大幅に促進され、トマトの根からの分泌物に大きな変化が誘発されることが示されました。これらの分泌物の中で、n-ヘキサデカン酸が、シュードモナス・スタッツェリの成長、走化性反応、バイオフィルム形成、そして根圏定着を最も強く誘導することが分かりました。

トリコデルマ菌をトウモロコシとスイカの種にコーティングした結果

Jiangsu Collaborative Innovation Center for Solid Organic Wastes, Educational Ministry Engineering Center of Resource-Saving Fertilizers, Nanjing Agricultural University, Nanjing, Chinaのグループは、トリコデルマ菌をトウモロコシとスイカの種にコーティングした結果について報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37195176/

本研究では、真菌トリコデルマ guizhouense NJAU4742 を種子コーティングによってトウモロコシとスイカの種子細菌叢に接種させ、スイカとトウモロコシの種子コーティングが、植物の成長と根圏土壌の酵素活性を大幅に改善することを示しています。
種子コーティングされた種子の発芽率は、コントロールと比較して、トウモロコシでは植え付け後3日後で25%、スイカでは植え付け後8日後で35%それぞれ有意に増加していました。
トウモロコシへのトリコデルマ種子コーティングの影響

コントロールと比較して、種子コーティングされたトウモロコシでは、ウレアーゼ、スクラーゼ、酸性ホスファターゼ、アルカリ性ホスファターゼ、α-グルコシダーゼ、ペルオキシダーゼ、セルラーゼらの酵素活性が、それぞれ97.9%、51.7%、61.2%、82.3%、27.0%増加しました。種子コーティングされたトウモロコシでは、スクラーゼ、酸性ホスファターゼ、中性ホスファターゼ、α-グルコシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、およびセルラーゼの酵素活性が、それぞれ51.7%、25.7%、21.1%、62.6%、39.1%、34.3%増加しました。
種子コーティングしたトウモロコシの茎腐れ病の発生率は、コントロールと比較して28%減少し、種子コーティングを施したスイカの場合には、発生率は病原菌散布後60日で37%減少しました。

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