Galectin-3が腹部大動脈瘤のバイオマーカーになり得る

Taipei Medical University, Taiwanらのグループは、Galectin-3が腹部大動脈瘤の良いマーカーになり得るとしています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8200414/

超音波診断が、AAAの診断に対してはゴールドスタンダードであり、高い感度と特異性を持っています。しかし、その感度は、動脈瘤の大きさで変わりますし、動脈瘤下の大動脈拡張には著音波診断はすいしょうされません。この為、動脈瘤サイズを反映する炎症性の血中バイオマーカーがあれば、動脈瘤の発見や進行を検査するのに役立ちます。

151名の腹部動脈瘤患者と195名の健常者の協力を得て、血中バイオマーカーとしてGal-3とIL-6の横断的な研究が行われました。血中Gal-3の濃度は、腹部大動脈溜の患者で健常者に比べて顕著に高くなっていました(96.9 ± 4.5L vs. 76.5 ± 1.9 ng/mL)、同様に血中IL-6の濃度も腹部大動脈瘤の患者で高くなっていました(92.8 ± 5.2 pg/mL vs. 72.5 ± 3.0 pg/mL)。Gal-3とIL-6の診断能力をROC解析した結果、Gal-3のAUCは0.91となり、IL-6のそれは0.72となりました。

Gal-3 は、マクロファージに対する走行性因子であり、それ故、各種の心血管疾患と関連しています。Gal-3が高値となった腹部動脈瘤患者においては、活性化されたマクロファージなど炎症性免疫細胞の心血管疾患への遊走や更なるGal-sの分泌を意味している可能性もあります。