CLEC4G, CD209(C-型レクチン)が強くSARS-CoV-2に結合し、感染を阻害する

CLEC4G, CD209(C-型レクチン)が強くSARS-CoV-2に結合し、感染を阻害する

Institute of Molecular Biotechnology of the Austrian Academy of Sciences, Vienna Austriaらのグループは、CLEC4GとCD209c(C-型レクチン)がSARS-CoV-2の感染を阻害できることを示しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8420505/

168種類の既知のマウスのC-型レクチン、ガレクチンやシグレックの糖鎖結合ドメインから、HEK293Fを宿主細胞として143種類のそれら糖鎖結合ドメインとIgG2a-Fcとの融合タンパク質を作ることに成功しています。この融合タンパク質のライブラリーは恐らく世界でも最大のものであり、本研究では、これらの融合タンパク質をレクチンという名で使用しています。

SARS-CoV-2 Spike に発現している糖鎖は、オリゴマンノースから修飾の進んだ多分岐の複合型N-型糖鎖まで、修飾位置に依存した形で広く分布しています。RBDには、N331とN343 にN-型糖鎖が修飾されており、シアル酸やフコース修飾を含んだ糖鎖が付加されている場合があります。この糖鎖修飾の状態は、SARS-CoV-2 Spikeを全長で発現させた場合と、ACE2に結合する最小ドメインとしてのRBDのみを発現させた場合では異なっていることに注意する必要があります。従って、Spikeタンパク質の機能を研究する場合には、全長のSpikeタンパク質を用いることが大切であることが強調されています。更にこのことは、糖鎖修飾の違いが、免疫活性や重症化に影響を及ぼしている可能性があることを示唆します。

ともあれ、本研究においては、ふたつのレクチン、CLEC4G と CD209c、が強くSARS-CoV-2 Spikeに結合することが確認され、その結合状態をリアルタイムにてAFMで可視化することにも成功しています。ここで得られた3Dモデルは、これらレクチンがRBD-ACE2結合界面内の糖鎖に結合しており、Spikeの宿主細胞表面への結合に干渉することを示しています。実際、CLEC4GとCD209cがSRS-CoV-2の感染を阻害することを、VeroE6及びCalu3細胞を用いて示されました。

ウイルスの感染量は、SARS-CoV-2感染15時間後にqRT-PCRにてウイルスのRNA量を測定することで行われ、mock(SARS-CoV-2のみを与えた場合)に比較した形での倍率変化によって示されています。

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