プロベネシドがCOVID-19の治療薬候補である:OTA3を阻害することでSARS-CoV-2の複製を阻害する

Department of Infectious Diseases, University of Georgia, Athens, GA, USAらのグループは、プロペネシド(痛風治療薬)がCOVID-19の優れた治療薬になり得ると報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41598-021-97658-w

有機陰イオン輸送体3(OAT3)が、ウイルスの複製に必要とされるホスト側の遺伝子のひとつであると考えられます。OAT3 は、腎臓、脈絡叢、血管床、肺を含む他の末梢器官に発現しており、尿酸および他の基質および特定の抗生物質を含む内因性有機アニオンの膜貫通輸送を仲介します。プロペネシドオは、OTA3を阻害する治療薬として一般的に使用されており、痛風治療薬として広く知られています。プロペシドは、薬物動態的にも好ましく、臨床的な観点でも安全性が高く、抗ウイルス薬として転用する場合の非常に良い候補となりえます。

Probenecid treatment reduced SARS-CoV-2 replication by 90% in ヒト気管支上皮(NHBE)細胞を用いたin vitro実験で、プロペネシドはSARS-CoV-2の複製を90%低減し、IC50の値は、0.0013 μM となりました。プロペネシドは、SARS-CoV-2の変異株に対しても有効であろうと考えられます。というのは、OTA3のような宿主側のウイルス複製に関係するプロセスを阻害するものだからです。ウイルス複製を阻害する潜在的な宿主側のターゲットの中で、OTA3の機能が低下してもヒトは健康であり、OTA3の阻害がヒトに悪影響を与える可能性は低く、ウイルス複製阻害に必要とされるドーズでも安全に許容されるものと思われます。