病原性のないフサリウム・オキシスポルム変異株を使って、フサリウム青枯病を抑え、植物の生長を促進する

農研機構らのグループは、非病原性のフサリウム・オキシスポルム(F. oxysporum)の菌株が、病原性を持つフサリウム・オキシスポルム野生型菌株に対して示す生物的防除活性について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8828976/

非病原性のF. oxysporumを使用してフサリウム病を防除するというアイデアは、フサリウム青枯病を自然に抑制するという土壌の研究から生まれました。

このレポートでは、以下の菌株を使用して、病原性フサリウム野生型に対する非病原性フサリウムの変異株の生物的防除活性を実証しています。
病原性フサリウム野生型菌株:F. oxysporum f. sp. melonis株 Mel020120 、およびF. oxysporum f. sp. lycopersici菌株 CK3-1
非病原性フサリウム菌株:F. oxysporum MFG6 、ΔFOW2 Mel02010 MF2-1 、およびΔFOW2 CK3-1 LF2-1

下図に示すように、非病原性フサリウム菌株の病原性フサリウム野生型菌株に対する生物的防除活性が明確に示されています。

非病原性株を根に事前接種することが非常に効果的です。実際、病原性フサリウム野生型株の分生子発芽および菌糸伸長は、非病原性フサリウム株を事前に接種した根の表面で著しく阻害されていることが別途示されています。