根圏細菌から分泌されるグルコン酸がリン化アルミニウム(Al-P)を可溶化する

Institute of Soil Science, Chinese Academy of Sciences, Nanjing, Chinaらのグループは、酸性土壌の場合には、リン(P)の可溶化善玉菌(PSB)として、Nguyenibacter sp. L1がとても有効だと述べています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8637293/

リン(P)は、植物の成長と生産性に必要な必須の主要栄養素です。 Pが豊富な土壌でも、Pの80%以上は植物が取り込める形になっていません。Pは、主に無機物および有機物として様々な形で土壌に存在し、その割合は土壌に依存しています。無機Pの形態は、土壌のpHに依存した形で変化します。アルカリ性土壌では、無機Pは主にリン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸八カルシウムの形で存在し、風化作用の強い酸性土壌では、酸化鉄(Fe)とアルミニウム(Al)がPを強く吸収して、Fe-P、Al-Pという形で固定されています。

土壌中の固定化されたPの植物利用を改善する有望な方法のひとつは、土壌中のPSBを強化したり、新たにPSBを接種するなどの方法によって土壌を改善し、不溶性しているPの利用化率を上げることです。

この研究では、Al-P可溶化活性を持つPSB株、Nguyenibacter sp. L1を、酸性土壌で成長したL.bicolorの根圏土壌から単離しています。 Nguyenibacter sp. L1によるAl-Pの可溶化は、炭素源としてのグルコースの存在下でのグルコン酸の分泌に関連しています。グルコン酸は、植物に対するAlの毒性を軽減することもできます。

炭素源としてグルコースを加え、Nguyenibacter sp. L1を接種することによって、大量のグルコン酸が産生され、より高い利用可能なP濃度得られることが培地を使った実験で示されました。
更に、グルコン酸がAlを解毒できるかどうかを調べるために、グルコン酸の存在下または非存在下でのイネの根の伸長に対するAlの阻害効果を比較しました。イネの根の伸長は、0.05 mMグルコン酸の有無にかかわらず、50μMのAlによって著しく阻害されましたが、この阻害効果は、0.5、2.5、または7.6mMのグルコン酸の存在下で消失しました。この結果は、グルコン酸の外部添加が植物の根へのAl毒性を軽減したことを示しています。