メラノーマの特異的な糖鎖修飾変化が樹状細胞の免疫活性に与える影響

Institute for Advanced Biosciences, Université Grenoble Alpes, Grenoble, Franceらのグループは、メラノーマの糖鎖修飾の変化とその樹状細胞の免疫活性に与える影響について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9986448/

メラノーマ患者の腫瘍細胞においては、健常者のメラニン細胞に比べると、GalNAcとNeuAc(シアル酸)(それぞれ、WFAとMAAによって検出される)が高発現していることが分かります。

全生存期間(OS中央値)または無増悪生存期間(PFS中央値)の良し悪しに基づいて、メラノーマ患者の糖鎖修飾の全体的な特徴を吟味すると、臨床転帰が悪い患者のメラノーマにおいては、TF-抗原、GlcNAc、Fuc、そしてNeuAcらが高発現していることが分かりました(ぞれぞれの糖鎖修飾残基は、ACA、WGA、RPL-αMan、UEA-I、MAA、および SNA によって検出された)。驚くべきことに、高レベルのTF-抗原およびGlcNAc糖鎖修飾(それぞれ ACA および WGA によって検出される)を持つメラノーマは、OSのより悪い患者で見つかりました。一方で、高レベルの末端αGalNAc(HPAによって検出される)のメラノーマでは、PFSが良くなる傾向を示しました。更には、メラノーマ上の高レベルのMan/Glc残基(ConA によって検出される)はより良いPFSと相関し、高レベルのNeuAcおよびFuc(それぞれ SNA、MAA、または UEA-I によって検出される)では臨床転帰が良くないということを強調しておくべきかも知れません。

興味深いことに、メラノーマ上のMan/GlcおよびGlcNAcのレベルと、腫瘍浸潤性のcDC1の割合との間に正の相関がありました。Man/Glcは良好な臨床転帰と関連しており、GlcNAcはcDC1の機能を高める候補でした。メラノーマ上のFucのレベルは、T-細胞による浸潤と負の相関があり、予後不良とも関連していました。さらに、メラノーマ患者の腫瘍細胞上のTF-抗原のレベルは、CD8+ T-細胞による腫瘍の浸潤と負の相関があり、生存期間の短縮と関連していました。