イネの葉圏細菌叢:野生種と栽培種間における葉圏細菌叢の違いについて

State Key Lab of Urban and Regional Ecology, Research Center for Eco-Environmental Sciences, Chinese Academy of Sciences, Beijing, Chinaらのグループは、イネの葉圏細菌叢における野生種と栽培種の間の違いについて報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36625666/

葉圏細菌叢において、Proteobacteria門が相対存在量の62.8%を占めており、Pantoeaが最も豊富な属 (42.7%) であり、続いてMethylobacterium (4.8%)、Pseudomonas (3.6%)、Acinetobacter (2.9%)、およびSerratia (2.1%)と続きます。Proteobacteria門以外では、Actinobacteriota門 (11.7%)、Firmicutes門 (8.5%)、および Bacteroidota門 (0.5%) が主要な葉圏細菌でありました。
真菌に関しては、主要なアンプリコンリードは、Nigrospora(13.2%)、Pyrenophora(13.1%)、Papiliotrema(12.5%)、およびPhaeosphaeria(4.5%)らの真菌属に分類されました。

バクテリアについては、Xanthomonas、Klebsiella、Sphingomonasが主に野生種に豊富に存在していました。一方、野生種で著しく豊富ないくつかのバクテリア、Methylobacterium、Xanthomonas、 Hymenobacter、Klebsiella、が存在しました。栽培種と比較して、Methylobacteriumは、野生種で最も豊富な属でした。野生種と比較して、PseudomonasとComamonasは栽培種で豊富に存在する細菌属でした。
真菌については、Khuskia、Acidomyces、および Pyrenophora は主に野生種に豊富に存在していましたが、主要な真菌分類群はいずれも野生種には多くは含まれていませんでした。ChaetomiumとRhodotorulaは栽培種で豊富に存在する真菌属でした。

イネの葉圏細菌叢の機能的なプロファイルの観点から眺めると、栽培種よりも野生種において、メタノール酸化 (+594%)、メチルトローフ (+460%)、尿素分解 (+430%)、および光合成関連(+345%)に関する高い機能ポテンシャルが予想されました。更に、栽培種においては、植物病原体 (+91%)、ヒト関連病原体 (+88%)、およびヒト病原体 (+88%) が有意に増加していることが分かりました。