SARS-CoV-2のACE2に変わる代替感染受容体(AXL, L-SIGN, DC-SIGN)の存在をレビュー

Shandong University of Traditional Chinese Medicine, ChinaらのSARS-CoV-2の感染に関するレビューから、興味深い一文を紹介したいと思います。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211383521001726?via%3Dihub

SARS-CoV-2の感染受容体としてACE2の役割は明確になっていますが、ACE2の発現に関する大規模な研究からは、ACE2の発現は組織及び細胞種に特異的であり、SARS-CoV-2は、ACE2がほとんど発現していない組織にも感染することが分かっています。例えば、ヒトの肺や気道におけるACE2の発現は極めて低く、しかも上皮細胞に限定されています。しかしながら、SARS-CoV-2が気道の上皮細胞に好んで感染することや、ACE2がまったく発現していないヒトの肺腺癌にもSARS-CoV-2が感染することは良く研究されています。これらのことから、ACE2以外に感染受容体が存在することが推測されており、tyrosine-protein kinase receptor UFO (AXL)や、CD209L/L-SIGN、CD209/DC-SIGNらが代替の感染受容体として認知されつつあります。これらの感染受容体を前提にすると、ACE2に対するRBDよりも、SARS-CoV-2のNTDが主役の座に躍り出ます。

下記が、本レビュー論文でAXLとL-SIGN/DC-SIGNに関して引用されています。
AXLに関して
L-SIGN/DC-SIGNに関して