HPAレクチンが、リンパ腫の診断のみでなく、治療にも使える可能性がある

Faculté de Pharmacie, Université Paul, Sabatier, Toulouse, Franceらのグループは、Helix pomatia lectin (HPA) レクチンは、癌マーカー(Tn-抗原)の診断ツールとしてのみでなく、治療にも使える可能性があると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8431231/

Morniga G と HPA レクチンは、Tn-抗原にアフィニティーを持つということで良く知られています。著者らは、過去に、Morniga Gレクチンがヒト白血病細胞に発現するTn-抗原に良く結合し、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導し、更には、Tn-抗原が発現していない末梢血リンパ球には影響を及ぼさないということを示していました。しかしながら、腫瘍細胞のTn-抗原に結合するHPA レクチンの機能については、ほとんど情報がありませんでした。

この論文においては、著者らは初めて、HPAがヒト白血病細胞やマウスEL4 T-細胞リンパ腫に対してアポトーシスを誘導することを示しました。マウスにおいては、EL4細胞に対して、HPAは明らかにMorniga Gよりも毒性が強く、HPAが健全なリンパ球に対して毒性を示さないことも示されました。このことは、HPAが腫瘍の診断ツールとしてのみでなく、治療目的にも使える可能性を大いに示していると考えられます。今後の進展が期待される内容です。