HIV感染のターゲットとなる肛門組織における主要な細胞の特徴について

HIVの感染の一般論は、CD4+ T細胞に侵入する場合に、二つの受容体が関係しており、まずHIVのエンベロープにあるgp120という糖タンパク質がCD4という第一の受容体と結合し、次にCCR5あるいはCXCR4という第2の受容体と結合することで、HIVとT細胞が融合し感染が起こるとされています。University of Sydneyらのグループは、このHIV感染において、ヒトの肛門組織におけるHIV感染のターゲットとなる主要な細胞の特徴は何か?について報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41467-021-22375-x

ひとつはCD14+CD1c+ 単球由来樹状細胞(CD14+CD1c+MDDC)であり、もうひとつはLangerinを発現する樹状細胞2(Langerin+ cDC2)であります。Langerinは、真皮や粘膜に分布する未熟樹状細胞(DC)のサブセットであるランゲルハンス細胞(LC)に選択的に発現するとされ、糖鎖結合の特異性としては、マンノースを含むマンナンなどの糖鎖と、6位が硫酸化されたガラクトースの両方を認識するとされています。更には、CD14+ MDDCのSiglec-1(シアル酸認識レクチン)の発現がHIVの感染と相関していることも示されました。このようにして、これら細胞に捕獲されたHIVがCD4+ T細胞にトランスファーされて行くという訳です。

HIV感染を糖鎖とレクチンの観点から見ると、宿主細胞のC-Type Lectin(Langerin)およびSiglec-1らと、HIV gp120糖タンパク質の関係が非常に重要に思われます。