H-1抗原(糖鎖)を固定化した金ナノ粒子でM1化膿レンサ球菌を検出する

Faculty of Pharmacy, Tehran University of Medical Sciences, Iranらのグループは、M1 化膿レンサ球菌(M1 GAS)を検出するH-1抗原-金ナノ粒子凝集体(AuNPs)に基づくナノバイオセンサーについて報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9354983/

化膿レンサ球菌 (GAS) は、急性咽頭炎から重度の侵襲性疾患に至るまで、さまざまな臨床症状を引き起こすグラム陽性細菌です。連鎖球菌性咽頭炎の一般的な診断方法は、医師による身体診察と、咽頭スワブの細菌培養です。これまで、化膿レンサ球菌を診断して臨床に使用するために、さまざまなタイプのバイオセンサーが開発されてきました。それらは、抗体と抗原の相互作用、または等温核酸増幅技術に基づいています。それにも係わらず、それらは世界中の臨床医によって広く使用されている訳ではありません。問題は、コストにあると考えられます。

金ナノ粒子の凝集に基づくナノバイオセンサー自体は良く知られており、病原菌の簡易な診断法として研究されてきました。抗原(病原菌)に特異的なプローブを固定化した金ナノ粒子複合体が検査溶液中の抗原と相互作用することによって、ナノ粒子が凝集することを利用するものです。M1 GAS は口腔上皮細胞に存在する特異的な糖鎖構造である H-1 抗原に結合することが知られているため、本研究においては、プローブとしてLacto-N-fucopentaose I-biotin (H-1-biotin) をアビジンを固定化した金ナノ粒子に結合させして、 M1 GAS を検出しています。

SPRのピーク位置の赤方偏移の値に基づいて、M1 GAS の検出の検量線を 1 × 102 から 1 × 107CFU/ml までの濃度範囲でプロットしました。 その件、M1 GAS は広い濃度範囲 (1 × 103 ~ 1 × 106 CFU/ml) で線形性を示し、20分という短い検出時間で検出されることが分かりました。