COVID-19治療薬としてのデキサメタゾン(Dexamethasone)の働きについて

厚生労働省は、2020年5月に特例で承認した抗ウイルス薬「レムデシビル」に続き、ステロイド薬の「デキサメタゾン」を、2020年7月に日本国内で承認されているCOVID-19の医薬品として追加しています。デキサメタゾンがどんな役割を果たしているか?について報告している論文をご紹介しましょう。

University of Huddersfield, UKらのグループの研究報告です。
https://link.springer.com/article/10.1007/s10753-021-01464-5

PBMC(末梢血単核細胞)をSARS-CoV-2 Spikeタンパク質で刺激した場合には、炎症性サイトカインであるTNFα, IL-6, IL-1β and IL-8らが高発現します。デキサメタゾン(100nM)を用いてPBMCを前処理すると、これらサイトカインの産生が大幅に抑制されることが示されました。NF-κB転写因子、p38 MAPK、およびNLRP2インフラマソームらの活性化が炎症性サイトカインの産生を促すと考えられていますが、デキサメタゾンは、NF-κB DNA bindingを阻害する(~46%)ことが示されました。